競合ブランド分析のやり方|認知・イメージを比べる

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競合ブランドの発信と顧客の認識を調べる図

競合ブランド分析では、自社と他社が誰に、どのような価値を伝え、顧客からどう受け止められているかを比べます。ロゴや広告の見た目に加え、認知度、抱かれているイメージ、選ばれる理由を調べると、変えるべき発信やサービスの体験が見えてきます。

「品質にこだわっている」と伝えていても、顧客はその違いを知らないかもしれません。一方、知られているのに購入候補に入らないなら、認知を増やす施策だけでは課題が残ります。企業の説明と顧客の認識を分けて確かめることが大切です。

この記事では、競合の選び方から公開情報の調査、認知・イメージの質問設計、結果の比較と改善までを解説します。架空の冷凍惣菜ブランドを使い、数値の分母をそろえて読む方法も紹介します。

競合ブランド分析で押さえること

  • 会社全体か商品ブランドか、誰のどの場面を比べるかを決める
  • 企業の発信、顧客の評価、社内の仮説を別々に記録する
  • 認知と購入検討を分け、対象者・質問・分母を確認する

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競合ブランド分析で、何を明らかにするかを決める

企業が伝える価値と顧客の認識を区別する図
企業が伝える価値と顧客の認識を区別する図。

会社・商品・サービスの、どのブランドを比べるか

初めに、分析するブランドの単位をそろえます。企業名が知られていることと、その企業の商品名が知られていることは別です。会社への信頼と、一つの商品の使いやすさも、同じ評価として混ぜないようにします。

例えば、冷凍惣菜の定期便を見直すなら、今回比べるのは企業全体か、定期便のサービス名かを決めます。調査票や比較表でも同じ名称・対象範囲を使い、回答者が何について答えるのかを明確にしてください。

機能の違いと、顧客が抱くイメージの違いを分ける

商品分析では、機能・量・料金・提供条件などを比較します。ブランド分析では、それらも材料にしながら、顧客が何を思い浮かべ、どんな場面で選ぶ候補に入れるかを確かめます。

「一食分の量が表示されている」は案内の事実です。「自分に合う量を選びやすい」は顧客の評価です。表示があるだけで、分かりやすいと受け止められているとは限りません。両方を調べると、説明を直すのか、商品や購入方法を直すのかを考えやすくなります。

電通マクロミルインサイトは、ブランド調査を、認知やイメージを定量・定性の両面から把握する手法と説明しています。企業が望むブランド像と、消費者が抱くイメージのずれも調査対象にしています。

出典元:電通マクロミルインサイト「ブランド調査のポイント、進め方、手法を解説」

比較する競合ブランドと、調査する顧客層をそろえる

利用する場面から比較する競合ブランドを選ぶ図
利用する場面から比較する競合ブランドを選ぶ図。

同じ用途で、実際に検討される選択肢を選ぶ

競合は有名なブランドだけから選ぶのではなく、顧客が同じ用途で比較した商品・方法から探します。冷凍惣菜なら、平日の夕食を短時間で用意したい人と、特定の栄養条件で食事を選びたい人では、比べる相手が変わります。

対象の地域、購入する場面、価格帯、利用頻度なども記録します。店舗で一回ずつ買う商品と定期配送を比較するなら、購入の手間や継続条件の違いを残しましょう。違う方法も選択肢になりますが、何を同じ条件として比べるかは説明できるようにします。

企業が狙う顧客と、実際の利用者を区別する

競合サイトの「忙しい方に」というコピーから分かるのは、企業が伝えている対象です。実際の利用者の年齢や世帯構成、購入理由までは確定しません。公開された導入・利用事例も、顧客全体の構成を示すとは限りません。

競合のペルソナを考える場合も、確認した事実と、そこから仮置きした顧客像を分けます。名前や趣味まで詳しい人物像を作ることより、「どの場面で何を必要とし、何を比較する人か」を顧客の声で確かめる方が、ブランドの判断に役立ちます。

