3C分析の競合分析では、顧客が比較する商品・サービスを選び、価格や提供条件、選ばれる理由を調べます。集めた情報を顧客の要望と自社の対応力に照らし合わせ、どこで選ばれる余地があるかを考えることが目的です。
「競合の強み・弱みを書いてください」と言われても、会社概要や機能を並べるだけでは判断につながりません。先に顧客が重視する条件を決め、その条件に各社がどう応えているかを比べると、競合欄に書く内容が具体的になります。
この記事では、3C分析における競合の役割、調査する6項目、記入例、施策へのつなげ方を解説します。顧客や自社の情報がまだ足りない場合に、何を追加で確かめるかも紹介します。
この記事でわかること
- 競合の選び方と、比較項目の決め方
- 確認した事実と仮説を分ける記入方法
- 顧客・競合・自社を照らし合わせて施策を考える方法
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3C分析では、顧客が選ぶ基準から競合を見る
3C分析は、顧客・市場、競合、自社という三つの視点で事業環境を捉える枠組みです。競合だけを詳しく調べても、その違いが顧客にとって大切なのか、自社が対応できるのかまでは分かりません。

Customer・Competitor・Companyの関係
Customerは市場や顧客、Competitorは競合、Companyは自社を指します。顧客については、誰が何に困り、どのような条件で購入するかを調べます。競合については、その顧客に何を、どの条件で提供しているかを確認します。
自社についても同じ条件で評価し、商品や人員、設備、販売方法などから対応できる範囲を確かめます。三つの欄を別々に完成させるより、互いに照らし合わせて考えることが大切です。
定義の参考:グロービス経営大学院は、3C分析を市場・顧客、競合、自社の三つの観点から捉える枠組みとして説明しています。
出典:グロービス経営大学院「3C分析」(要約・2026年10月21日確認)
競合の特徴が、そのまま強みになるとは限らない
たとえば、あるサービスの機能が豊富でも、顧客が「設定の手間を減らしたい」と考えていれば、機能数だけでは選ばれる理由を説明できません。設定支援や使い始めるまでの手間も比較する必要があります。
競合の強み・弱みは、顧客が重視する条件に対して評価します。自社に都合のよい比較項目だけを選ばず、失注理由や問い合わせ、顧客への聞き取りから基準を探しましょう。
競合分析とは?やり方6ステップ・比較項目・フレームワーク10選競合の選び方や比較の進め方を、全体から確認したい方に。関連記事|マーケティングノート
比較する競合と、調査する6項目を決める
調査の対象は、企業名だけでなく商品・サービスや地域までそろえます。同じ会社でも事業によって顧客や販売方法が異なるため、今回どの判断に使う分析なのかを先に決めましょう。

対象顧客・用途・地域を一文で決める
「法人向けの昼食サービスを調べる」より、「特定の配送地域で、少人数の事業所が昼食をまとめて手配する場面を調べる」としたほうが、比較相手を選びやすくなります。
そのうえで、新規顧客を増やすために注文条件を見直すのか、既存顧客の継続理由を知るのかなど、分析後に決めたいことも記録します。目的に関係の薄い情報を集めすぎずに済みます。
同業他社に加え、別の解決方法も確かめる
昼食の宅配サービスなら、同じ地域へ配送する別の宅配サービスが直接の競合になります。一方、顧客が店頭で弁当を買う方法と迷っているなら、その店舗も比較する意味があります。
同じ業種という理由だけで対象を決めず、商談で比較された名前や、購入を見送って選んだ方法を確認します。まず自社と比較相手2件程度で記入を試すと、必要な項目を調整しやすくなります。これは作業の始め方の一例で、必要社数の決まりではありません。
競合他社の調べ方|見つけ方5つと、調査対象の絞り方比較する競合を探し、調査対象を絞り込む方法を紹介しています。関連記事|マーケティングノート
商品・価格・購入条件など、判断に必要な項目を選ぶ
初めて競合欄を作る場合は、次の6項目をたたき台にできます。すべてを埋めることを目的にせず、顧客の比較基準に合う項目へ置き換えてください。
- 商品・サービス:用途、対象顧客、機能、提供範囲
- 価格と総費用:通常料金、初期費用、送料、数量や契約期間の条件
- 購入・契約の条件:注文単位、申込方法、締切、変更・解約の条件
- 提供方法と支援:配送地域、受け取り方、納期、導入後の対応
- 訴求と顧客の反応:公式に伝えている価値、口コミや商談で分かった評価
- 提供を支える体制:公開された拠点や設備、自社で確認できる人員・運用能力
価格は金額だけでなく条件も残します。月額と年額、税込と税別、送料込みと別料金を混ぜると、安さの判断を誤ります。口コミに書かれた評価も、顧客全員の意見や売上の理由とは分けて扱います。
調査項目の参考:Salesforceは、競合の商品特性や事業規模、開発力などと、自社の特徴・資源を調べる観点を紹介しています。上の6項目は、実務で比較しやすいよう本記事で整理したものです。
出典:Salesforce「3C分析とは?」(要約・2026年10月21日確認)
公式情報・顧客の声・推定値を分けて記録する
商品や料金、利用条件は、まず公式ページ、料金表、利用案内で確認します。企業全体の規模と対象事業の規模は区別し、公開された決算資料でも何の数値かを確かめます。
記録には参照URL、資料の対象時点、確認日を付けます。アクセス解析ツールの推定値なら、ツール名と対象期間も残しましょう。競合のアクセス推定値を実際の売上や成約率へ置き換えたり、非公開情報をAIの回答だけで埋めたりしないことが必要です。
3C分析の競合欄を、仮定の記入例で確認する
ここからは、小規模事業所向けの宅配弁当サービスを想定します。顧客像、各社の条件、記入内容はすべて説明用の仮定であり、実在企業の調査結果やDSSの実績ではありません。

