学習塾の競合分析は、同じ学年・目的の生徒が検討する教室を選び、指導内容、年間費用、通塾と質問対応の条件をそろえて比べることから始めます。近くにある塾でも、中学受験と学校の補習では、選ばれる理由が違います。
地域の競合を調べ、自塾のコース案内や生徒募集を見直したい塾長・担当者に向けて、比較する7項目と調査表の使い方を説明します。
この記事でわかること
- 学年・学習目的・通塾経路から競合を選ぶ方法
- 月謝以外の費用や合格実績を比べる際の注意点
- 調査結果を、自塾で対応できる案内と運営へ反映する手順
動画でわかるライバルマーケティング
学年と学ぶ目的から、比較する塾を選ぶ
最初に「どの生徒の、何のための受講か」を決めます。学年・科目・目的と、通える曜日を一組にすると、調べるべきコースを絞れます。

学校の補習と受験対策を分ける
たとえば「中学2年生が、学校の英語と数学を週2回学ぶ」と置きます。同じ中学生向けでも、難関高校の入試問題を中心に扱うコースは、そのまま同じ内容として比較できません。
対象学年、科目、学校別の対応、学習の到達目標を記録しましょう。「定期テスト対策あり」という説明も、どの学校・科目・時期を対象にしているかまで読みます。
個別・集団・オンラインを、候補になる理由とともに並べる
集団授業、講師が複数人を担当する個別指導、1対1、映像やオンライン学習では、授業の進め方が異なります。「個別」という名称だけで同じサービスにまとめないようにします。
オンラインや家庭教師も、同じ家庭が検討するなら別の選択肢として残します。通塾が不要、開始時刻を調整したいなど、候補になる理由を添えると、教室型の塾と何を比べるかが明確になります。
半径だけでなく、帰宅と送迎の経路を見る
学校や自宅からの移動、部活動後の開始時刻、授業が終わる時刻、送迎や駐輪の条件を確認します。直線距離が近いことと、日常的に通いやすいことは同じではありません。
地域の人口を使うときは、調査年、集計範囲、対象年齢を残します。子どもの人数を、そのまま通塾希望者数や獲得できる生徒数へ置き換えないことが大切です。
e-StatのjSTAT MAPは、統計を地図で確認する手段です。非ログインで使える機能がありますが、データの保存・出力やリッチレポートなどは利用条件が異なります。
出典・要約:政府統計の総合窓口「jSTAT MAPを始める」
3C分析の競合分析とは?調査6項目・やり方と記入例顧客が選ぶ条件を軸に、競合と自店の比較項目を整理する。関連記事|DSSお役立ちコラム
進路や資格を軸に比較する場合は、予備校、専門学校、大学、資格スクールで、授業・費用・実績の対象を確認してください。
学ぶ内容や受講方法に合わせた調査は、英会話スクール、オンラインスクール、プログラミングスクール、幼児教室の解説へ分けています。
指導・年間費用・通塾条件を7項目で比べる
料金表、コース案内、時間割、規約、講師紹介を、同じ教室・コースについて集めます。授業料の安さだけでなく、その費用で何を受けられるかをそろえて読みましょう。

