葬儀業界の動向を見るときは、死亡数、市場の売上、施行件数、一件当たりの採算を分ける必要があります。
市場全体の金額が増えても、すべての葬儀社の利益が増えているとは限りません。
矢野経済研究所は2024年の葬祭ビジネス市場を1兆8,300億円と推計しています。
ただし対象は葬儀費用、飲食、返礼品で、布施や火葬場、仏壇・墓石などは除きます。
こうした集計範囲を確かめたうえで、地域と自社の判断へつなげましょう。
この記事でわかること
- 市場規模と死亡数、企業調査の対象を区別できる
- 葬儀形式・会館・紹介・人員の変化を同じ条件で見られる
- 業界データを出店、商品、集客の判断へ使える
動画でわかるライバルマーケティング
葬儀業界の成長を、一つの市場規模だけで判断しない

数字の違いは、誤りではなく集計範囲の違いかもしれません。調査対象、時点、金額に含むサービスをそろえてから比べます。
同じ市場の数字かどうかは、対象サービス・調査年・推計か実績かを確認して判断します。
死亡数・市場売上・施行件数は母集団が異なる
死亡数は人口動態、市場売上は対象サービスの金額、施行件数は事業者が扱った案件を数えたものです。
これらを同じ成長率として扱うことはできません。
矢野経済研究所の2024年推計1兆8,300億円は、事業者売上ベースで葬儀費用、飲食、返礼品を含みます。
前年比108.2%は8.2%増を意味し、「108.2%増」ではありません。
推計・実績・将来予測と調査時点をそろえる
企業調査にも対象の違いがあります。
東京商工リサーチの2024年度調査は、3期連続で業績が分かる505社の売上や利益を集計したものです。
この505社の合計を、葬儀市場全体の金額とは呼べません。
また、過去の「黒字企業の割合」を現在の業界へ当てはめないようにします。
公表年だけでなく、どの決算期や登録時点のデータかまで確認してください。
| 指標 | 分かること | そのまま判断できないこと |
|---|---|---|
| 死亡数 | 地域・時期ごとの死亡の件数 | 自社の受注数、利益 |
| 市場売上の推計 | 定義されたサービスの金額規模 | 全社の成長率、自社会館の採算 |
| 対象企業の業績 | 調査対象企業の売上・利益 | 全国すべての会社の平均 |
| 自社の施行実績 | 提供内容ごとの件数と採算 | 将来の受注保証 |
葬儀・終活事業の広告をご検討の方へ
市場の伸びをそのまま広告予算へ置き換えず、自社の地域と対応能力を確かめましょう。
広告の相談には、受けたい施行と現状の相談経路をご用意ください。
ライバルマーケティング広告の詳細はこちら死亡数と葬儀サービスの需要は、地域と形式まで分ける

全国の需要を知った後は、会館の周辺へ視点を移します。
人口や交通、競合、利用する葬儀の内容を調べなければ、出店や受注の計画には使えません。
全国の増減を、自社が受注できる件数や出店の成功確率へ直接置き換えません。
死亡数の全国値を自社会館の受注予測にしない
地域別の人口構成や死亡数を調べ、既存会館と自社の対応地域を重ねます。
地域内の死亡がすべて自社へ依頼されるわけではなく、他地域の会館を利用することもあります。
将来予測を使う場合は、どの時点の推計か、地理的な単位が自社の商圏と合うかを確認します。
全国の増減率をそのまま各拠点へ掛けないようにします。
家族葬・一日葬・直葬の呼び方だけで単価を決めない
同じ「家族葬」でも人数、日数、会場、含まれる内容は異なります。
形式の名前だけで安い・利益が低いと決めず、自社の提供内容と原価を確認します。
他社の価格と比較する場合も、会場、安置、搬送、追加条件をそろえます。
平均額の変化は、値下げだけでなく、選ばれる形式の割合が変わった影響も考える必要があります。
会館の規模と地域の供給を合わせて調べる
会館の数だけでは供給力は分かりません。対応人数、利用日程、安置、駐車場、外部会場の利用などを確認します。
小規模会館でも人員や設備の固定負担はあります。
近くの会館が小さいから同じ規模でよい、と判断せず、自社が受ける施行内容から設備を考えます。
葬儀屋は儲かる?施行1件の採算と固定費から利益を考える地域の需要を採算計画へつなげるための施行・固定費の試算はこちら。関連記事|マーケティングノート葬儀・終活事業の広告をご検討の方へ
地域と提供内容が絞れたら、広告で案内する会館や相談ページも具体化できます。
出店や商品変更後の告知を考える方は、対象地域とページをお持ちください。
ライバルマーケティング広告の詳細はこちら競争環境は、会館・紹介・人材の変化から見る