自社も同じ比較表へ入れる
「昼食を5〜10食まとめて手配したい」という顧客像を仮に置き、宅配A、店頭購入の店舗B、自社を比べます。対象の事業所が利用できる地域と昼食の用途をそろえた、条件比較の記入例です。
| 比較項目 | 宅配A | 店舗B | 自社 |
|---|---|---|---|
| 注文単位 | 20食から | 1食から | 5食から |
| 受け取り | 事業所へ配送 | 店頭購入 | 事業所へ配送 |
| 注文締切 | 前営業日15時 | 予約不要・在庫次第 | 当日9時 |
実際の調査では、各セルに対応する出典と確認日を別の記録欄へ付けます。価格を判断する場合は、送料や注文数量をそろえた総額も比較してください。この表だけで費用面の優位性までは決められません。
確認した条件から、選ばれる可能性を考える
仮にこれらの条件が確認できたなら、「自社は5食から配送を受け付ける」は事実欄へ書けます。一方、「少量の昼食をまとめて頼みたい事業所に選ばれる可能性がある」は、その事実から考えた仮説です。
「宅配Aは小規模事業所に対応できない」とまでは言えません。別プランや相談対応があるかもしれず、公開ページで見つからなかっただけという場合もあります。記載がない項目は「対応なし」とせず「未確認」と残しましょう。
情報の扱い方の参考:楽天の公式解説は、3C分析で事実と解釈を分けて扱うことを勧めています。条件の確認と、そこから考えた理由を分ける際の参考になります。
出典:楽天広告「3C分析とは?」(要約・2026年10月21日確認)
競合欄には、要約・根拠・追加の確認を残す
3Cシートの競合欄は、調査メモの全件を貼る場所にしなくても構いません。たとえば「宅配Aは20食からの注文条件を案内。店舗Bは少量で買えるが店頭受け取り。少量配送への需要と各社の例外条件は追加確認」と、判断に関わる違いを要約します。
詳しい料金や出典は別の比較表へ残し、要約から戻れるようにします。競合欄と自社欄の両方に「高品質」「柔軟に対応」と書くより、何がどの条件で違うかを読み返せる形が役立ちます。
競合分析テンプレートを無料配布|比較表の項目・Excel記入例競合の比較表を作りたい方へ、汎用のExcelテンプレートを紹介しています。関連記事|マーケティングノート
顧客・自社の分析と照合し、試す施策を決める
比較表で差が見つかっても、そのまま広告へ使う前に二つの確認が必要です。顧客はその違いを重視しているか、自社はその条件で継続して提供できるかを確かめます。

顧客が本当に求めている条件を確かめる
先ほどの例なら、既存顧客や見込み客へ、普段の注文食数、手配する人の負担、現在の方法を選んだ理由を聞きます。少量配送よりも、献立の選びやすさや請求のまとめ方を重視しているかもしれません。
「自社が5食から配送できるから、顧客もそれを求めている」と逆算しないことが大切です。聞き取った相手や時期を残し、限られた声を市場全体の需要と区別します。
自社で続けられる条件かを運用と費用から見る
少量配送を強みとして伝えるなら、配送できる地域、受付締切、必要な人員、注文ごとの費用を確認します。受注が増えた場合も同じ対応を続けられるか、現場とすり合わせましょう。
顧客への聞き取りで必要性が確かめられ、運用面でも対応できるなら、対象地域を絞った案内ページや営業資料で試します。問い合わせの内容、利用につながった件数、対応時間や配送費などを確認し、続けるか条件を変えるかを判断します。
顧客に必要で、自社が実行できることを、試す施策へ落とし込みます。競合との差があることだけを理由に、施策を増やしすぎないようにしましょう。
SWOT・STP・4Pは、決めたいことに合わせて使う
3Cで集めた情報を、自社の強み・弱みと外部の機会・脅威に分けて方針を考えたいなら、SWOT分析が使えます。狙う顧客や位置づけを具体化するならSTP、商品・価格・販売経路・販促を決めるなら4Pというように、役割から選びます。
実務で「3C→SWOT→STP→4P」と進める場合もありますが、すべての枠を順番に埋めることが目的ではありません。施策を考える途中で顧客理解が足りないと気づいたら、調査へ戻って補いましょう。
3C分析の競合調査でよくある質問
調査を始める順番や、情報が足りない場合の扱いを整理します。表を完成させることより、今回の情報で何を判断できるかを確かめてください。

3C分析は何から始めればよいですか?
まず、対象の事業・顧客と、分析後に決めたいことを絞ります。初めてなら顧客の選択基準を調べ、その基準で競合、自社を見ると進めやすくなります。ただし順番は固定せず、足りない情報を三つの視点で行き来して補います。
競合の売上やシェアが分からない場合はどうしますか?
「未公開」「対象事業の数値は未確認」と残し、公開されている商品や料金、提供条件から比較します。会社全体の売上を特定サービスの売上と扱わず、ツールの推定値は対象範囲・期間・出所を示して実測値と区別します。
スターバックスなどの企業事例を参考にできますか?
比較項目や考え方を学ぶ参考になります。ただし、第三者が公開情報から整理した例と、企業自身が3C分析を使って成果を上げた記録は別です。数値の対象時点と情報源を確認し、その企業の成功理由を自社にも当てはめないようにします。
専用ツールや3Cテンプレートは必要ですか?
最初は既存の表計算ソフトで整理できます。顧客・競合・自社の要約欄に加え、比較項目、出典、確認日、仮説、追加確認を残せる形にしましょう。専用ツールは、更新する対象やデータが増えてから、取得範囲と運用費用を確かめて選びます。
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