市場をどう分け、どの顧客層を優先するかは、STP分析で整理できます。本記事では、選んだ対象者にブランドがどう認識されているかを深く調べます。

競合を踏まえたSTP分析のやり方と記入例競合を踏まえたSTP分析のやり方と記入例顧客層の分け方と、競合・需要・自社の条件から対象を選ぶ方法です。関連記事|マーケティングノート

公開資料と顧客の声から、ブランドの比較材料を集める

公式の案内と顧客の言葉を出所ごとに記録する図
公式の案内と顧客の言葉を出所ごとに記録する図。

価値の伝え方と、その約束を支える条件を見る

公式サイト、商品紹介、広告、SNS、利用案内を同じ観点で確認します。誰のどんな課題を取り上げ、何を選ぶ理由として伝え、その説明を何で裏づけているかを残します。

比較する項目記録する内容分けて確かめること
対象と利用場面紹介される課題、用途、利用事例発信上の対象と、実際の顧客構成
提供する価値見出し、特徴、選ぶ理由として示す内容企業の主張と、顧客が感じた価値
根拠と提供条件仕様、料金、支援範囲、利用手順標準の対応と、条件付き・追加対応
言葉と見た目表現の調子、写真・図、色、掲載場所表現の特徴と、それが与える実際の印象
購入・利用の接点選び方、申し込み、受け取り、利用後の案内公表された案内と、実際の体験

色や写真の印象は、調査担当者の感想として記録できます。ただし、「青いから信頼されている」といった顧客の評価や効果へ、そのまま置き換えないようにします。確認したページと日付を添え、自社にも同じ項目を使いましょう。

大伸社コミュニケーションデザインは、ブランドの価値や対象顧客、メッセージ、視覚要素に加え、顧客接点での体験の整合も点検する考え方を紹介しています。発信と提供内容を一緒に見る参考になります。

出典元:大伸社コミュニケーションデザイン「ブランディング分析の5ステップ」

口コミとSNSは、評価の理由を探す材料として読む

口コミでは、満足・不満の星の数だけでなく、どの用途で、何を期待し、何を経験したのかを読みます。「量が多い」という声も、一人分を探す人と家族分を探す人では意味が変わります。

投稿する人や掲載先には偏りがあり、同じ内容の転載もあります。閲覧した範囲、期間、利用経験の確認状況を残し、投稿件数やフォロワー数を、利用者全体の評価やブランド認知率として扱わないようにします。

選んだ理由と見送った理由を、実際の場面から聞く

自社の利用者だけでなく、比較後に他社を選んだ人や、購入自体を見送った人の話も確認します。「なぜ当社の品質を評価しましたか」と前提を置かず、「何と迷いましたか」「決める前に何を確認しましたか」と経緯を尋ねます。

その人の発言と、分析担当者の解釈は別欄にします。少数の聞き取りは、理由や追加の問いを探すのに役立ちますが、何割の人が同じように感じているかを示すものではありません。

Ipsosは、公開情報の収集だけでは、消費者の心の中にある競合との差まで捉えられないと説明しています。企業側の案内を比べる調査に、顧客の認識や体験の調査を組み合わせる考え方です。

出典元:Ipsos「競合調査とは?目的やメリット、具体的な手法から成功事例まで解説」

認知度・ブランドイメージ・購入検討を、同じ条件で調査する

自由回答を先に聞き共通の尺度で比較する図
自由回答を先に聞き共通の尺度で比較する図。

誰についての割合を知りたいかを先に定める

アンケートを作る前に、結果を当てはめたい対象者を決めます。カテゴリーの購入者全体を見たいのか、特定地域の見込み客か、自社を知る人かによって、集める回答者は変わります。

自社の会員やSNSのフォロワーだけに聞いた認知率を、市場全体の認知率として紹介しないようにします。調査方法、募集経路、対象条件、実施時期、回答数を残し、年齢や利用経験などの構成も確認してください。人数を増やすだけで、対象の偏りが解消するわけではありません。

ブランド名を見せる前に、思い浮かぶ名前を聞く

ヒントなしにブランド名を挙げてもらう方法を「純粋想起」、ブランド名などを示して知っているものを選んでもらう方法を「助成想起」といいます。同じ認知でも、何を測っているかが違います。

