競合シェアを調べるには、対象の商品・地域・期間を決め、調査会社のレポート、業界資料、企業のIR情報などから数値を探します。売上を基準にする場合は、「競合の対象商品の売上÷同じ市場全体の売上×100」で割合を求めます。
ただし、資料に載る「シェア」が、知りたい市場全体の割合とは限りません。掲載された企業だけの売上合計を分母にする場合や、販売額ではなく出荷数量で集計する場合もあります。数字と一緒に、集計の説明まで読むことが大切です。
この記事では、競合の市場シェアを調べる情報源、比較前の確認項目、計算と推移の読み方を解説します。実在企業のランキングを並べる代わりに、条件をそろえた仮定例で判断の手順を示します。
この記事でわかること
- 公開資料や図書館から、シェアの情報を探す方法
- 市場全体・掲載企業・Web指標の違いを確かめるポイント
- 絶対シェア・相対シェアの計算と、売上推移の読み方
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最初に、どの市場のシェアを調べるか決める
シェアは、決めた範囲の全体に対する割合です。「大手だからシェアも高いはず」と考える前に、何を全体として、どの実績を比べるかを一文で決めます。

商品・地域・期間・指標をそろえる
市場シェアは、特定の市場で、ある企業や商品の販売実績などが占める割合を表します。市場占有率、マーケットシェアとも呼ばれます。売上金額のほか、販売数量や出荷数量など、目的に合う指標で集計します。
たとえば「国内の業務用ラベルプリンターについて、前年度のメーカー出荷金額を比べる」と決めます。この場合、海外向けの売上やラベル用紙の売上、小売店の販売価格を含む数字は、そのまま比較に使えません。
Freeasyの用語解説では、市場シェアを特定の販売市場における商品・サービスの割合と説明しています。売上金額だけでなく、販売個数や重量を使う場合もあります。
出典:Freeasy「市場シェアとは」(要約・2026年10月23日確認)
知りたいことに合う市場の広さを選ぶ
全国の競争構造を把握したいのか、特定地域の販売を改善したいのかで、必要な市場の範囲は変わります。全国シェアが分かっても、自社の商圏でどの商品が選ばれているかまでは分かりません。
対象を狭くすると実際の営業活動に近づきますが、公開データが見つかりにくくなることもあります。資料の区分と自社の対象が違う場合は、近い市場の参考情報として残し、自社が狙う市場の実績と区別しましょう。
先に市場の範囲を決めると、見つけた数字が比較に使えるかを判断できます。競合そのものをまだ選べていない場合は、顧客が比較検討する商品やサービスから候補を探します。
競合分析とは?やり方6ステップ・比較項目・フレームワーク10選競合の選び方や調査全体の進め方を確認したい方に。関連記事|マーケティングノート
競合シェアを調べる情報源と探し方
初めから数値が一つにまとまった資料を探すだけでなく、業界の全体像、企業別の実績、元になった調査を順に確認します。無料で見つかる資料と、有料の調査レポートや契約データベースも使い分けます。

資料案内から、業界名と商品名で探す
調べる業界に不慣れなら、国立国会図書館のリサーチ・ナビで、資料の種類や調査会社、業界団体を探すところから始められます。業界地図では主要企業の関係を、市場調査レポートでは商品区分ごとの市場規模や企業シェアを確認できる場合があります。
| 情報源 | 探し方 | 主に確認する内容 |
|---|---|---|
| 公的統計・業界団体 | 業界名・商品名と「統計」「出荷」「販売」 | 集計対象と、市場全体の規模 |
| 調査会社のレポート | 対象商品のカテゴリー、目次、調査概要 | 企業別シェア、商品・販路別の範囲 |
| 企業のIR・事業資料 | 競合企業の公式サイト、決算説明資料 | 対象事業の実績、シェアの注記と出典 |
| 新聞・業界専門誌 | 企業名・商品名と「シェア」「市場規模」 | 調査結果の紹介、競合の動き |
