競合分析とは、競合と自社の商品・サービスを顧客の視点で比べ、自社が選ばれる条件と、次に変えることを決める作業です。料金表や機能一覧を集めるだけで終えず、どの顧客に、何を伝え、どこを改善するかまで考えます。
他社の商品・料金・販売方法などを調べる競合調査は、この分析の材料を集める作業です。
最初から大きな調査をする必要はありません。今回決めたいことを一つに絞り、比較する相手と条件をそろえるところから始めます。この記事では、競合調査の情報源、8つの比較項目、6つの実践手順、目的別のフレームワーク10選を、記入例とともに紹介します。
この記事でわかること
- 競合調査で使う情報源と、目的に合わせた8項目の選び方
- 調査結果を施策へつなげる6ステップ
- 10の分析手法の使い分けと、比較表の記入例
- 競合の戦略から、自社の方針と施策の優先順位を決める方法
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競合分析は、自社が選ばれる条件を考えるために行う
競合分析の目的は、他社を詳しく説明することだけではありません。顧客の選択肢を知り、自社の商品設計や価格、伝え方を見直す判断材料を得ることです。

たとえば予約管理サービスの導入が進まないとき、競合より機能が少ないことが原因とは限りません。小さな店舗では「初期設定を任せられるか」「今の電話受付を続けられるか」が、機能数より先に検討される可能性があります。
この場合に調べたいのは機能一覧に加え、導入支援や切り替えの手間です。顧客が不安を感じる場面と、各社がどう応えているかを比べると、自社で確認すべき課題が見えてきます。
競合調査と競合分析の違い
競合調査(きょうごうちょうさ)は、他社の商品や料金、売り方などを調べることです。この記事では、情報を集める作業を「競合調査」、違いを読み解いて自社の方針を考える作業を「競合分析」と呼び分けます。
実務では、調査という言葉に分析まで含めることもあります。社内や依頼先とは、用語だけで区切るより、「どの情報を集め、何を判断するところまで頼むか」を共有しましょう。
| 分けて考える点 | 競合調査:情報を集める | 競合分析:違いを読み解く |
|---|---|---|
| 今回の問い | 他社は何を、どの条件で提供しているか | その違いは顧客にとって何を意味し、自社はどう応えるか |
| 残すもの | 商品・料金・対応範囲と、出典・確認日を記した比較表 | 顧客の選択に関する仮説、確かめること、施策の候補 |
| 導入支援の例 | A社の公式ページに、初期設定の支援が記載されている | 設定に不安のある顧客が支援を重視するかを確認し、自社の支援内容や案内を見直す |
「A社は導入支援を案内している」は確認できる事実です。一方、「支援が手厚いから売れている」は、そのページだけでは分かりません。公開情報で分かったことと、理由についての仮説を分けて残すと、次に顧客や営業へ聞く内容を決められます。
市場調査・顧客分析と、競合調査・分析の違い
市場調査では、市場の規模や、顧客が求めるもの・商品を選ぶ基準などを広く調べます。競合調査では、その市場にいる他社の商品・料金・販売方法などに焦点を当てます。目的や対象が重なることもあり、一緒に進める場合もあります。
顧客分析は、誰が、どのような場面で、何を基準に選ぶのかを理解するために行います。競合分析は、その顧客に対して他社がどう応え、自社とどんな違いがあるかを考えます。顧客の理解があると、単に機能が多い・価格が安いという比較から、その人にとって大切な違いへと目を向けられます。
予約管理サービスの例なら、「小規模店舗は予約業務で何に困っているか」は市場や顧客を調べる問いです。「各社は初期設定をどこまで支援するか」は競合を調べる問いになります。両方を照らし合わせると、他社との違いが顧客にとって大切かどうかを考えられます。
たとえば顧客への聞き取りで「設定の時間を取れず、導入を見送った」と分かれば、設定支援の有無を比べる理由ができます。そのうえで自社の支援内容や負担を確認し、商品を変えるか、既存の支援を分かりやすく伝えるかを検討します。
