整骨院の競合分析では、保険の対象となる施術と自費メニューを分け、料金・担当者・受付条件をそろえて比べます。他院の窓口負担と自院の自費料金を並べても、価格の妥当性や利用者が迷う点は判断できません。
近隣の院を調べる目的は、自院で何を改善するかを決めることです。この記事では、比較する整骨院の選び方、調査する6項目、記入例、集客へ使う際の広告表現までを順に解説します。
この記事でわかること
- 施術の区分と通える範囲から、比較する院を絞る方法
- 保険・自費料金、担当者、初回受付を分ける調査表
- 自院の案内を改善し、発信前に広告表現を確かめる手順
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比較する整骨院は、施術区分と通える範囲で選ぶ
同じ地域にある院が、すべて同じ条件で競合するわけではありません。まず、どの施術を求める人が、どの時間帯に通うのかを決めると、調べる相手が明確になります。

整骨院・接骨院を基本に、整体などは別業態として記録する
柔道整復の施術を比較するなら、整骨院・接骨院を中心に候補を探します。柔道整復師は国家資格で、整骨院と接骨院は呼び名が違っても同じ資格に基づく施術所です。
日本柔道整復師会は、柔道整復師が国家資格者であること、整骨院・接骨院・ほねつぎは名称が違っても同じ資格に基づく施術所であることを説明しています。
整体院、鍼灸院、リラクゼーション店などが利用者の候補に入ることもあります。ただし、資格制度、提供内容、保険の条件を一括りにはできません。比較表に「業態」と「担当者の資格」の欄を設け、店名だけから判断しないようにします。
生活経路と初回の受付時間から、直接の競合を絞る
仕事帰りの来院を想定するなら、駅の出口からの経路と、初めて来る人を何時まで受け付けるかを確認します。住宅地で車の利用が多いなら、駐車場の場所や道路からの入りやすさも比較対象です。
最初は、同じ利用場面で候補になる数院を選びましょう。直線距離が近くても、川や幹線道路を越える必要があれば通いやすさは変わります。遠方の有名院は、直接の競合とは分けて、説明や予約の工夫を学ぶ参考先として残せます。
地図・通常検索・広告を分けて候補を探す
地域名と「整骨院」「接骨院」などを組み合わせて検索し、地図、通常の検索結果、スポンサー表示を分けて記録します。検索語句、日時、検索した場所、表示されたページのURLも残してください。
Googleのローカル検索結果は、主に関連性・距離・知名度を組み合わせて表示されます。一度の表示順位だけで、地域全体での優劣は判断できません。
地図で目立つ院と、詳しい料金ページを持つ院は一致するとは限りません。順位だけを集めず、初回の案内、費用、受付までの情報をたどります。
3C分析の競合分析とは?調査6項目・やり方と記入例顧客が選ぶ条件を軸に、競合と自院の比較項目を整理する。関連記事|DSSお役立ちコラム
保険・自費料金・受付条件を、6項目で比較する
料金を比べる前に、何に対する費用かをそろえます。施術の区分、含まれる内容、利用できる条件を一組にして読むことが基本です。