両方を聞く場合は、純粋想起を先にします。先にブランド一覧を見せると、その名前が後の自由回答の手掛かりになってしまうためです。質問文や対象カテゴリーもそろえ、提示順による影響に配慮して設計します。

マクロミルは、選択肢などを示す助成想起と、ヒントなしに聞く純粋想起を区別し、併用する場合は純粋想起から聞く順序を案内しています。

出典元:マクロミル「助成想起とは」

イメージの質問は、各社で同じ言葉と尺度を使う

「選びやすい」「信頼できる」などの項目を比べるなら、各ブランドについて同じ質問と回答尺度を使います。自由回答で印象を聞いてから選択式の項目を検討する方法もありますが、自由回答でも質問文や回答者の影響は残ります。

調べたいこと質問の方向性設計で決めること
思い浮かぶブランド対象カテゴリーで知る名前を自由に挙げてもらうカテゴリーの範囲、回答数、表記の集約方法
見れば分かるブランド提示した名前のうち知っているものを選ぶ名称の単位、提示順、どれも知らない回答
ブランドのイメージ認知しているブランドの印象を聞く共通の項目と尺度、分からない回答、集計対象
利用と購入検討利用経験、今後候補に入れるかを別々に聞く過去・今後の期間、複数回答の可否、分母

知らないブランドを無理に評価させず、「分からない」「判断できない」を選べるようにします。認知者だけにイメージを聞く場合は、ブランドごとに人数と構成が異なる点を、比較時にも残します。選択肢で新しい印象を与える影響も考え、質問の順序を点検してください。

架空の比較表で、認知と購入検討の違いを読む

回答者全体と各ブランド認知者の分母を区別する図
全体を分母にする集計と、認知者を分母にする集計は分けて読みます(概念図)。

同じ回答者全体と、ブランド認知者の分母を分ける

以下は、集計の読み方を説明するための架空の調査です。「直近12か月に冷凍惣菜を購入した対象地域の200人」に同じ時期・方法で聞いたと仮定します。実際に行ったアンケートや、実在ブランド・DSSの実績ではありません。

認知はブランド名を示した複数回答、購入検討は認知したブランドごとに「今後3か月に購入する候補に入るか」を聞いたとします。複数ブランドを候補にできるため、各社の割合を合計して100%にする集計ではありません。

架空のブランド認知者/全200人検討者/全200人検討者/各社認知者
自社ブランド80人/40%40人/20%40÷80=50%
Aブランド120人/60%48人/24%48÷120=40%
Bブランド160人/80%48人/24%48÷160=30%

この表では、自社の認知者内の検討割合は50%ですが、全回答者に対する検討者は20%です。「自社は半数の人に選ばれている」とは読めません。また、購入候補に入ることと、実際に購入したことも別です。

割合の高低だけで、ブランドの優劣を決めない

自社の例は、「知られていないことが、候補に入る人数を増やすうえで課題かもしれない」という仮説につながります。ただし、自社の認知者に既存利用者が多いなど、各社で認知者の構成が違う可能性もあります。50%・40%・30%をそのままブランド力の順位にしないでください。

年齢、利用頻度、利用経験などの条件を確認し、必要な比較では対象をそろえ直します。差があっても偶然のばらつきかもしれません。細かく分けた集計の人数が少ない場合には、割合だけで結論を急がず、追加調査を検討します。

イメージと選択理由を合わせ、次の問いをつくる

同じ架空例で、自社が「夕食を選びやすい」と伝えているのに、聞き取りで「一食分の量が分からなかった」と言われたなら、何を見て迷ったかを確かめます。コピーが届かなかったのか、写真や説明が不足したのか、商品構成が合わなかったのかでは改善が違います。

ブランドごとのイメージも、評価した人の範囲と件数を示して比べます。印象を二軸の図へまとめる場合は、社内の採点と顧客調査の値を混ぜず、図の位置に使ったデータを明記します。詳しい作図は次の記事で紹介しています。