競合調査の対象と情報源を選ぶ
同業の大手企業だけを並べても、実際に顧客が迷っている選択肢を捉えられない場合があります。商談で比較された相手や、購入を見送った理由から対象を選びます。知りたい情報を決めたら、調べる先と記録の残し方を整理します。

同じ商品に加え、別の解決方法も対象にする
予約管理サービスなら、同じ用途のサービスが直接の競合です。ただし顧客は、新しい製品へ乗り換える以外に、電話と表計算ソフトによる管理を続けることも選べます。こうした別の解決方法を含めると、購入そのものを見送る理由も検討できます。
検索結果からの集客を増やしたい場合は、検索結果で同じ読者を集める記事や比較メディアも対象です。商品を売る会社と、検索結果で競うページは分けて記録してください。両者は調べる目的が違うためです。
最初の対象は、商談でよく比較される会社、特徴の異なる会社、現状のやり方などから少数に絞ります。たとえば3つから始め、異なる選択肢を見落としていないか確認しながら増やす方法があります。
知りたい情報に合わせて、調べる先を選ぶ
料金や利用条件なら、まず公式の商品ページ・料金表・規約を確認します。顧客が選んだ理由を知りたいなら、ページの比較に加え、顧客や営業への聞き取りが必要です。情報源ごとに分かることと、そこからは判断できないことを分けて読みます。
競合調査の主な情報源と、読み取れる範囲
| 情報源 | 主に確かめること | 判断するときの注意 |
|---|---|---|
| 公式サイト・料金表・規約 | 機能、対象顧客、料金、契約・利用条件 | 対象プランと更新日を確認。書かれていない機能は未確認とする |
| 決算資料・企業の発表 | 公表された業績、注力分野、新商品・拠点 | 会社全体と個別事業を分け、発表時点を残す |
| 顧客・営業への聞き取り | 比較した相手、選定・見送りの理由、利用時の困りごと | 相手の立場と利用時期を残す。一人の声を顧客全体へ広げない |
| 公開レビュー・SNS | 投稿されている評価や、話題になっている点 | 投稿者、対象商品、投稿日、投稿数を確認。投稿者の評価が、利用者全体の意見を代表するとは限らない |
| 外部の分析ツール | 検索キーワード、流入やアクセス規模などの傾向 | 対象国・期間・端末、推定方法を確認。推定値から実際の売上を断定しない |
たとえば会社全体の売上が増えていても、調べている商品の販売が伸びたとは限りません。公開レビューに設定の不満があっても、現在のプランや支援体制に当てはまるかは別に確認します。
競合サイトの見るべき7項目と、無料で調べる範囲を読むサイトの集客・ページ内容・申し込みへの案内を調べる手順です。関連記事|マーケティングノート
出典と未確認事項を残し、調査の区切りを決める
比較表と一緒に、URL・資料名、確認日、対象商品・プラン、情報の種類を残します。公開資料、聞き取り、ツールの推定値を区別しておくと、後から条件をそろえて見直せます。記載が見つからない項目には「未確認」と書き、次に確かめる相手や方法を添えます。
調査の区切りは、最初に決めた問いへ答えられるかで考えます。「料金と導入支援のどちらを先に説明するか」を決めたいなら、各社の説明を比較し、自社の顧客の声と照らし合わせた時点で、試す案を選べます。
判断を左右する情報が足りない場合は、その項目だけ追加で調べます。公開情報では分からないことを埋めようと探し続けず、顧客への確認に進むか、未確認のまま試せる範囲を決めてください。
競合調査で見る8項目
商品や集客の見直しでは、顧客、商品・支援、料金・契約、導入、販売経路、広告・コンテンツ、顧客の評価、事業の規模が主な確認項目になります。次の一覧を出発点に、今回の判断に必要なものを選びます。

比較表に条件と根拠を残す
同じ項目名でも、調べた条件が違えば、そのまま優劣を付けられません。自社も各社と同じ条件で記入し、出典・確認日・未確認の点を添えます。
競合分析で確認する項目と、そろえる条件