| 図書館の蔵書・契約データベース | 書名、業界名、調査会社名で所蔵を検索 | 資料の掲載範囲と利用できる場所 |
国立国会図書館は、業界動向の情報源として、業界地図、市場調査レポート、統計、専門雑誌・新聞などを紹介しています。図表の出典や参考文献から、より詳しい資料へ調査を広げる方法も案内しています。
出典:国立国会図書館「業界動向の調べ方」(要約・2026年10月23日確認)
具体的な資料には『日経業界地図』『会社四季報業界地図』などがあります。また、日本経済新聞社の「主要商品・サービスシェア調査」の公開ページでは、品目ごとの市場シェアと出所を確認できます。品目によって売上高・出荷台数などの基準が異なるため、対象年と集計指標を読んでから使います。
検索では「ラベルプリンター 市場シェア」「ラベルプリンター 出荷金額」のように、対象商品と知りたい数字を組み合わせます。企業名だけで探して見つからないときは、業界名や製品の分類を変えて資料を探してください。
IR資料の数値は、注記の調査元まで確認する
企業の決算説明資料や事業紹介には、シェアの数値が載っていることがあります。グラフの近くにある、対象年度、商品区分、地域、「当社推計」や調査会社名などの注記を読みます。
調査会社の資料を引用している場合は、その調査の概要や集計条件も確認しましょう。企業自身の推計なら、そのことを記録します。大きなシェアを示すグラフでも、特定機能を持つ製品や特定の販売経路だけを対象にしている可能性があります。
有料資料を検討するときは、購入前に目次、対象年、地域、商品分類、企業別データの有無を確かめます。図書館で閲覧できる場合もあるため、所蔵と利用条件を調べると、必要な資料を選びやすくなります。
見つけた数字を比較する前に確かめること
資料に「シェア」と書かれていても、計算の前提を確認せずに数字を並べると、違うものを比較することになります。数値の大きさより先に、分母と集計条件を読みましょう。

分母が市場全体か、掲載企業の合計かを読む
企業一覧の売上合計を分母にして計算した割合は、その一覧の中での構成比です。非掲載企業や非上場企業の売上が含まれていなければ、市場全体に占める割合とは一致しない場合があります。
たとえば、自社と競合1社の売上だけを合計し、その中で自社が占める割合を計算しても、ほかの企業を含む市場シェアにはなりません。比較の対象を2社に絞ることと、市場の分母を2社の合計に変えることは別です。
「業界動向サーチ」の業界売上高シェア一覧には、リンク先の業界データが掲載企業の合計または平均であり、すべての企業を反映しているわけではないという説明があります。一覧の数値を使う際は、このような集計範囲の注記を確認します。
出典:業界動向サーチ「業界売上高シェア一覧」の掲載範囲に関する注記(要約・2026年10月23日確認。掲載値の年次と集計範囲に注意)
商品区分・会計範囲・期間が一致するかを見る
会社全体の売上には、調べたい製品以外の事業が含まれることがあります。対象事業の数字が分からないときに、全社売上を一商品の市場規模で割ってはいけません。
メーカーの出荷金額と小売店の販売金額、フランチャイズ本部の収入と加盟店の販売額も、集計する段階が異なります。同じ業界の企業であっても、決算の数字をそのまま使えるとは限りません。
| 確認項目 | そろえる内容 | 比較がずれる例 |
|---|---|---|
| 商品・事業 | 同じ製品分類と対象事業 | 本体だけの市場に、消耗品の売上も含める |
| 地域・販路 | 国内・海外、対象の販売経路 | 国内市場と世界売上を比べる |
| 期間 | 同じ対象期間、実績か予測か | 暦年と異なる決算期を混ぜる |
| 金額・数量 | 出荷か販売か、単位と集計段階 | メーカー出荷額と小売販売額を混ぜる |
| 数値の出所 | 調査元、対象企業、推計の方法 | 一部企業の合計を市場全体と扱う |
