近くに訪問介護事業所が何か所あるかは調べられても、自事業所との違いが見えない。そんなときは、所在地や職員数に加え、どの地域で、何曜日の何時に、どの支援を提供できるかまで比較してみてください。
訪問介護の競合分析では、同じ利用条件で候補になる事業所を選び、公表情報と自事業所の相談・勤務記録を照合します。訪問範囲、支援内容、職員体制、費用をそろえると、案内の不足と、提供体制そのものの課題を見分けやすくなります。
この記事で整理できること
- 介護保険の訪問介護を中心に、比較対象を絞る方法
- 出典を残す比較表と、曜日・時間帯別の受入枠の考え方
- 移動・記録を含む架空例と、調査結果から改善を選ぶ方法
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サービスの区分と訪問経路から、競合を絞る
最初に、比較するサービスと地域を決めます。「自宅に来るサービス」という共通点だけで並べると、対象者や提供内容の違いを見落とします。

訪問介護・訪問看護・保険外サービスを分ける
この記事で中心に扱うのは、介護保険の指定訪問介護です。ホームヘルパーなどが自宅を訪ね、身体介護や生活援助を提供します。看護職が療養上の世話などを行う訪問看護とは、役割と制度上の位置づけが異なります。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、訪問介護を食事・排泄・入浴などの身体介護や、掃除・洗濯・調理などの生活援助を行うサービスと説明しています。家族のための家事や、草むしり・大掃除などは、介護保険の訪問介護として受けられない例に挙げています。
出典・要約:厚生労働省「訪問介護(ホームヘルプ)」
障害福祉の重度訪問介護、市町村が行う総合事業の訪問型サービス、全額自己負担の家事支援なども、欄を分けて整理します。同じ法人が複数の事業を営んでいる場合は、今回比較する事業所とサービスの指定を確認してください。
市区町村名だけでなく、実際の移動経路を見る
公表されている通常の事業の実施地域を調べ、拠点と利用者宅の位置関係を地図で確認します。同じ市内でも、河川や幹線道路、駐車場所、朝夕の混雑によって移動条件は変わります。
自事業所では、既存の訪問とつながる地域か、離れた場所への単独訪問になるかも確認できます。競合の内部ルートは分からないため、住所から訪問余力を推測せず、公開されている対応地域と確認できた事実を記録しましょう。
同じ利用条件で比較された事業所を優先する
相談の際に挙がった候補や、地域のケアマネジャーから聞かれた対応条件は、調査対象を選ぶ手がかりになります。個人を特定する情報を調査表へ転載せず、必要な地域・支援・時間帯として整理します。
全国の大手企業一覧は候補探しには使えますが、近隣拠点の曜日別の体制までは示しません。運営法人の規模と、一つの事業所で継続して対応できる範囲を分けて比べます。
介護施設の競合分析と差別化|比べる項目と進め方地域需要・受入体制・SWOTなど、介護施設全体の比較方法を読む。関連記事|DSSお役立ちコラム
公表情報を使い、同じ条件の比較表を作る
候補を選んだら、自事業所も含めて同じ項目を記入します。項目を増やし続けるより、相談を受けた際に判断が変わる違いを残すことが大切です。