| 比較項目 | 調べる内容 | 読み違えを防ぐ条件 |
|---|---|---|
| 対象顧客・用途 | 誰の、どの場面の困りごとを解決するか | 企業規模、地域、利用場面をそろえる |
| 商品・支援範囲 | 機能、品質、導入支援、運用サポート | 標準機能と追加契約を分ける |
| 料金・契約 | 初期費用、月額、従量料金、契約期間 | 税込・税抜の別、人数、利用量、支払方法をそろえる |
| 購入・導入の流れ | 申し込み、審査、設定、利用開始までの手順 | 利用者側に必要な作業も記録する |
| 販売経路 | 直販、代理店、店舗、ネット通販など | 対象の国・地域、顧客層をそろえる |
| 広告・コンテンツ | 訴求、検索語、記事、申し込みへの案内 | 確認日、対象ページ、広告の掲載状況を残す |
| 顧客の評価 | 選んだ理由、困った点、失注・解約の理由 | 誰の声か、いつの評価かを確認する |
| 事業・集客の規模 | 公開された売上、拠点、集客の傾向 | 会社全体と一事業、実測と推定を区別する |
目的から重点項目を選ぶ
一覧をすべて埋めるより、判断に関わる項目から調べるほうが、次の作業を決めやすくなります。たとえば商品説明を直す調査なら、顧客が選ぶ条件と、各社が伝えている価値・提供範囲を先に見ます。
判断したいことと、先に見る項目の例
| 決めたいこと | 重点を置く項目 | 追加で確かめること |
|---|---|---|
| 商品・サービスを改良する | 顧客の用途、商品・支援、顧客の評価 | 求められる機能と、自社が対応できる範囲 |
| 料金や契約条件を見直す | 料金・契約、提供範囲、購入・導入 | 同じ利用量での総額と、顧客側の作業 |
| 広告や集客ページを変える | 対象顧客、広告・コンテンツ、販売経路 | 訴求と申し込み先の説明がつながっているか |
| 販売先・販売経路を検討する | 顧客の用途、販売経路、事業の規模 | 対象地域・市場と、自社が提供できる体制 |
人材採用の見直しなら、募集職種、勤務条件、育成制度などを別に加えます。上の8項目は商品・マーケティングを調べるための整理で、あらゆる経営課題を網羅する固定のチェックリストではありません。
価格は同じ条件と期間で比べる
月額の表示だけを比べると、初期費用や必須オプション、年契約の条件を見落とします。対象プラン、利用人数・数量、契約期間、税込・税抜の別、割引の適用期間を記録し、同じ利用条件で、一定期間の総額を計算します。
説明用の仮定として、初期費用3万円・月額1万円のサービスと、初期費用なし・月額1万2千円のサービスを考えます。どちらも税別、追加料金なしで12か月使うなら、総額は順に15万円と14万4千円です。月額の安さだけでは、同じ期間の負担を比べられません。
見積もりが必要な料金は「要見積もり」と残します。料金が書かれていないことを「高い」、サポートの記載がないことを「対応しない」と判断しないでください。
売上・シェアは対象をそろえる
売上は、会社全体か対象事業か、国内か海外を含むか、どの決算期間かを確認します。会社全体の売上だけでは、対象商品に限った売上は分かりません。
市場シェアは、ある企業や商品の販売実績などが、その市場全体に占める割合です。金額、販売数量、利用者数などの指標をそろえ、商品分野・地域・期間も一致させます。説明用の仮定で、同じ市場・期間の販売数量が全体1万個、A社2千個なら数量シェアは20%です。会社全体の売上を、一商品の市場規模で割る比較はできません。
Webのアクセス数や検索流入を外部ツールで調べた値は、売上や市場シェアと別の指標として残します。推定値を使った場合はツール名、対象国・期間・端末とともに「推定」と書き、分からない売上をアクセス数から埋めないようにします。
強み・弱みは顧客が重視する条件で考える
機能が多い、価格が安いといった差だけでは、強み・弱みは決まりません。設定を任せたい店舗が導入支援を重視する一方、自分で設定できる店舗は月額の負担を優先して比較する場合があります。
