専門学校の競合分析は、同じ職種や進路を目指す人が検討する学科を選び、学ぶ内容、資格・就職実績、卒業までの費用を比べることから始めます。学校全体の知名度や就職率だけでは、学科ごとの違いは分かりません。
学科の魅力や学生募集を見直す広報・教務担当者に向けて、比較対象の選び方と7項目の調査表、案内を改善する手順を説明します。
この記事でわかること
- 職種・学科・修業年限から競合を選ぶ方法
- 資格、就職率、学費を同じ条件で比べる際の注意点
- 比較結果を学科ページとオープンキャンパスへ反映する方法
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学校名より先に、目指す職種と学科をそろえる
比較する学校は、進学希望者が迷う理由から選びます。同じ職種への進路と、学ぶ期間・条件を一組にすると、競合の範囲を絞れます。

職種・資格と修業年限を比較の単位にする
たとえば「高校卒業後、ゲーム制作を学び、開発職を目指す」と置きます。同じゲーム分野でも、企画、プログラミング、CG制作では、授業や作品制作、目指す職種が異なります。
対象学科、専攻、修業年限、昼間・夜間、入学資格、募集年度を記録しましょう。高校生の進学、社会人の学び直し、留学生の進学も、出願条件や必要な支援が違うため分けます。
大学・短大・民間スクールも候補になる理由を残す
同じ仕事を目指す人が検討するなら、専門学校以外も比較対象に入ります。大学・短大・専門職大学や民間スクールを、学校の種類が違う選択肢として整理します。
学位・称号、資格や免許の受験資格、学ぶ年数、授業内容、費用を別々に確認してください。名称が似ていることや、同じ職種を広告に載せていることだけで、卒業時に得られる条件が同じとは判断できません。
通学と転居を含め、実際に検討される範囲を見る
自宅からの通学時間、実習先への移動、授業の終了時刻を調べます。転居を伴うなら、寮・住居の条件、生活費、保護者と相談する機会も比較項目になります。
距離が近い学校だけに限定せず、自校の来校者や入学者が実際に検討していた学校を、個人が分からない形で集計します。公開情報から、他校の志願者数や辞退理由を推測で埋めないようにします。
3C分析の競合分析とは?調査6項目・やり方と記入例進学希望者が選ぶ条件を軸に、自校と競合の比較項目を整理する。関連記事|DSSお役立ちコラム
学科の内容と進路・費用を7項目で比較する
学科ページに加え、募集要項、学費案内、情報公開資料、資格・就職実績を集めます。同じ学科・年度の情報をつなぎ、数字の対象と条件まで読むことが比較の基本です。