公表システムと事業所の公式案内を照合する
介護サービス情報公表システムで、サービスの種類、所在地、運営方針、従業者の状況などを確認します。事業所の公式サイトや公開されている重要事項説明書も参照し、記載の対象期間と更新日を確かめます。
介護サービス情報公表制度は、介護サービスを利用する方が事業所を比較し、選択するための情報を公表する仕組みです。公表項目の意味を確かめて利用し、掲載されている職員数や実績を、今日の受入可能数に読み替えないことが必要です。
出典・要約:厚生労働省「介護サービス情報公表制度」
更新日の違う資料に食い違いがあれば、新しい日付だけで一方を正しいと決めず、何を対象にした情報かを確認します。問い合わせが必要な項目は、調査日とともに未確認として残します。
支援・時間・体制・費用の根拠を残す
次の表は、比較項目のひな型です。実務では各事業所の記入欄を設け、資料名・URL・該当ページ・確認日を添えて使えます。空欄を埋めるために、非公開の勤務体制や利用者数を推定する必要はありません。
| 比較項目 | 記録する内容 | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| 訪問地域 | 実施地域・地域外の扱い | 重要事項説明書と公式案内 |
| 支援内容 | 身体介護・生活援助など | 指定と実際の提供体制を照合 |
| 曜日・時間 | 営業日・提供時間・相談窓口 | 営業時間と受入枠を分ける |
| 職員体制 | 職種・勤務形態・情報共有 | 集計時点と指標の定義を確認 |
| 費用 | 保険の負担・加算・保険外 | 同じ利用内容で見積りを照合 |
| 継続対応 | 担当不在時の連絡と調整 | 公表内容と確認できた説明を記録 |
事業所数と職員数を、そのまま供給力にしない
事業所を数える際は、サービスの種類と集計時点をそろえます。一つの拠点に複数サービスの情報がある場合や、休止・廃止の情報が別に案内されている場合もあるため、掲載行数だけで競合の数を決めないようにします。
厚生労働省は、公表システムの情報をサービス別のオープンデータでも提供しています。ファイルを使って地域の事業所を整理するときは、公開時点と対象サービス、項目の定義を確認し、現在の稼働状況や空き枠は別に確かめます。
職員の実人数と、勤務時間から計算する常勤換算も異なる指標です。いずれも特定の曜日に配置できる人数そのものではありません。職員数が多い、加算がある、という一項目だけでサービスの質に順位を付けることも避けます。
費用は支援内容と利用条件をそろえて見る
介護保険の利用者負担を比べる際は、身体介護・生活援助などの区分、提供時間、加算・減算、地域区分、本人の負担割合をそろえます。公表システムでも、負担割合や地域区分による違いを説明しています。
全額自己負担のサービスは別欄にし、最低利用時間、交通費、キャンセル時の扱いなども確認します。料金表の一番小さな金額だけを並べず、同じ依頼内容に対して何にいくらかかるかを比較してください。
競合分析テンプレートを無料配布|比較表の項目・Excel記入例資料の出典・確認日・未確認欄を備えた比較表の作り方を見る。関連記事|DSSお役立ちコラム
受入枠は、移動と記録を含む時間帯で比べる
自事業所の空き時間が分かっても、そこに必要な支援を組み込めるとは限りません。時間の合計と、実際に使える連続した枠を分けて考えます。

営業時間と、訪問できる時間を区別する
窓口の営業時間、サービスを提供する時間、今受け入れられる時間帯は別の情報です。平日の日中に対応する事業所でも、朝の支援を追加できるかは勤務表と訪問ルートによって変わります。
「空きあり」だけでなく、地域・曜日・時間帯・支援内容を一組で確認します。公開されていない競合の枠は未確認とし、自事業所の枠はサービス提供責任者などが実際の勤務状況と照合して更新します。
60分の支援でも、必要な枠は60分とは限らない
以下は時間の考え方を示す架空例です。新しい支援に60分、その前の訪問先からの移動に20分、支援後の記録に10分が必要だとします。前の訪問の終了から記録を終えるまで、合計90分の連続した時間が必要です。
| 予定の状態 | 確認した時間 | この例での判断 |
|---|---|---|
| 空きが分散 | 午前30分+午後60分 | 合計90分でも一続きに使えない |
| 連続した枠 | 移動20+支援60+記録10分 | 希望時刻と経路が合うか確認 |
| 昼の休憩 | 業務から離れる時間 | 移動や記録の枠に組み込まない |
| 記録後の予定 | 次の訪問までの移動 | 次の開始時刻に間に合うか確認 |
90分という数字は標準時間や報酬の算定基準ではありません。実際には必要な支援、担当職員、交通条件などで変わります。次の訪問や事業所へ戻る移動も含め、一日の予定が成立するかを確認してください。
移動・記録を、見えない余白に押し込まない
勤務の比較では、直接支援する時間以外の仕事も確認します。訪問先間の移動、必要な記録、連絡、研修などを無視すると、提供できる量を多く見積もってしまいます。
厚生労働省の通知では、業務に必要な移動を命じられ、自由利用が保障されない時間や、指揮監督に基づいて義務付けられた報告書を作成する時間などは、労働時間に該当する場合があると示されています。支援時間以外も条件に沿って把握する必要があります。
比較のために訪問件数だけを増やしたり、必要な支援を短くしたりするのではなく、移動の集中、記録の重複、連絡の待ち時間など、実際に生じている課題を探します。記録を休憩中に済ませる前提で予定を作らないようにしましょう。
担当者が休む日にも継続できるかを確かめる
一度訪問できることと、毎週同じ支援を続けられることも異なります。担当者が不在のときに誰が調整し、利用者や関係職種へどう連絡するかを確認します。
代わりの担当者へ伝える内容や、同行して引き継ぐ必要のある支援もあります。自事業所の強みとして継続対応を掲げるなら、職員総数だけで説明せず、連絡・調整・引継ぎの仕組みを具体的に案内します。
訪問介護を検討している方へ、事業所の情報を届ける
訪問地域・支援内容・相談方法を整えたら、サービスを検討中の方へ案内するライバルマーケティング広告の仕組みをご確認いただけます。
ライバルマーケティング広告の詳細はこちら比較で見つけた違いを、説明と提供体制の改善へつなぐ
比較表が埋まったら、自事業所に足りないものを一律に追加する必要はありません。相談が進まなかった理由と照らし合わせ、何を変えると対応しやすくなるかを考えます。