比較表では、顧客が重視する条件、その条件に対する各社の対応、根拠を分けて残します。「A社は設定支援を案内している」は確認した事実です。「導入の不安を減らせる点が強みかもしれない」は仮説として、顧客の選定理由と照合します。
公開レビューは、対象プランや利用時期が違う場合があります。会社が掲載した事例も含め、投稿・掲載された一部の声から顧客全体の満足度を断定しないことが大切です。
競合分析の比較表・出典記録に使えるExcelをダウンロードする比較表・出典記録・施策記録と、架空の記入例を収めています。関連記事|マーケティングノート
競合分析のやり方を6ステップで進める
競合分析は、問いを決めてから情報を集め、最後に自社で試すことへつなげます。ここでは、初めて取り組む担当者が作業を区切りやすいよう、6段階に整理します。

1.今回決めたいことを一つに絞る
「競合を知る」では範囲が広すぎます。「小規模店舗向けページで、料金と導入支援のどちらを先に説明するかを決める」まで具体的にします。商品を変える調査なのか、集客ページを変える調査なのかでも、必要な情報は異なります。
2.顧客が比べる相手と範囲を選ぶ
商談記録や顧客への聞き取りから、候補を選びます。企業名だけでなく対象の商品・プラン・ページまで指定すると、同じ会社の別サービスを混ぜずに済みます。選んだ理由も一行添えておきます。
3.同じ条件で、自社と競合の情報を集める
公式サイト、公開資料、決算資料などから、選んだ項目を調べます。顧客への聞き取りでは、何を比較したか、何が不安だったかを確認します。公開情報と聞き取りを分けて記録すると、情報の性質を後から確かめられます。
自社の情報も、同じ項目で比較表に記入します。自社だけ営業担当の詳しい説明を使い、競合はWebサイトの一文だけで評価すると、説明の詳しさと、実際の提供内容の差を混同しやすくなります。「公開ページから伝わること」を比べる場合は、自社にも同じ基準を使います。
4.違いを整理し、顧客にとっての意味を考える
比較表や分析手法を使い、違いがある箇所を拾います。たとえば「導入支援の案内がある」という差を、「設定に不安がある担当者にとって、相談先が分かりやすい可能性がある」と読み解きます。
この時点では仮説です。競合の表現が目立つことと、顧客がその点を重視していることは別なので、すぐに自社の強み・弱みと決めつけないようにします。
5.顧客や営業に確認し、施策を選ぶ
最近の商談や導入時の相談を振り返り、仮説を支持する声と、当てはまらない声の両方を確かめます。設定への不安が繰り返し出ているなら、自社の支援範囲を整理し、ページに導入までの流れを追記する案を検討できます。
すべての差を埋める必要はありません。顧客にとっての重要度、自社で対応できる範囲、必要な費用を比べ、今回試す施策を決めます。
6.担当と確認日を決め、自社の結果で見直す
変更するページ、担当者、実施日、結果を見る日を決めます。問い合わせを増やす施策なら、問い合わせ件数に加え、相談内容や対象顧客との適合も確認します。
変更前後では広告量や季節なども変わります。一度の増減を施策だけの効果とせず、同時に変わった条件も残してください。分析資料の完成後に、実行した仕事とその結果を追える状態にします。
競合のマーケティング戦略を読み、自社の方針を決める
競合の戦略を読む際は、誰に、何を価値として、どんな売り方で届けているかを結び付けます。その狙いを仮説にしたうえで、自社が応える顧客と提供内容を決めましょう。

商品・価格・販路・販促を一緒に見て、狙いを仮説にする
競合の商品ページ、料金表、申込方法、広告やSNSを見比べます。商品・価格・流通・販売促進という4つの観点に整理する方法が、4Pです。同じ顧客や用途に向けて、各要素が組み合わされているかを確かめます。
説明用に、動画制作会社を調べる仮定例で考えます。A社が「撮影素材の持ち込み」「編集料金の定額プラン」「オンラインでの受付」を案内しているなら、短い動画を手軽に増やしたい顧客に向けた売り方かもしれません。確認した案内と、そこから考えた狙いは分けて記録します。