| 比較項目 | 確認する情報 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 施術の区分 | 柔道整復、鍼灸、自費メニューの案内 | 名称だけで内容を同一視しない |
| 保険の説明 | 対象、対象外、確認が必要な条件 | すべての症状で使えるとしない |
| 自費料金 | 初回、通常、必須費用、契約総額 | 窓口負担や割引額と混ぜない |
| 担当者と時間 | 資格、対応日、初回の所要時間 | 院全体の人数と担当を分ける |
| 受付とアクセス | 初回の最終受付、経路、駐車場 | 閉院時刻と最終受付を分ける |
| 予約と変更 | 確定の連絡、当日受付、変更方法 | 希望日時の送信だけで確定としない |
保険の窓口負担を、自費の施術料金と比べない
柔道整復で健康保険の対象となるのは、骨折、脱臼、打撲、捻挫などの施術です。骨折・脱臼には、緊急時を除いて医師の同意が必要です。単なる肩こりや筋肉疲労への施術は対象になりません。
厚生労働省は、柔道整復の保険対象と対象外を区別しています。また、患者が窓口で自己負担分を払い、施術者が残りを保険者へ請求する「受領委任」の仕組みを説明しています。
出典・要約:厚生労働省「柔道整復師の施術を受けられる方へ」
このため、保険対象の施術に対する窓口負担は、施術費用の全額を示す自費料金と同じ指標ではありません。「近隣は数百円だから自院も値下げする」と判断する前に、何の費用かを確認してください。負傷の状況などが分からない公開情報だけでは、個々の人の保険適用も確定できません。
交通事故や仕事中のけがに関する案内も、健康保険や通常の自費メニューと分けて記録します。「交通事故対応」という掲載だけから、自費の高単価メニューや競合の利益を推定しないようにします。
自費は初回と通常料金、必須費用をそろえる
自費メニューは、名前が同じでも、内容や時間、含まれる説明が違うことがあります。まず単発の通常料金を確認し、初回の追加費用、指名料、必須の検査・説明などの扱いを読みます。
| 料金の表示 | 追加で確認すること | 調査表への残し方 |
|---|---|---|
| 初回限定価格 | 対象者、期限、必須費用、内容 | 初回の支払総額を記録 |
| 通常の自費料金 | 対象メニュー、時間、税込・税別 | 同じ利用条件で比較 |
| 回数券・月額契約 | 総額、回数、期限、解約条件 | 単発料金とは別欄へ |
| 追加メニュー | 任意か必須か、対象、費用 | 選択した場合の総額を分記 |
例えば、架空の料金例で、自費施術が税込5,000円、初回の説明料が税込1,000円で必須なら、初回の支払総額は6,000円です。施術料だけを抜き出すと、利用者が払う金額を比べられません。この数字は相場や実在する院の料金ではありません。
回数券は1回換算額だけでなく、先に支払う総額、使えるメニューと期間、予約の制限、未使用分や途中解約の扱いを確認します。掲載がなければ未確認と残し、競合の販売方法をそのまま採用しないことが大切です。
担当者の資格と、初回に必要な時間を確かめる
在籍者の数だけでは、その曜日や時間に誰が対応するかは分かりません。資格の正式名称、保有者、担当する施術、担当者を選べる条件を確認します。鍼灸などを併設している場合も、柔道整復と分けて整理してください。
時間は、施術にかかる時間と、説明・着替え・会計を含む滞在時間を分けます。「30分枠」という表示だけで、30分すべてが施術時間だとは判断できません。初回と再来で所要時間が変わるかも見ておきましょう。
最終受付、予約確定、変更条件まで読む
「20時まで」という案内があっても、初回の受付はそれより早く終わる場合があります。初回と再来、予約済みと予約なしで、受け付ける条件がどう違うかを調べます。
WebやLINEで希望日時を送れることと、予約が確定することも別です。返信を待つ必要があるのか、空き枠を選ぶと確定するのかを確認し、変更・キャンセルの連絡先や期限と一緒に記録しましょう。調査のために予約を入れたり、患者を装って問い合わせたりする必要はありません。
調査表から、自院の案内と受け入れを改善する
比較で見つかるのは、他院の特徴や公開情報の差です。そこから自院にも同じ問題があるかを確かめ、実行できる改善を選びます。

URL・確認日を残し、未確認を推測で埋めない
調査表には、院名、6つの比較項目、参照したURL、確認日を残します。地図と公式サイトで受付時間が違っていたら、両方を書き、最新らしい方を推測で採用しないようにします。
予約画面の空き枠も、公開されている枠の一部かもしれません。空きが多いから患者が少ない、口コミが多いから売上が高い、といった推定にはつなげないでください。
| 調査で見つけたこと | 自院で確かめること | 改善の記入例 |
|---|---|---|
| 保険と自費の料金が同じ欄にある | 予約前に届く費用の質問 | 区分と対象を分けて案内 |
| 初回の最終受付が見つからない | 初回に必要な時間と担当者 | 初回受付と閉院時刻を併記 |
| フォーム送信後の流れが不明 | 返信待ちの質問や連絡漏れ | 確定の連絡と目安を明記 |
上の表は調査の使い方を示す例です。「見つからない」は、公開情報で確認できなかったという意味で、院内で説明していないと確定したわけではありません。競合の事実、自院への質問、改善案は欄を分けると整理できます。
よく届く質問と、対応できる枠から優先順位を決める
料金について同じ質問が繰り返されているなら、費用の案内を先に直す候補になります。希望日時に対応できないことが多いなら、担当者の配置と、説明を含めた予約枠を確認します。
競合の夜間営業や新しいメニューを見つけても、すぐに同じ対応を増やす必要はありません。自院に利用希望があるか、資格を持つ担当者が対応できるか、現在の施術や説明に支障が出ないかを確かめましょう。需要と受け入れに根拠がある項目から取り組みます。
予約数と実来院を分け、変更した箇所を振り返る
改善後は、同じ施術区分や期間で、問い合わせ内容、予約確定数、実際の来院数を確認します。料金ページの閲覧や予約ボタンのクリックを、そのまま来院人数として扱わないようにしてください。
再来院についても、必要な施術が終わった人と、説明や予約の行き違いで来られなかった人を同じ問題にはできません。通院を増やすことだけを目標にせず、必要な説明が伝わり、本人が納得して利用できたかを振り返ります。
整体院の競合分析|料金・施術時間・予約の比べ方整体院を比較する場合の、料金・時間・契約条件を確認する。関連記事|DSSお役立ちコラム
競合の訴求を集客へ使う前に、広告の範囲を確かめる
他院が掲載している文言でも、自院の広告に使えるとは限りません。院内の比較資料と、外向けに掲載する内容を分けて確認する必要があります。