| 比較項目 | 調べる内容 | 条件のそろえ方 |
|---|---|---|
| 指導形式 | 人数、科目、時間、回数 | 同じ学年と目的のコース |
| 年間費用 | 月謝、入塾金、教材、講習等 | 同じ期間と必須・任意の区分 |
| 講師・計画 | 担当、計画の調整、宿題確認 | 対象教室の実施体制 |
| 自習・質問 | 利用時間、予約、対応科目 | 席の利用と質問対応を区別 |
| 保護者連絡 | 報告、面談、相談窓口 | 内容と頻度、対応する時間 |
| 実績 | 年度、対象者、校舎、集計方法 | 同じ範囲の数値かを確認 |
| 振替・契約 | 欠席、休塾、退塾、返金 | コース・契約期間別に確認 |
個別指導は担当人数と、授業・演習の時間を確かめる
講師1人が同時に何人を担当し、説明、演習、解説をどう進めるかを確認します。1コマの長さだけでは、講師と直接やり取りする時間は分かりません。
集団授業では、クラスの対象、進度、定員、欠席時の補足を見ます。映像学習なら、視聴できる時間と、質問や学習計画の相談を受けられる時間を分けて記録してください。
月謝に教材・維持費・講習を足し、同じ期間で計算する
入塾金、月謝、教材費、模試代、施設維持費、季節講習などを並べます。必須の費用と、選択した場合だけかかる費用を分け、受講する学年・科目に対応した総額を計算しましょう。
次は月謝を12回払い、表の教材・維持費・講習がすべて必要で、割引や表以外の費用がないとした架空の税込例です。実在する塾の料金や相場ではありません。通常授業は月8コマを想定しています。
| 費用の内訳 | 仮のA塾 | 仮のB塾 |
|---|---|---|
| 月謝×12回 | 16,500円×12=198,000円 | 19,800円×12=237,600円 |
| 入塾金 | 11,000円 | 0円 |
| 年間の教材費 | 13,200円 | 6,600円 |
| 維持費×12回 | 2,200円×12=26,400円 | 1,100円×12=13,200円 |
| 年間の講習費 | 60,000円 | 42,000円 |
| 年間総額 | 308,600円 | 299,400円 |
A塾は月謝が低くても、この条件での年間総額はB塾より9,200円高くなります。ただし、授業時間や講習の内容、受けられる支援まで同じという例ではありません。総額を出した後に、含まれる授業と対応を照合します。
全国学習塾協会の自主基準実施細則は、契約期間内の費用総額や、教材・模試・管理費などの内訳、不定期に支払う費用の時期・金額を示すよう定めています。業界の自主基準として、説明項目を点検する参考になります。
講師の肩書きと、学習計画を見直す仕組みを分ける
講師の経歴だけで指導の質を決めず、誰が担当し、変更時にどう引き継ぐかを確認します。教室全体の紹介と、比較対象の科目を担当する講師の情報も区別しましょう。
個別の学習計画を作るなら、作成する時期、見直す担当、宿題の確認、理解できなかった部分の扱いを記録します。「一人ひとりに対応」という言葉を、実施する内容へ分けて読む作業です。
自習室の利用と、質問できる条件を区別する
自習室が開いている時間に、常に質問できるとは限りません。予約の要否、利用できる曜日、対象学年、席数に加えて、質問の受付時間と対応科目を確かめます。
通い放題という案内も、授業、映像教材、自習席のどれが対象かを分けます。1日の上限や講師の対応が掲載されていなければ、未確認として残してください。
連絡手段だけでなく、何をいつ伝えるかを見る
アプリやLINEを導入していても、報告される内容は塾ごとに違います。入退室通知、授業の報告、学習相談、保護者面談を別の項目にしましょう。
面談の頻度、予約方法、相談窓口、連絡を受ける時間帯も確認します。通知が届くことだけで、学習状況をいつでも相談できると解釈しないようにします。
合格実績は年度・対象者・教室の範囲を読む
当年度と過年度の累計、教室単独とグループ全体、実人数と延べ件数を区別します。同じ生徒が複数校へ合格する場合もあるため、合格件数と生徒数を分けて記録します。
全国学習塾協会の2024年の変更資料は、実績に含める在籍・受講の条件や、教室・グループ等の範囲、単年度か累積かの明示を示しています。協会の自主基準であり、すべての塾が同じ集計をしていると判断するものではありません。
出典・要約:全国学習塾協会「合格実績自主基準の変更について」
成績向上の事例も、科目、試験、期間、対象者の範囲を確かめます。平均点の上昇だけから、入塾した全員の成績や、塾の指導による効果を判断しないようにしましょう。
欠席の振替と、休塾・退塾の条件を確認する
欠席連絡の期限、振替できる回数、対象理由、振替先の空きや期限を記録します。塾側の休講と、生徒都合の欠席では扱いが異なる場合があるため、分けて読みます。
契約期間、更新、休塾・退塾の申し出方法と期限、支払い済みの授業料や教材の精算も確認しましょう。月払いというだけで、契約も1か月で完結するとは限りません。
消費者庁は、一定の学習塾サービスについて、期間が2か月を超え、契約総額が5万円を超える場合を特定継続的役務提供の対象として説明しています。対象となる指導や除外条件があるため、すべての塾契約へ一律に当てはめず、書面と公式説明を照合します。
比較表から、自塾で直す案内と対応を選ぶ
競合との違いは、自動的に自塾の強みになるわけではありません。家庭が迷う点と、自塾で継続して対応できることを照合すると、改善の優先順位を決めやすくなります。

