探している本を買うときと、次に読む一冊を見つけたいときでは、書店に求めることが違います。競合の冊数や店の広さだけを調べても、自店の棚や注文案内をどう変えるかまでは決まりません。
書店の競合分析は、読者が本を選ぶ目的を決め、選書・棚の案内・在庫と購入方法を比較する作業です。同じ本を探す比較と、新しい本に出会う比較を分け、自店で起きる問い合わせや販売と照らして改善点を絞ります。
この記事でわかること
- 読者の目的に合う競合書店の選び方
- 選書・棚・在庫検索・受け取りの比較項目
- 架空の入門書売場を例にした案内改善と確認方法
動画でわかるライバルマーケティング広告
競合と比較検討される場面を踏まえ、広告で自社を知ってもらう方法もご確認ください。
ライバルマーケティング広告の仕組みを見る本を買う目的をそろえる
まず、何を改善するために競合を見るかを定めます。本を探す手間を減らしたいのか、棚から読みたい本を選べるようにしたいのかで、調べる項目が変わります。

探す本と新たに出会う本を分ける
同じ本を買う比較と、読む本を選ぶ比較を分けます。書名が決まった買い物では、対象の版があるか、どこにあるか、いつ受け取れるかが主な条件になります。
一方、初めて学ぶ分野の本を選ぶ場合は、テーマの整理、入門から次へ進む案内、内容を知るための説明が判断材料です。「入門書を選ぶ際の迷いを減らす」のように、今回の目的を一文にしましょう。
店舗とネットを目的別に選ぶ
同じ本を探すなら、近隣書店だけでなく、希望の日や受け取り方法に合う通販も比較先です。紙の新品、中古、電子書籍では状態や使い方が違うため、同一条件の購入先として一括りにしません。
本との出会いを比べる場合は、対象ジャンルに強い書店や、テーマ別の提案をする店も候補です。規模の大きな店を必ず基準にせず、顧客の目的に共通点がある理由を残します。
企業順位と店舗の強さを分ける
書店業界のランキングを見るときは、年度、企業全体か書籍販売か、店舗数に何を含むかを確かめます。書籍以外の事業や法人向け販売がある会社の売上を、近隣店舗の集客力と読み替えないようにします。
業界の動向は背景をつかむ資料です。自店の改善には、実際に比較する店舗、売場、読者の買い方まで範囲を絞る必要があります。
この調査は書籍・雑誌小売業を対象とする事業者売上高ベースで、非書籍事業の影響にも触れています。一部推定・予想値を含む業界資料であり、個別店舗や棚の販売実績を表すものではありません。
出典元:帝国データバンク「全国『書店経営』動向調査(2025年度)」(要約)
小売マーケティングとは?店舗とECの売上を伸ばす施策設計書店の売場と購入方法を集客施策へつなげる前に、小売マーケティングの基本も確認できます。関連記事|DSSお役立ちコラム選書・棚・購入条件を比べる
冊数だけでなく、目的に合う本を見つけ、内容を確かめ、購入まで進めるかを見ます。本そのものの違いと、店が用意する選び方の違いを分けて記録しましょう。

| 比較する項目 | 同じ条件で確認すること |
|---|---|
| 本の特定 | 書名、著者、出版社、版、ISBN、紙・電子、新品・中古 |
| 選書 | 対象ジャンル、入門・専門の範囲、関連テーマ |
| 棚の案内 | 分類、棚への経路、面出し、説明の分かりやすさ |
| 在庫・注文 | 対象店舗、表示時点、検索範囲、取り寄せの案内 |
| 購入・受け取り | 取り置き、連絡、受取場所、送料等の条件 |
| 催事・接点 | 企画の対象、開催時期、参加条件、購入先への案内 |
本の版と販売条件をそろえる
同じ題名でも、改訂版、文庫版、電子版などでは内容や形態が異なります。同一商品の購入先を比べるなら、ISBNなどで対象を特定し、表示価格や状態を併記します。
紙の書籍には再販売価格維持制度に関わる取引があります。一般小売の値下げ案をそのまま当てはめず、対象の本や自店の取引条件を確かめます。比較の中心は、選書や探しやすさ、購入案内に置くと整理しやすくなります。
再販売価格維持行為は原則として禁止される一方、書籍・雑誌などの著作物には適用除外があると説明されています。商品の種類や契約を無視して値下げできると判断せず、今回の比較条件を確かめます。
出典元:公正取引委員会「よくある質問コーナー(独占禁止法)」Q12(要約)
選書と棚の案内を合わせて見る
同じ入門書でも、資格、仕事、趣味など、並ぶ文脈で読者の探し方は変わります。扱う本の数だけでなく、入口の案内、関連分野とのつながり、説明を読む位置を確認します。
目立つ場所にある本を、販売数が多い本と決めつけません。フェアや出版社との企画、新刊展開などの可能性もあるため、確認できた配置と、推測する理由は分けて残します。
在庫検索と受け取りを確認する
在庫の表示と購入できる状態を分けます。検索対象の店舗や商品、表示の更新条件、取り置きの可否を確認し、申込後の連絡や受け取りまでの流れも比較します。
紀伊國屋書店の公式案内では店舗在庫検索と取り置きの方法を示す一方、未対応店舗や対象商品の条件も説明しています。自店と他店のサービスを比べるときも、「検索できる」の一言で済ませないようにしましょう。
店舗を選ぶ在庫検索と取り置きの方法を案内しています。一部未対応店舗があり、雑誌等の検索や洋書等の取り置きには対象外の条件があります。実際に比較する商品と店舗を特定して確認します。
出典元:紀伊國屋書店「店舗の在庫を調べるには」(要約)
公開情報と自店を照合する
公式サイト、棚、口コミでは、それぞれ分かる範囲が違います。一枚の比較表にまとめるときも、情報の出所と確認条件を残しましょう。

