競合UX分析のやり方|比較項目と記録例

  • LINEで送る
利用者の目的から競合の体験と改善案をつなぐ競合UX分析

競合のサイトを見て「こちらの方が使いやすい」と感じても、どこを直せばよいか説明できない。画面を集めた資料はあるのに、改修の優先順位が決まらない。そんなときは、利用者が一つの用事を済ませる過程に絞って、違いを記録してみましょう。

競合UX分析は、同じ目的で使われる競合のサービスを調べ、利用者の判断や操作を支える工夫から、自社の体験を改善する手掛かりを得る方法です。目的と比較条件を決め、操作や案内を観察し、気付いた点を自社の課題と照らして検証します。担当者が画面を見た結果と、実際の利用者を対象にしたテスト結果は分けて扱います。

この記事でわかること

  • UX分析で調べる範囲と、比較対象・条件の決め方
  • 利用者の判断・操作・困ったときの案内を見る項目
  • 観察記録を、試せる改善案と優先順位に変える方法

動画でわかるライバルマーケティング広告

競合と比較検討される場面を踏まえ、広告で自社を知ってもらう方法もご確認ください。

ライバルマーケティング広告の仕組みを見る

競合UX分析で、改善したい体験を具体的にする

調べたい体験が曖昧なままでは、トップページから会員機能まで調査が広がります。まず、利用者が困っている場面と、調査後に決めたいことを結び付けます。

利用者の困りごとから調査する場面を決める

UXは、画面の見た目だけで決まらない

UXは、商品やサービスに触れ、使うときの体験を指します。文字やボタンなどの接点を表すUIもその一部ですが、必要な情報が分かるか、途中で間違えても直せるか、利用後に困ったとき相談できるかまで関わります。

たとえば法人向けの印刷サービスなら、見積もり画面が整っていても、どの形式で原稿を用意すればよいか分からなければ、発注の準備を進められません。ページを横断する説明や、問い合わせ先の案内も比較する対象になります。

「使いやすくしたい」を、決めたい問いへ置き換える

最初に決めるのは、利用者がどの場面で何を判断できるようにするかです。「見積もりフォームを改善する」だけでなく、「印刷に不慣れな担当者が、必要な原稿と納期の条件を入力前に判断できるか」と書くと、見るべき情報が絞れます。

自社の問い合わせ、入力エラー、途中離脱などから、確かめたい困りごとを選びます。数値だけでは理由が分からない場合もあるため、利用者の話や操作の観察と照らします。競合を見る前に、自社側で分かっていることと不明なことを整理しておくと、調査の方向がぶれにくくなります。

利用者がどのような状況でサービスを訪れるかを設定し、情報・文言・機能・導線などを調べる方法が、実務の経験に基づいて説明されています。

出典元:株式会社ヒカリナ|利用文脈を考慮した競合分析(要約)

同じ利用場面で、対象と調べ方をそろえる

同じ会社のサービスでも、利用目的や経験によって必要な案内は変わります。比較対象と調査方法を、改善したい体験に合わせて選びます。

同じ利用者の目的と端末の条件で競合を比較する

実際に比較される相手から、操作できる範囲を選ぶ

顧客が検討時に挙げる会社や、似た用事を済ませられるサービスを候補にします。有名企業だけにそろえる必要はありません。操作や説明の工夫を知りたい場合は、同じ課題を別の方法で解決しているサービスも参考になります。

端末、画面の大きさ、ログイン状態、利用者の知識、入力する条件などを記録します。初めて使う人と継続利用者を混ぜて比べると、必要な説明の違いを、使い勝手の差と取り違えます。

最初は、自社と少数の候補、一つの課題に絞ると記録をそろえやすくなります。有料契約や実際の注文が必要で確認できない先は、その時点までを調査範囲とし、見ていない画面を評価の対象にしないようにします。

点検で分かることと、テストで確かめることを区別する

担当者の点検と、利用者を対象にしたテストは分けます。担当者が操作して気付いた懸念は、実際の利用者の行動を示す結果ではありません。「説明がリンク先にあった」という観察から、「利用者は説明を読めない」とまでは断定できません。

専門家が使いやすさの観点で評価する方法は、ヒューリスティック評価などと呼ばれます。一方、ユーザビリティテストでは、対象となる利用者に課題を実行してもらい、理解や操作を観察します。

テストの課題は、押すボタンの名前を教えず、「納期に間に合う条件を調べたい」のように目的を伝えます。同じ人が複数のサービスを試す場合は、操作への慣れが一方だけを有利にしないよう、試す順番も調整します。

競合の評価方法として、専門家によるレビューと、利用者が複数の製品で課題を行うテストを区別しています。テスト順の調整や、共通する主要課題に絞る考え方も示されています。

出典元:Nielsen Norman Group|Competitive Usability Evaluations(要約)

競合サイト分析のやり方|見るべき7項目・無料で調べる範囲競合サイトの調査項目を整理し、UXの比較で見るページを選ぶときに役立ちます。関連記事|DSSお役立ちコラム

判断に必要な情報と、迷った場面を記録する

比較表を機能の有無で埋めるだけでは、使う場面の違いが残りません。どの情報で判断し、次に何ができたかを、操作の流れに沿って確認します。

操作の流れで判断に必要な説明と修正方法を記録する

入口・判断・操作・修正・その後を見る

以下は、Webサイトやサービスを比較するときの確認例です。すべてを同じ重さで採点するのではなく、今回の課題に関係する欄を選び、同じ観点で自社も調べます。

観点確認する内容
入口が分かるか用事に合うサービスや手続きへ、案内から進めるか
判断に必要な説明があるか対象、料金、納期、必要な準備を、選択前に理解できるか
次の操作が分かるか入力内容、必須の理由、次に起きることが示されるか
間違いや不明点に対処できるか入力の修正、前の操作への戻り方、関連するヘルプが分かるか
完了後の見通しがあるか受付状況、次にすること、連絡や変更の方法が分かるか