公開ページや広告だけで、実際の顧客構成、広告費、受注率まで分かるとは限りません。広告が長く掲載されていることだけを理由に、利益が出ている施策と判断するのも避けます。
コスト・独自の価値・対象範囲から、競い方を選ぶ
価格を比べた後は、その価格で提供できる仕組みに目を向けます。コストリーダーシップは、競合より低いコストで事業を営む方向です。販売価格を下げるだけでは、その強みは生まれません。
差別化は、顧客が評価する独自の価値を提供する方向です。先ほどの動画制作会社なら、自社に製品説明の台本を作る力がある場合、営業用の動画を準備したい製造業へ、その支援を届ける案が考えられます。
対象を絞って資源を配分するのが、集中戦略です。絞った範囲で低コストを目指す場合と、独自の価値を届ける場合があります。顧客が求め、自社が続けて提供できる約束に絞ります。
低コスト化と差別化を両立できる場合もあります。両立を目指す場合も、引き受ける依頼の範囲と、必要な体制・費用を具体的に決めてください。
競合と差別化する方法|競合優位性・4つの確認点顧客にとって価値のある違いと、実行・採算の確認方法を詳しく紹介します。関連記事|マーケティングノート
提供する約束に、商品・価格・売り方をそろえる
方針を選んだら、顧客が知ってから購入するまでの流れに反映します。製品説明の台本支援を軸にする動画制作会社なら、次のようにそろえる案があります。ここも実在企業の実績ではなく、説明用の仮定です。
- 商品:撮影・編集に加え、台本作成を支援する範囲を示す。
- 価格:台本支援や修正対応を含む範囲と、追加費用の条件を明記する。
- 流通・購入経路:製品情報と用途を相談時に共有できる受付方法にする。
- 販促:営業用動画の構成例を示し、どの準備を任せられるか伝える。
台本支援を訴求しながら、見積もりでは編集作業しか含まれていなければ、顧客の期待と提供内容がずれます。広告の言葉だけを変えず、申込方法や見積もり、制作工程まで確かめてください。
顧客の困りごとと、実行に必要な負担から施策を選ぶ
同じ仮定例で、既存の相談に「説明する順番をまとめられない」という声が続き、自社には台本支援の体制があるとします。まず支援範囲と構成例を商品ページに載せ、どんな相談が届くか確かめる案を選べます。
広告の配信先を増やす案は、対象企業へ届く見込み、受注までに必要な費用、制作の対応力を見積もって判断します。顧客が困っている場面との関係が説明でき、今の体制で試せる施策から着手しましょう。
結果を見る際は、相談件数に加え、対象用途に合う相談の割合と、見積もり・制作にかかった時間も残します。受注が増えても支援の負担が大きいなら、価格や提供範囲を見直す必要があります。
競合分析のフレームワーク10選を、目的で使い分ける
フレームワークは、集めた情報を整理するための枠組みです。競合そのものを比べる手法に加え、顧客・自社・事業環境を整理する手法も含みます。10種類すべてを使う必要はありません。何を判断したいかに合わせて、必要なものを選びます。

知りたいことから選ぶ、10の分析手法
| 手法 | 整理する視点 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 3C分析 | 顧客・市場、競合、自社 | 誰にどんな価値を届けるかを考える |
| 4P分析 | 製品、価格、流通、販促 | 各社の商品と売り方を比べる |
| 4C分析 | 顧客にとっての価値、負担、利便性、やり取り | 顧客が選ぶ理由を確かめる |
| STP分析 | 市場の区分、狙う顧客、自社の位置づけ | 重点を置く顧客と提供価値を決める |
| SWOT分析 | 内部の強み・弱み、外部の機会・脅威 | 自社の条件と環境変化から施策を考える |
| ポジショニングマップ | 顧客が重視する2軸での位置 | 各社の違いを視覚的に整理する |
| 5フォース分析 | 既存競合、新規参入、代替品、買い手、供給者 | 業界全体の競争と収益への圧力を考える |