| 比較項目 | 調べる内容 | 確認する条件 |
|---|---|---|
| 授業・実習 | 科目、時間、作品、企業連携 | 対象学科と学生の参加範囲 |
| 制度・資格 | 課程、称号、資格取得の条件 | 学科・入学年度・受験要件 |
| 就職・進路 | 人数、職種、雇用形態、支援 | 年度・分母・集計時点 |
| 卒業までの費用 | 学納金、教材、実習、検定等 | 全学年と必須・任意の区分 |
| 修学支援 | 学習、相談、休学・復学支援 | 窓口と実際の対応内容 |
| 入試・手続き | 出願資格、選考、期限、納付 | 対象年度・学科・方式 |
| 来校・情報発信 | 体験内容、相談、申込方法 | 対象者と当日の提供内容 |
授業・実習は、設備の写真と使える機会を分けて見る
学ぶ順序、実習時間、制作する課題、講師の担当分野を確認します。設備があるだけで、全員が十分な時間を使えるとは限らないため、授業での利用方法や人数も見ましょう。
企業連携は、講演、授業の共同企画、実習、作品への講評、採用のどれかを分けます。連携先の企業名だけから、その企業への就職や全学生の実習参加を読み取らないようにします。
文部科学省は、企業等と連携して教育課程を編成し、実践的な職業教育の質の確保に取り組む専門課程を「職業実践専門課程」として認定しています。認定状況は学科単位で確認し、学校の全学科が対象とは解釈しません。
課程・称号と、資格を取得する条件を区別する
専門士・高度専門士といった称号と、職業に必要な資格・免許は別項目にします。「目指せる資格」「受験資格が得られる」「卒業により取得できる」では意味が違うため、案内の条件を読みます。
資格試験の合格率は、試験名、年度、受験者数、合格者数、新卒・既卒の範囲を確認します。受験した学生だけの率を、その学科へ入学した全員の資格取得率に置き換えないようにしましょう。
令和8年度以降の専門課程に関する文部科学省のQ&Aは、特定専門課程や単位制、指定養成所等の基準を説明しています。旧制度の説明と新年度の案内を混ぜず、比較する入学年度・学科に対応した資料を確認します。
就職率は、分母・年度・職種とセットで読む
就職希望者に対する率なのか、卒業者全体に対する割合なのかを確認します。内定と就職、学科単独と学校全体、単年度と過去の累計も分けてください。
次は卒業者100人、就職希望者80人、就職者76人とした架空の例です。同じ就職者数でも、分母が変わると表示する割合は異なります。実在校の実績ではありません。
| 割合の見方 | 計算 | この例の値 |
|---|---|---|
| 就職希望者に占める就職者 | 76人÷80人×100 | 95% |
| 卒業者に占める就職者 | 76人÷100人×100 | 76% |
この例から、希望職種への就職者数や雇用形態、入学後に卒業した割合までは分かりません。主な就職先の企業名を見つけたら、年度、職種、対象学科を併せて確認します。
文部科学省の2018年の情報公開に関する検討資料は、就職率の評価には卒業者数・就職希望者数・就職者数等の実数が必要だとしています。現在の全校共通の表示方法を示す資料としてではなく、数字を確かめる視点として参照しています。
初年度納付金と、卒業までに必要な費用を分ける
入学金、各学年の授業料、施設費、教材・機材、実習、検定、研修等を並べます。必須か希望者のみか、毎年か一度だけかも記録し、初年度の表示額だけで比べないようにします。
奨学金や減免は、給付か貸与か、対象者、申請時期、継続条件を確認します。支援前の必要額と、条件を満たした場合の支援額を分け、入学時点で全員に適用されるような説明を避けます。
日本学生支援機構は、高等教育の修学支援新制度を授業料・入学金の減免と給付型奨学金に分けて案内しています。対象校の確認に加え、申込資格や学力・家計等の条件、年度ごとの手続きを確認します。
出典・要約:日本学生支援機構「高等教育の修学支援新制度」
学び続けるための支援を、窓口と対応内容で比べる
補習、学習相談、学生相談、経済的な相談、休学・復学の案内を確認します。「サポート充実」の言葉に加えて、相談先、利用方法、対応できる内容を記録しましょう。
中途退学の情報を使う場合は、対象年度と学科、算出方法を残します。数字だけで理由や学校の質を決めず、学習や進路の相談にどう対応しているかも読みます。
入試は学科・選抜方式ごとの最新の募集要項を見る
出願資格、募集人数、選考方法、出願と納付の期限、併願の条件を確認します。総合型、推薦、一般などの名称だけで同じ条件にまとめないようにします。
選考の難易度や合格可能性は、他校の口コミから断定できません。募集停止や定員変更、学科名の変更があれば、対象年度の公式案内に合わせます。
オープンキャンパスは、体験する内容と相談できることを見る
実習内容、所要時間、対象学科、保護者参加、持ち物、費用、オンライン対応を比較します。開催回数の多さと、学科の違いを理解できる内容かどうかは別の観点です。
申込から当日の案内までを公開画面で確認し、自校では希望する学科や相談内容を無理なく選べるかも点検しましょう。競合校の体験へ、架空の進学希望者として申し込む必要はありません。
専門学校を比較検討している層へ情報を届ける
学科の学び・進路・学費の条件を整理したら、比較検討層へ情報を届けるライバルマーケティング広告の仕組みをご確認いただけます。
ライバルマーケティング広告の詳細はこちら比較結果を、学科の説明と教育内容の改善に分ける
競合と違うことが、そのまま強みになるわけではありません。説明が足りない点と、実際に提供する内容を変える点を分けると、次の担当と作業を決めやすくなります。