確認ボタンが一つ少ないことだけで、使いやすいとは決まりません。必要な条件を見落とさず、誤った入力に気付き、目的を達成できるかを見ます。画面の切り替え回数を数える場合も、その手順が必要な理由と一緒に記録してください。

事実と解釈を分け、見直せる記録にする

見た事実、考えた理由、まだ確かめていないことを分けて書きます。「親切な案内だった」ではなく、「入力欄の隣に原稿形式の例があり、別ページを開かず確認できた」と残すと、改善案の根拠を共有できます。

記録には、調査日、対象URL、操作条件、該当画面を添えます。利用者を対象にしたテストなら、どんな人が、どの課題で、何をしたかも必要です。少人数の行動を、利用者全体の割合として扱わないようにします。

レビューや問い合わせは、観察する場面を探す手掛かりになります。ただし、一件の声を全体の評価とせず、投稿時期や利用条件、同じ困りごとが繰り返されるかを確かめ、自社でも起きているかを確認します。

競合の口コミ分析のやり方|比較表の例と改善への活かし方利用者の声から困る場面を探し、調査する課題へつなげる方法を確認できます。関連記事|DSSお役立ちコラム

比較検討されるサービスの体験を整えるとともに、競合サイトを見ている方へ自社を知ってもらう広告も検討できます。

ライバルマーケティング広告の仕組みを見る

架空の印刷サービスで、記録を改善案へ変えてみる

調査結果を集めたら、自社のどの問題に使えるかを考えます。ここでは、初めて印刷を発注する法人担当者を想定した架空例で、記録から検証までを整理します。

印刷データの確認案を試作品で検証する

原稿の準備に迷う場面を取り上げる

架空の自社サイトでは、入稿するファイルの形式が、入力後に開くヘルプに書かれているとします。比較先には、入力前の画面に「用意する原稿」の短い案内がありました。実在企業を調査した結果や、成果を示す事例ではありません。

ここで「比較先と同じ説明を足す」と決める前に、自社の利用者がどんな原稿を用意すべきか迷っているかを確かめます。問い合わせが多くても、原因が形式なのか、仕上がりの確認なのかによって、必要な対策は変わります。

段階架空例で残す内容
観察した事実比較先は入力前に原稿形式と確認用の例を案内していた
自社で確認する問題必要な原稿を判断できず、入力を中断する場面があるか
試す改善案入力前に準備項目と対応形式を示し、詳しい説明へ進める
確かめること対象の担当者が原稿を選べるか、例外条件を誤解しないか
提供側の確認実際に受け付ける形式と、案内を更新する担当・手順が一致するか

簡単な試作品で、判断できるかを確かめる

原稿の準備が課題なら、先に入力前の案内を試作します。最初から注文機能の全体を作り直す必要はありません。利用者が対象の形式を選べるか、分からない場合に説明へ進めるかを確認します。

試作品は、画面の下書きや簡単につないだ画面でも構いません。完成品と同じように使えない部分を明示し、今回確かめたい判断や操作に集中します。見せた後で「分かりやすいですか」と聞くだけでなく、課題を進める様子を見ます。

ユーザビリティテストや専門家の評価、定性・定量調査を目的に応じて使い分ける考え方を説明しています。異なる調査を組み合わせて、課題の発見や効果の確認につなげる方法も紹介されています。

出典元:株式会社ニジボックス|UXリサーチの定番手法(要約)

自社の困りごとと、実行できる範囲で優先順位を付ける

競合との違いを埋めるより、自社で起きている問題を解決することを優先します。用事を終えられなくなるのか、やり直せば進めるのか、どの利用者に起きるのかを整理すると、改修の順番を話し合えます。

改善案には、対象の問題、確認した根拠、変更する箇所、確かめる方法、必要な運用を添えます。担当と次の確認時点まで決めておくと、比較資料を作っただけで止まりにくくなります。

公開後は、自社で計測できる行動や問い合わせの変化を確認します。問い合わせが減っても、案内が伝わったのか、相談先が見つからなくなったのかは別の問題です。用事を達成できたかという目的へ戻り、必要に応じて利用者の行動も調べます。

競合UX分析を始めるときの疑問

専用ツールや大規模なテストがなくても、目的を絞った記録は始められます。どこまで確認したかを明らかにし、判断に足りない部分だけ調査を追加しましょう。

調査目的に合わせて道具と確認する範囲を選ぶ

競合UX分析は、無料のツールで始められますか?

公開ページの確認、画面の記録、表計算による比較から始められます。画面をつないだ試作品や利用者のテストが必要になったら、その目的に合う道具を選びます。アクセス数の推計ツールだけで、利用者が迷った理由や他社の実際の成約率が分かるわけではありません。

何社を比較すればよいですか?

一律の正解はありません。同じ利用場面を調べられる少数の候補と自社から始め、課題への異なる対応方法が見つかるかを確認します。記録をそろえられないほど広げず、判断に必要な違いが不足する場合に対象を追加します。

競合分析には、必ず使うべき8つの手法がありますか?

手順やフレームワークの分類は資料によって異なります。UXを改善したい場合は、目的、利用条件、操作の観察、必要な検証を先に決めます。市場全体や事業上の強みを整理する分析は、競合分析の基本を扱う記事と併せて確認してください。

比較対象を選ぶところから確認したい方は、競合分析の基本と進め方も参照してください。調査の土台を整理できます。

自社サービスの比較検討層へ届ける広告について、配信の仕組みをご確認ください。

ライバルマーケティング広告の仕組みを見る
  • LINEで送る

関連記事