競合の数だけでなく、どこで顧客と接点を持ち、誰が施行を担うかを見ます。価格以外の変化も、自社の原価と対応力へ影響します。
競合の規模だけでなく、会館・顧客接点・人員・費用の持ち方を比べます。
大手と地域事業者の違いを同じ指標で比較する
売上規模だけで比べず、会館数、提供地域、施行内容、紹介経路、社員や外注の範囲をそろえます。
連結業績には葬儀以外の事業が含まれる場合もあります。
買収や出店の発表から、その地域ですぐ採算が取れるとは断定できません。公開された事実と、将来の見通しを分けて読みます。
東京商工リサーチは、2024年の葬儀業の休廃業・解散を66社、倒産を8社、新設を105社と集計しています。
休廃業・解散と倒産は別の指標であり、この差引きだけで全国の会社数の増減を断定することもできません。
紹介サイトの役割と自社顧客との接点
紹介サイトは利用者が比較する入口になり、葬儀社には相談を受ける経路になります。
一方で、契約、受取額、掲載内容、顧客対応の担当を確認する必要があります。
自社サイトでは、会館と料金、相談窓口を自社の情報として更新できます。
紹介と自社集客を対立させるより、それぞれの役割と残る利益を比べます。
人員不足と原価上昇が採算に与える影響
同じ売上でも、夜間要員や外注単価が変われば利益は変わります。
採用の難しさを一つの全国数値だけで語らず、自社の勤務、欠員、残業、外注の記録を見ます。
業務システムやAIを使う場合も、入力時間の短縮だけで判断しません。
確認や修正を含めて負担が減り、顧客情報を適切に扱えるかを確かめます。
葬儀・終活事業の広告をご検討の方へ
紹介と自社広告は、受取額だけでなく受付と施行の原価をそろえて比べます。
新たな広告を相談する際は、現在の経路別の負担を整理してください。
ライバルマーケティング広告の詳細はこちら業界データを、出店・商品・集客の判断へつなげる

調査を読んだだけでは、次の行動は決まりません。自社の判断に必要な数字を絞り、変更した条件と結果を残します。
業界データは、地域と自社の原価・対応力へつなげて初めて経営判断に使えます。
出店候補地域の需要と対応可能件数を置く
地域の需要を調べる一方で、自社の会館・人員が受けられる件数を計算します。
必要件数が対応能力を超えるなら、広告を増やす前に投資や商品を見直します。
価格競争より支援内容と原価を点検する
値下げで一件当たりの残額が減ると、必要施行件数は増えます。価格を変える前に、見積説明、含む内容、外注や仕入れを点検します。
比較するのは安さだけではありません。相談者が選ぶために必要な会館情報や料金条件が伝わっているかも確認します。
公開統計を更新する担当と基準日を決める
調査名、対象年、集計範囲、公開URL、確認日を残します。数字をサイトへ載せる際は、推計や予測のラベルを削らないようにします。
更新のたびに過去の数字を最新値へ置き換えるのではなく、比較できる系列かを確かめます。
自社の施行と原価の記録を合わせ、何を変える判断に使うかまで決めてください。
葬儀社の経営改善|施行別の採算・会館・人員から見直す順番自社の実績から商品・人員・資金繰りを見直す順番を確認できます。関連記事|マーケティングノート葬儀・終活事業の広告をご検討の方へ
自社の提供範囲と案内ページが整ったら、ライバルマーケティング広告を検討できます。
媒体規約・指定URL・サービス・案内先を個別確認し、対応できる方法を提案します。
ライバルマーケティング広告の詳細はこちら葬儀業界の動向でよくある質問

葬儀市場が増えていれば、どの会社も成長できますか?
そうとは限りません。市場の集計範囲、地域の需要、競合、提供内容、原価によって各社の結果は変わります。
全国の市場伸び率を自社の売上予測にそのまま使わないでください。
葬儀市場と終活市場は足してよいですか?
対象と金額の基準が異なる調査は、単純に足せません。
本記事の葬祭市場推計と、身元保証・生前整理の2分野を対象にした調査は、サービスの範囲も金額の基準も異なります。
家族葬が広がると施行単価は必ず下がりますか?
形式の名前だけでは決まりません。人数、日数、会場、サービス、追加条件によって価格と原価は変わります。
同じ内容の価格変化と、利用される形式の構成変化を分けて見ます。