根拠・未確認・自校の改善案を同じ調査表へ残す
学校名、学科、対象年度、7項目、参照URL、確認日を記録します。就職先の職種が見つからない場合などは未確認であり、その職種への就職者がいない証拠にはなりません。
| 比較で気づいた点 | 自校で確かめること | 改善の記入例 |
|---|---|---|
| 就職率の範囲が不明 | 学科・年度・実数と集計方法 | 率の近くに対象と人数を添える |
| 学費が初年度のみ | 全学年の必須費用と時期 | 卒業までの内訳を案内する |
| 実習の説明が抽象的 | 学ぶ内容と参加条件 | 授業の流れと制作例を示す |
この表は自校を点検するための例です。他校の不足を強調するために使わず、自校の案内にも同じ疑問が残っていないかを確かめます。
広報で直せる案内と、教務・就職担当の判断を分ける
資料の更新日や費用の内訳を明記する作業と、授業・実習・就職支援を増やす判断は分けます。後者は教員、設備、連携先、時間、費用を確認する必要があります。
優先するのは、進学希望者が迷っていて、自校が根拠を示して説明できる内容です。広報担当だけで新しい支援を約束せず、教務や就職担当と提供できる条件をそろえましょう。
競合分析テンプレートを無料配布|比較表の項目・Excel記入例根拠と未確認の欄を分けた比較表の作り方・記入例を見る。関連記事|DSSお役立ちコラム
学科ページと来校体験で、同じ判断材料を伝える
比較表ができたら、自校の案内を進学希望者の疑問に合わせます。Webで伝えた学び・進路・費用を、来校時にも確かめられる状態に整えましょう。

入学した人と、入学しなかった人の声を区別する
入学者の声から、何を比較し、何が決め手になったかを学べます。ただし、入学者だけへの調査で、自校を選ばなかった人の理由や、地域の高校生全体の評価は分かりません。
「全国専門学校共同入学者調査」の提供元は、入学直後の入学者全員を対象に無記名アンケートを行う方法を公開しています。入学者の認識を把握する手段であり、非入学者を含む全体の意見と区別して扱います。
出典・要約:専門学校のための選ばれる学校づくり「入学者調査」
相談やアンケートは利用目的を示し、集計できる範囲で活用します。比較校名を知ることだけを目的にせず、自校の説明で解消できなかった疑問を整理してください。
資料請求・来校・出願・入学を学科別に確かめる
学科ページの閲覧、資料請求、来校の予約と参加、出願、入学を分けて記録します。学校全体の反響が増えても、募集したい学科の検討につながっているとは限りません。
同じ人の複数回参加を新しい人数として足さず、年度と募集時期をそろえて振り返ります。学科の違いと費用を説明できるページが整ったら、比較検討層へ情報を届ける広告も検討しましょう。
専門学校の競合分析でよくある質問
学校の評価や進路の比較は、確認できる根拠から進めます。強い言葉や一つの率だけで全体を判断しないことが大切です。

口コミだけで学校の良し悪しを判断できますか?
口コミは、学科・在籍時期・個人の経験によって内容が異なります。授業や実習、資格・就職実績、費用、相談体制の公式情報と照合し、一つの投稿から学校全体を評価しないようにします。
大学と専門学校は、どちらが有利ですか?
目指す仕事、学びたい内容、必要な学位・称号・資格、期間、費用によって比較する条件が変わります。学校の種類だけで優劣を決めず、同じ進路につながる具体的な学科・課程を比べます。
中途退学が多いかを比較するには何を見ますか?
年度、対象学科、分母、集計方法を確認します。ある年度の在籍者に対する割合と、同じ年度に入学した人を卒業まで追った割合は別です。数値が非公開なら推測せず、学習相談や休学・復学などの支援も確認します。
専門学校の入試では、誰でも合格するのですか?
一律にはいえません。学校・学科・選抜方式ごとに出願資格や選考方法が定められています。比較する年度の募集要項を読み、体験参加や出願だけで合格が保証されるような案内をしないことが大切です。