競合ポジショニングマップの作り方|軸・比較例・Excel競合ポジショニングマップの作り方|軸・比較例・Excel比較の根拠をそろえ、表から二軸のマップへ移す方法を紹介します。関連記事|マーケティングノート

分析結果を、発信と顧客体験の改善へつなげる

ブランドが伝える価値を届いてからの体験と合わせる図
ブランドが伝える価値を届いてからの体験と合わせる図。

認知の不足か、理解・選択理由の不足かを確かめる

対象者に知られていないなら、どの場面で見つけてもらいたいか、届く接点があるかを見直します。知られていても特徴が伝わっていないなら、説明や見せる根拠を点検します。理解されても条件が合わないなら、提供内容や対象顧客の見直しが必要かもしれません。

認知・好意・検討・購入の数値は、課題の場所を考える材料です。すべての人がその順番で進むと決めつけたり、割合の差をそのまま次の段階への離脱率にしたりしないようにします。質問の期間と対象者を確かめ、判断の経緯を補って読みます。

顧客の行動に沿って、約束と体験を合わせる

カスタマージャーニーを使うなら、認知、比較、購入、利用といった場面ごとに、顧客が確かめたいことと接点を整理します。競合の公開ページから分かる案内と、顧客が実際に経験したことを分け、まだ聞けていない心理は仮説と示します。

冷凍惣菜の例なら、「選びやすさ」を写真やコピーだけで表現せず、分量の説明、注文する単位、配送、食べ方の案内までつなげます。比較中は選びやすくても、届いてから量に迷うなら、購入前と利用時の両方を見直します。

担当と確認時期を決め、同じ条件で変化を見る

変更する内容、担当、対象顧客、確認する指標を決めます。認知を調べるなら対象者と質問、体験を直すなら迷った点や問い合わせ内容など、今回の改善に対応する情報を残しましょう。

再調査では、方法や質問項目、対象条件をできるだけ維持します。条件を変えた場合は、過去の結果と単純に比較できるかを確認してください。広告やページを変えた前後で数値が動いても、季節や競合の動きもあるため、それだけで施策の効果とは断定できません。

日経リサーチは、競合や過去の調査結果と比べる際、調査方法や質問項目を合わせることを案内しています。調査頻度も一律に決めず、施策と効果検証の期間に応じて考えると説明しています。

出典元:日経リサーチ「課題解決型 ブランド調査」よくあるご質問

ブランド分析のよくある質問

事実と仮説を分け人数と条件を確認する図
事実と仮説を分け人数と条件を確認する図。

競合の商品分析とブランド分析は何が違いますか?

商品分析は機能や量、価格、提供条件などを比較します。ブランド分析では、それらがどんな価値として伝えられ、顧客がどう認識して選んでいるかも調べます。企業の説明と顧客の評価を分けると、商品と伝え方のどちらを改善するか考えやすくなります。

公開情報だけで、競合の認知度や顧客層は分かりますか?

発信する対象や提供条件は調べられますが、顧客全体の構成や認知率までは分かりません。事例や口コミ、フォロワー数には対象の偏りがあります。何を知りたいかに合わせて、対象者を定めたアンケートや聞き取りで補います。

少人数の聞き取りでも役立ちますか?

選んだ理由や利用時の迷いを掘り下げ、次に調べる問いを作るのに役立ちます。一方、少数の発言は、市場全体の割合を示しません。誰にどの場面について聞いたかを残し、共通する点と個別の事情を分けて読みます。

ペルソナやカスタマージャーニーも作る必要がありますか?

すべての分析で両方を作る必要はありません。顧客像が曖昧ならペルソナ、接点ごとの疑問や体験を整理したいならジャーニーを使えます。想像した人物や心理を調査済みの事実とせず、ブランド比較のどの判断に使うかを決めて活用します。

競合との違いを整理し、見込み客との接点を考えたい方へ

届けたい顧客と伝える価値を整理したら、接点を持つ方法を検討します。ライバルマーケティング広告の配信対象や仕組みは、サービスページでご確認ください。

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