掲載事実・未確認・改善案を分けて残す
教室名、対象コース、7項目の条件、参照URL、確認日を同じ表にまとめます。料金が見つからなかった、質問の受付時間が書かれていなかった、といった点は未確認であり、提供していない証拠ではありません。
| 比較で気づいた点 | 自塾で確かめること | 改善の例 |
|---|---|---|
| 講習費が別ページ | 家庭に渡す年間費用の案内 | 必須・任意と時期を一覧にする |
| 自習の質問条件が不明 | 科目別に対応できる時間 | 利用時間と質問受付を分けて掲載 |
| 個別対応の内容が抽象的 | 計画と宿題を見直す手順 | 担当と見直す場面を説明する |
この表は改善を考える記入例です。自塾の案内にも同じ疑問が残っていないかを点検し、説明を直す順番を決めるために使います。
質問対応や面談を増やす前に、講師と時間を確認する
自習室の開放時間や面談を増やすなら、対応できる講師、科目、時間、席数を確認します。競合が行っているという理由だけで増やすと、授業準備や既存生徒への対応を圧迫することがあります。
まず案内を直せるもの、運用を変えるもの、人員や費用が必要なものへ分けましょう。変更後は問い合わせ、体験申込、体験実施、入塾を分けて記録し、実際の対応と説明にずれがなかったかも振り返ります。
塾集客の方法15選|地域で選ばれる募集導線と実行手順コース比較後の募集施策と、体験から入塾への流れを確認する。関連記事|DSSお役立ちコラム
比較される条件を、ページと体験授業で伝える
コースの違いを調べたら、自塾の説明を具体的にします。どの学年が、何を、どの条件で学べるかを、申込前から確認できるように整えましょう。

体験の内容と、入塾後の指導を一致させる
体験授業の対象学年・科目、指導人数、所要時間、費用、当日に説明する内容を載せます。通常は講師が複数人を担当するのに、体験の1対1を通常授業と誤解させるような案内は避けます。
「手厚い指導」の一言で済ませず、宿題をどう確認するか、計画をいつ見直すかを伝えましょう。実際に提供できる取り組みを示し、合格や成績向上を約束する表現は避けます。
地域検索の表示と、ページで分かる情報を点検する
地域名と学習塾、個別指導、対象学年などで検索し、スポンサー表示、地図、通常の検索結果を分けて記録します。検索語・日時・場所を残し、一度の順位から地域全体の評価を判断しないようにします。
Googleは、ローカル検索の主な要素として関連性・距離・知名度を挙げています。表示される場所の影響もあるため、自塾の基本情報と、検索する家庭に必要な情報が一致しているかを点検します。
公式サイト、地図、チラシで、対象学年、費用の条件、開講時刻、体験の申込先が一致しているかも確認します。調べる情報と実際の体験がつながってから、比較検討層への広告などを検討しましょう。
学習塾の競合分析でよくある質問
塾の比較では、情報から判断できる範囲を押さえます。料金が分からない場合や経営が気になる場合も、公開情報の限界を踏まえて整理しましょう。

個別指導と集団授業は、どちらを競合に含めますか?
同じ学年・科目・目的の生徒が候補にするなら、両方を含めます。ただし指導人数、授業の進め方、質問対応を分けて記録してください。形式だけで向き不向きや指導の質を決めず、実際に提供される内容を比べます。
口コミが悪い塾は、競合から外してよいですか?
星の数や一つの投稿だけでは判断できません。対象の校舎、時期、授業や契約のどの点についての感想かを確かめます。自塾で点検する疑問として残し、他塾の実態や経営状態を断定する材料にはしないようにします。
公開されていない料金は、どう扱えばよいですか?
学年・コース別に公開情報を探し、見つからなければ未確認と記録します。安い、追加費用がないなどとは推定しません。説明が必要なときは調査の立場を明らかにし、保護者を装った申込や架空の生徒情報による資料請求は避けます。
競合の外観や集客状況から、潰れる塾か分かりますか?
教室の見た目、ブログの更新、ある日の生徒数だけでは分かりません。閉校・廃業・倒産は同じ意味でもありません。自塾の経営を見直す際は、募集状況に加えて授業を担当できる講師、在籍・退塾の推移、費用、資金の支払時期を自塾の記録から確かめます。