柔道整復の広告は、事実であれば何でも載せられるわけではない
柔道整復の業務・施術所の広告には、法令で認められた事項の範囲があります。氏名、所在地、施術日・時間などの情報と、施術者の技能、施術方法、経歴を宣伝することを混同しないでください。
厚生労働省のガイドラインは、柔道整復師法で広告可能な事項が限定されること、技能・施術方法・経歴に関する広告が認められないことを示しています。
Webサイトと広告のリンク先を一緒に確認する
Webサイトは原則として法の規制対象となる広告に該当しませんが、バナー広告などと一体のリンク先は、要件を満たすと広告として扱われます。「ホームページだから自由に掲載できる」とは判断しないことが大切です。
広告に当たらないWebサイトについても、ガイドラインは適切な情報提供を促しています。自費の施術では、内容、通常必要な費用、主なリスクなどの説明が、利用者に分かる場所にあるかを確認します。
第Ⅵ章は、広告と一体となるWebサイトの扱いに加え、広告に該当しないサイトについても、自費の内容・費用・リスク等を分かりやすく示す考え方を定めています。
口コミ・効果・他院より優れるという表現を転用しない
口コミは、説明や予約で利用者が気にしている点を探す手掛かりです。件数や評価だけで施術の品質を決めたり、好意的な感想を効果の根拠として広告へ転用したりしないようにします。
第Ⅵ章では、効果を断定する内容、他院との比較で優良性を示す表現、都合のよい体験談の強調などを、Webサイト等へ掲載すべきでない事項として挙げています。
発信する前に、広告文、画像、誘導先ページを合わせて確認しましょう。掲載可否に判断が必要な場合は、施術所の所在地を管轄する自治体の窓口等へ、実際に使う表示を示して確認します。
整骨院の競合分析でよくある質問
経営や再来院に関する数字を見るときも、施術区分や集計条件を確かめます。競合調査の結果を、自院で確認できる情報と照合することが大切です。

整骨院は儲かる経営ですか?
利益が残るかは、自院の施術収入と、人件費・家賃・設備費などの費用によって変わります。競合の窓口負担や口コミ数だけでは収益を判断できません。保険と自費の収入を分け、対応できる人数や時間と合わせて、自院の収支を確かめてください。
整骨院のリピート率はどのくらいですか?
一律の割合を目標にする前に、初回来院者の何回目の来院を、どの期間で数えるかを決めます。必要な施術が終了した人もいるため、再来院しないことをすべて不満や離脱とは扱えません。自院で定義をそろえ、説明や予約で困らせていないかを確認しましょう。
整骨院業界は今後どうなると思いますか?
全国の動向と、個々の院の需要・経営は分けて考えます。地域の人口や生活経路、近隣院の受付条件、自院への質問と予約の動きを定期的に見直すと、対応する必要がある変化を捉えやすくなります。競合が増やしたメニューも、自院の需要と資格・人員を確認して判断します。
整体院の5年生存率はどのくらいですか?
整体院全体の5年生存率として、調査条件の不明な数字を採用するのは避けましょう。数値を見る際は、対象業種、開業した年、調査対象数、廃業の定義を確認してください。整体院と整骨院の数字や、一定期間の倒産件数を混ぜて、自院の生存確率と考えることは避けましょう。