調べた本と店舗を特定する
店舗情報、ジャンル案内、フェア、在庫検索、注文方法を公式サイトで読み、確認した日時とURLを残します。SNSの投稿は企画を知る材料になりますが、紹介された全点が現在も店頭にあるとは限りません。
店頭では、対象の棚への経路、分類の案内、商品説明、問い合わせ先を見ます。撮影などは店舗のルールに従い、営業を妨げない範囲で確認します。
配置と評価、販売を分ける
「入口から見える台に入門書がまとまっていた」は観察です。「初心者に最も選ばれている」は販売や利用者の根拠が必要です。好印象や混雑を、売上や利益の実測として扱わないようにします。
口コミは困りごとの候補を探すために使い、対象店舗と投稿時期を見ます。企業全体の評判や一部の声を、調べた店舗の現状や全利用者の評価と同じものにしません。
問い合わせと販売・在庫を合わせる
見えた事実を自店の記録と照合します。棚の場所、取り寄せ、版の違いなど、繰り返される質問を確認すると、案内を補う場所が見えてきます。
販売点数だけでなく、在庫切れや入荷、返品、棚に置いた期間も見ます。商品がなかったために売れなかった状態と、在庫があっても選ばれにくかった状態を混ぜずに考えましょう。
競合店調査のやり方|8項目・無料Excelシート店舗ごとの比較条件を記録したい方は、競合店調査の無料シートと記入方法もご活用ください。関連記事|DSSお役立ちコラム自店の本の選びやすさを磨く
競合と同じ本を増やす前に、自店の読者がどこで迷うかを見直します。選書の意図を、棚と来店前の案内の両方で伝えることが改善の候補になります。

架空の入門書売場の改善例
たとえば、ある分野を初めて学ぶ本を探す人に向けた、架空の売場を考えます。実在の書店を調査した結果や、販売改善の実績ではありません。
競合では入門の範囲や関連する棚が分かり、自店では読者が書名を知らないと探しにくかったとします。自店でも棚の場所や難しさに関する質問があれば、最初に探す棚と内容を確認する手がかりを案内する改善が考えられます。
説明は実際の目次や出版社の情報を確かめて作り、読んでいない本の効果を断定しません。案内の例と、扱う本・在庫・注文先を結びつけます。
| 比較で見えた課題 | 自店で試す改善の例 |
|---|---|
| 初めに見る棚が分からない | 入口や検索案内から対象の棚につなげる |
| 入門の範囲を判断しにくい | 内容を確認できる説明を整える |
| 関連分野を探し直す | 次に見る棚と関連テーマを案内する |
| 在庫がない場合の買い方が不明 | 問い合わせ・取り寄せ・受け取りを示す |
小さく試して記録で確かめる
一つの棚や企画から始め、説明や案内で変えられる点と、仕入れやシステム変更が必要な点を分けます。チェーンや施設内の店舗では、自店が変更できる範囲も確かめましょう。
変更後は、対象の販売、同じ問い合わせ、取り寄せや受取の状況を確認します。新刊発売、メディア紹介、催事、曜日、在庫の変化も残し、売上の増減をすべて棚変更の効果としません。
選ぶ理由が伝わるようになったら、公式サイトや来店前の案内にも反映します。集客を増やす際も、紹介した本や棚、購入条件を実際に確認できる状態を整えておきましょう。
読者がどこで比較し、自店で何を選べるかを整理したうえで、比較検討中の人に自社を知ってもらう広告の仕組みもご確認ください。
ライバルマーケティング広告の仕組みを見る競合調査で迷いやすい点
業界の規模を知る調査と、自店の購入体験を直す調査を分けると、必要な情報を絞りやすくなります。

書店業界のランキングだけで競合を選べますか?
年度や対象事業、店舗数の定義をそろえて業界を知る材料にできます。ただし、会社売上や店舗数は自店の商圏での選ばれ方とは別です。読者の目的と、比較する店舗・ジャンル・購入方法から対象を選びます。
ネット書店も比較したほうがよいですか?
同じ本を探し、必要な時期に購入する目的では候補になります。紙と電子、新品と中古、版、在庫、送料、受け取り方法をそろえます。新しい本を選ぶ目的では、棚や紹介方法の違いも比較します。
店頭にない本は扱っていないと判断できますか?
店頭の一時点だけでは判断できません。在庫検索の対象、取り寄せの案内、対象店舗や商品、確認日時を残します。検索・取り置き・注文では条件が違うため、公式案内で分けて確かめます。
比較対象を選ぶところから確認したい方は、競合分析の基本と進め方も参照してください。調査の土台を整理できます。
自社サービスの比較検討層へ届ける広告について、配信の仕組みをご確認ください。
ライバルマーケティング広告の仕組みを見る