表を作るときは、数値に出典URL、資料名・掲載ページ、対象期間、確認日を添えます。条件をそろえられない項目は「対象事業は未公開」「集計期間が異なる」など、理由を残して比較を保留します。
Webのアクセスや広告表示の割合と区別する
アクセス数、検索回数、広告の表示機会などを基準にしたシェアは、売上や販売数量とは別の割合です。外部ツールでアクセス数の推計が分かっても、そのまま競合の売上や販売シェアへは換算できません。
Google広告のインプレッションシェアも、広告の表示機会を基準にする指標です。仮に50%と表示されていても、その企業が市場の売上の半分を獲得しているという意味ではありません。
Googleは、インプレッションシェアを、広告が表示可能だった合計回数に対して、実際に表示された回数が占める割合と説明しています。表示可能だった回数は、ターゲット設定や品質などを考慮した推定です。
出典:Google広告ヘルプ「インプレッション シェアについて」(要約・2026年10月23日確認)
「何の実績を、どの全体で割った割合か」を確認すると、異なるシェアの混同を防げます。広告の掲載状況を比べたい場合は、Google広告の競合調査を扱う記事を参照してください。
Google広告の競合調査|透明性センターと指標の見方市場シェアと区別して、Google広告の掲載状況を比較する方法を解説します。関連記事|マーケティングノート
競合シェアの計算方法と推移の読み方
比較できるデータがそろったら、市場全体に対する割合と、競合との比率を計算します。推移を見るときは、シェアだけでなく、市場全体と各社の実績がどう変わったかも並べます。

絶対シェアは、市場全体を分母にする
絶対的市場シェアは、市場全体の実績に占める企業や商品の割合です。売上金額で計算する場合は、対象市場の売上で割って100を掛け、%で表します。数量を使う場合も、分子と分母を同じ数量の単位にそろえます。
市場シェア(%)=対象企業の対象商品の売上÷同じ市場全体の売上×100
以下は、国内の業務用ラベルプリンターのメーカー出荷金額を想定した、説明用の架空データです。実在する市場規模や企業の業績ではありません。対象範囲と集計方法は、前期・当期で変わらないものとします。
| 確認する数値 | 前期〈仮定〉 | 当期〈仮定〉 |
|---|---|---|
| 市場全体の金額 | 100億円 | 120億円 |
| 自社Aの金額 | 20億円 | 22億円 |
| 競合Bの金額 | 30億円 | 36億円 |
| その他の企業の合計 | 50億円 | 62億円 |
| 自社Aのシェア | 20.0% | 18.3% |
| 競合Bのシェア | 30.0% | 30.0% |
当期のA社は22÷120×100で約18.3%、B社は36÷120×100で30%です。数値が公開されていない企業を「0」として計算せず、市場全体をどの資料で把握したかを残してください。
相対シェアは、比較する競合を分母にする
相対的市場シェアは、自社のシェアを競合のシェアで割って比べる方法です。比較相手には、最大の競合を使う場合などがあります。どの企業を分母にしたかを明示します。
仮定例の当期でA社をB社と比べると、18.3%÷30%で約0.61倍です。元の金額を使えば22÷36となり、丸める前の比率を計算できます。%で表すなら約61.1%ですが、これは市場全体の61.1%を占めるという意味ではありません。
同じ分母で求めた絶対シェア同士なら、市場全体の大きさが相殺されるため、対象商品の売上金額同士の比率でも計算できます。企業や商品の対象範囲が違えば、この比較も成立しません。
売上の増減と、シェアのポイント差を分ける
仮定例ではA社の金額が20億円から22億円へ10%増えています。それでもシェアが20.0%から18.3%へ下がるのは、市場全体が100億円から120億円へ20%増え、A社より速く拡大したためです。
20.0%から18.3%への変化は、約1.7ポイントの低下です。金額の10%増と、シェアの1.7ポイント低下は、別の変化として記録します。シェアの計算には丸める前の数値を使い、表示する桁数を統一しましょう。