| PEST分析 | 政治・制度、経済、社会、技術 | 事業の前提を変える外部環境を整理する |
| バリューチェーン分析 | 価値を届けるまでの事業活動 | どの工程で価値や費用の差が生まれるか考える |
| ベンチマーキング | 参考にする企業・業務と自社との差 | 改善する業務と、目指す状態を決める |
分析手法を使う順番は固定ではありません。3Cで状況を整理し、SWOTで対応を考え、STPで対象と立ち位置を選び、4Pで提供方法を具体化する進め方があります。途中で情報不足に気づいたら、調査へ戻ります。詳しくは3C分析の競合調査と施策へのつなげ方をご覧ください。
顧客と自社の関係を考えるなら、3C・STP
3C分析では、顧客や市場、競合、自社を行き来して考えます。競合の機能と顧客の要望を照らし合わせ、「自社はどう応えられるか」を考える入口になります。
狙う相手をさらに具体化したいときはSTPを使います。市場を分けるSegmentation、重点顧客を選ぶTargeting、その顧客にとっての位置づけを決めるPositioningの順に検討します。会社規模の分類を作って終わらず、顧客の困りごとと自社の提供条件を結び付けます。
商品と選ばれ方を比べるなら、4P・4C・マップ
4Pは提供する側の製品・価格・流通・販促を整理する方法です。4Cでは同じ商品を顧客側から見直し、得られる価値、費用や手間、利用しやすさ、企業とのやり取りを考えます。価格と切り替え時の作業を、一緒に比較したい場合に役立ちます。
違いを図にするポジショニングマップでは、顧客が実際に重視する2軸を選びます。例として「設定を自分で行うか、支援を受けるか」「単店舗向けか、多店舗向けか」といった軸が考えられます。顧客への確認なしに都合のよい軸を選ぶと、自社に有利な図になってしまいます。
図の空白部分に商品を出せば売れるとは限りません。そこに需要があるか、提供に無理がないかは別に確かめます。
事業環境から方針を考えるなら、SWOT・5フォース・PEST
SWOTは、自社の内部にある強み・弱みと、外部にある機会・脅威を分ける方法です。たとえば導入支援を担当できる人材は内部の条件、制度変更で新たな対応が求められることは外部の変化として整理します。項目を並べた後に、強みをどの機会に使うかなどを考えます。
5フォースは、業界の既存競合だけでなく、新規参入、代替品、買い手、供給者から受ける圧力を検討します。個々の機能の優劣より、価格を下げざるを得ない理由や、取引相手との関係を考えたいときに向きます。
PESTは、政治・制度、経済、社会、技術の変化を見る方法です。競合一社の料金改定は個社の動きとして扱い、制度や技術の変化によって顧客の選択肢全体がどう変わるかを考えます。
業務の差を改善するなら、バリューチェーン・ベンチマーキング
バリューチェーン分析は、仕入れ、開発、販売、導入支援、運用など、価値を届ける活動を分けて考えます。同じサービス内容でも、導入支援のやり方によって、顧客の負担や自社の費用が変わる可能性があります。
ベンチマーキングでは、参考にする業務と比較条件を決め、自社との差を調べます。他業界の申し込み手順を参考にする場合も、自社の顧客や契約条件に合う部分を確かめ、改善案にします。
比較表の記入例から、次の施策を決める
集めた情報がどのように施策へつながるのか、小規模店舗向けの予約管理サービスで考えます。以下は説明用の仮定例で、実在企業の機能・料金・成果ではありません。

予約管理サービスの比較表(説明用の仮定例)
| 比較項目 | 自社 | A社 | B社 | 今の電話・表計算管理 |
|---|---|---|---|---|
| 主な対象 | 単店舗 | 単店舗 | 多店舗 | 現在の店舗業務 |
| 初期設定の案内 | 手順書を公開 | 設定支援を案内 | 公開ページでは未確認 | 現在の方法を継続 |
| 料金の示し方 | 月額と追加費用を掲載 | 月額を掲載。支援費用は要確認 | 見積もり案内 | 追加契約はないが、受付作業が必要 |