相談の記録から、違いが影響した場面を探す
たとえば、必要な地域と時間には対応できるのに、それが案内に載っていなければ説明の課題です。希望が特定の朝に集中し、その時間に担当できる職員がいなければ、提供体制の検討が必要になります。
| 確認できた状況 | 先に調べること | 改善の候補 |
|---|---|---|
| 案内から対応可否が分からない | 公式情報と現場の説明の差 | 地域・時間・窓口を具体化 |
| 特定の時間帯に依頼が集中 | 勤務表・支援内容・既存ルート | 調整できる範囲と必要な体制を検討 |
| 移動が長く予定がつながらない | 経路・交通手段・訪問先の分布 | 地域ごとの提供計画を見直す |
| 費用の説明で迷いが残る | 保険の負担と自費の見積り | 内容別の説明と書類を整える |
見送りの記録だけでは、競合へ移った理由まで確定できません。本人の状態変化や予定変更もあるため、分かっている事実と仮説を分けます。調整や紹介が必要な場合は、利用者・家族や担当ケアマネジャーなどと連携して検討します。
保険外サービスを強みにするなら、区分を明確にする
保険外の支援を提供している場合は、介護保険でできる支援と混ぜず、対象・内容・提供時間・費用を示します。「柔軟に何でも対応」という案内だけでは、利用者の負担や契約するサービスが分かりにくくなります。
厚生労働省の通知では、訪問介護と保険外サービスを組み合わせる場合、両者を明確に区分し、内容・時間・利用料などを説明して同意を得ること、担当ケアマネジャーへ報告すること、費用請求と会計を区分することなどを示しています。
比較表でも保険内外を別に記し、同じ内容・時間で比べます。個別の取扱いは指定権者や保険者の案内と照合し、通常の訪問介護の時間や料金に、そのまま保険外の支援を上乗せする説明は避けてください。
強みは、対応できる条件を説明する言葉にする
「地域密着」「丁寧な対応」という言葉を使うなら、その内容も添えます。たとえば、対応する地域、相談受付から確認までの手順、担当不在時の連絡先など、利用する人や関係職種が判断できる情報へ置き換えます。
調査で見つけた違いは、確認できた条件と一緒に伝えます。競合の未確認事項を弱みと呼ばず、自事業所の説明と実際の運用が合っているかを見直す材料にしましょう。
そのうえで情報を届ける範囲を考えます。受け入れられる地域と支援内容が明確なら、紹介用の案内やWebページでも、相談前に確かめてほしいことを整理できます。
訪問介護の競合分析でよくある質問
会社の規模、経営の見通し、ICTの導入状況などを調べる際も、何を比べるための情報かを先に決めておきましょう。

訪問介護の大手企業を競合に選べばよいですか?
運営法人の規模だけで決めず、同じ地域・支援内容・曜日や時間帯で候補になる事業所を選びます。全国の拠点数と、近隣の一事業所で提供できる体制は分けて確認してください。
競合の閉鎖が増えた地域なら、利用者を増やせますか?
閉鎖の件数だけでは判断できません。支援を必要とする地域や時間、引き継ぐ内容、自事業所の職員体制と移動経路を確認します。地域に必要な支援が残っていても、自事業所が継続して提供できるかは別に検討する必要があります。
介護ソフトの導入状況も比較したほうがよいですか?
導入の有無に加え、記録の重複、連絡にかかる時間、担当者間の情報共有など、業務でどう使われているかを確認します。全国の導入率は調査時期・対象サービス・機器の定義で変わるため、異なる調査の数字を一つの順位や基準にしないようにします。
競合が少ない場所で開業すると、利益を出しやすいですか?
競合の少なさだけで利益は判断できません。必要な支援と利用見込み、採用・配置、移動と記録を含む勤務、家賃や車両などの費用を確認し、自事業所の収支を検討します。事業所が少ない理由や、地域の支援体制も調べる必要があります。