金額が伸びたかと、市場の中で占める割合が増えたかは、分けて判断します。値上げ、商品構成、為替などでも金額は変わるため、数量の資料があれば合わせて読み、変化の理由を探ります。
シェアの違いから、次に調べることを決める
シェアの差は、競争構造を知る材料になります。ただし、その数値だけで、顧客が競合を選んだ理由や、自社が取り組む施策まで決まるわけではありません。

伸びた商品・地域・販路を分けて確かめる
A社の仮定例なら、市場が伸びたのはどの商品区分か、自社が提供していない機能への需要が増えたのか、販売経路が違うのか、といった疑問が残ります。資料の内訳や自社の商談記録から、追加で確かめる内容を絞ります。
ここで「B社が新機能を出したからA社のシェアが下がった」と結論づけるのは早すぎます。競合の動きは仮説の材料にし、同じ顧客・用途の選択理由と照合しましょう。公開情報が足りなければ、対象顧客への聞き取りなど、目的に合う調査を検討します。
獲得する顧客と、提供する条件を具体化する
競合からシェアを獲得したい場合も、数字の目標だけでなく、誰のどんな困りごとに応えるかを決めます。価格、使いやすさ、導入支援など、顧客が選ぶ条件と、自社で継続して提供できる体制を確認します。
シェアを増やすための値下げや販促費の追加が、利益につながるとは限りません。獲得にかかる負担、提供後の対応、継続利用の状況も合わせて判断します。一律のシェア率を、安定収益や撤退を決める境界線にはしないでください。
顧客・競合・自社の関係を整理するなら3C分析、外部の変化と自社の条件から施策を考えるならSWOT分析を使う方法もあります。手法を順に全部使うことより、今回の判断に必要な情報をそろえることを優先します。
シェアで分かった違いを問いに変え、顧客の選択理由と自社の実行条件を確かめます。Webの競合調査を補助に使う際も、各ツールで分かることと推計の範囲を確認してください。
競合調査ツールおすすめ15選|無料の範囲・目的別の選び方【2026年】Webの競合調査を補助に使う際の、ツールと無料範囲の選び方を確認できます。関連記事|マーケティングノート
競合シェアの調査でよくある質問
公開データが見つからない場合や、資料の数値が異なる場合は、無理に一つの数字へまとめないようにします。知りたい範囲と、確認できた範囲を分けて記録しましょう。

競合シェアは無料で調べられますか?
公開統計、業界団体の資料、企業のIR情報、調査会社の公開レポートなどで確認できる場合があります。ただし、調べたい商品区分や企業別の内訳が無料公開されているとは限りません。図書館の所蔵も調べ、必要な情報が含まれるか確認してから、有料資料の利用を検討します。
非上場企業の売上やシェアが分からないときはどうしますか?
調査レポートや企業の公表資料などを探し、確認できなければ「未公開」「対象事業は未確認」と記録します。Webアクセスや従業員数から売上を決めつけず、推計を行う場合は計算の前提と限界を明示します。非公開の数字を0として比較表へ入れないでください。
業界シェアの一覧や「日本1位」は、そのまま比較に使えますか?
対象商品、地域、年度、金額か数量か、集計した企業の範囲を確認してから使います。企業全体の売上ランキング、特定市場の販売シェア、就職先の人気ランキングは別の情報です。どの市場かが決まっていなければ、一律に「日本1位の企業」は決められません。
資料によってシェアの数字が違う場合、どちらを使いますか?
まず対象市場と調査時点、集計方法、実績か予測かを確認します。条件が異なる資料の数字を平均して、一つのシェアにしないでください。目的に合う条件の資料を選び、数値が違う理由や比較できない点を注記します。同じ条件の推計でも差がある場合は、調査方法を確認します。
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