| 導入までの流れ | 申し込み手順を掲載 | 相談から設定までの流れを掲載 | 商談の申し込みを案内 | 変更作業なし |
この表から確認できるのは、公開ページに載っている説明の違いです。「A社は売れている」「B社には設定支援がない」とまでは判断できません。実務では、セルに出典と確認日を添えます。
観察した事実、仮説、確かめる仕事を分ける
仮に、自社の商談記録にも「初期設定が不安」という相談が複数残っていたとします。そこで初めて、設定に関する説明を改善する案が、顧客の課題と結び付きます。
| 観察した事実 | 考えられる仮説 | 次に確かめる・行うこと |
|---|---|---|
| A社は設定支援と導入手順を案内している | 導入前の負担を減らす説明が、比較時の判断材料かもしれない | 最近の見込み客に、設定で不安だった点を聞く |
| 自社の商談にも設定への相談があるという仮定 | 自社の手順書だけでは、始め方を伝え切れていないかもしれない | 対応できる支援範囲と、顧客側の作業をページへ追加する |
| 電話・表計算での運用を続ける選択肢がある | 導入費用だけでなく、切り替えの手間が障害かもしれない | 見送った顧客の理由を確認し、移行手順を説明する |
「支援を無償で付ける」と決める前に、自社の人員や費用を確認します。説明の不足が問題なのか、サービスの変更が必要なのかを分けて考えると、調査の結果を実行可能な仕事にできます。
この仮定例では、設定支援と利用開始までの流れを先に示し、その後に料金を説明する案を試します。実際の提供範囲に合わせて文章を直し、問い合わせ内容が変わるかを確認します。
レポートを共有するときは、比較表に加え、今回の判断、根拠となる資料、未確認の点、担当者と確認日を残します。Excelやスプレッドシートを使う場合も、一つのセルに事実と推測を混ぜないことが、引き継ぎをしやすくします。
競合分析の疑問に答える
手順や道具を選ぶときにも、今回の判断に必要かどうかを基準にします。競合の動きに合わせて何でも増やすと、自社の顧客を見る時間が足りなくなります。

競合分析は8ステップですか?
必ず8段階に分ける決まりはありません。この記事は6段階に整理していますが、目的、対象、情報収集、比較・解釈、施策、検証がつながっていれば、社内の進め方に合わせて分けられます。
競合分析は無料でできますか?
公式サイトや公開資料を使った商品・料金・説明の比較は、無料で始められます。検索流入やアクセス数などを調べるツールには、無料枠と有料機能の違いがあります。必要な情報と取得できる範囲を確かめて選びます。
競合調査ツール15選と、無料で使える範囲を確認する集客・SEO・広告など、知りたい情報から候補を選ぶ方法を紹介しています。関連記事|マーケティングノート
AIやChatGPTに競合分析を任せられますか?
集めた資料を項目別に整理したり、違いを要約したりする作業に使えます。依頼時には「資料に書かれていないことは未確認とし、各項目に根拠URLを付ける」と指定し、出力を元資料と照合します。非公開の売上や顧客の本音まで、AIの回答だけでは確かめられません。
何社を、どのくらいの頻度で調べればよいですか?
会社数や頻度に共通の正解はありません。最初は顧客の選択肢を代表する少数を選び、価格改定や新サービス、失注理由の変化など、判断に影響する動きがあったときに見直します。継続調査では、確認する項目と担当を決めます。
競合調査・競合分析は英語で何といいますか?
競合分析は一般に「competitive analysis」といいます。競合調査には「competitor research」という表記も使われ、未来トレンド研究機構の競合調査サービスでも使われています。海外資料を調べる場合も、商品比較、業界構造、検索結果で競うサイトの分析など、何を分析する文脈かを確認して読みます。
まず、比較表の前に一つの問いを書く
次に直す商品説明や提案内容を一つ決め、その判断に必要な情報から集めてください。比較表には根拠と未確認事項を残し、顧客に確かめたうえで、自社で試す仕事へつなげます。











