ホテルの集客を改善するには、空室が出る日と来てほしい客層を決め、その人が選びやすいプランと予約経路を整えることが必要です。
OTAの掲載を増やし、SNSも更新している。それでも予約が伸びないときは、宣伝量より先に「どこで予約につながらなくなっているか」を確かめてみてください。
この記事では、OTA・公式サイト・地図・広告の使い分けから、宿泊プラン、イベント、レストラン、リピートの施策まで紹介します。費用と現場の負担を含め、取り組む順番も整理します。
この記事でわかること
- 予約不足の原因と、ホテルに合う集客方法の選び方
- 宿泊プラン・サービス・イベント・レストランの集客アイデア
- 直接予約と再訪を増やし、費用と成果を確認する手順
動画でわかるライバルマーケティング
ホテル集客は「いつ・誰に・どこで売るか」から決める
空室があるからと広告を増やしても、予約が必要な日に届くとは限りません。まず、予約不足が起きている場所を分けて確認します。

曜日・客室・予約経路ごとに、空室の偏りを見る
過去の予約実績と、これからの予約の入り方を見比べます。月全体の稼働率だけでなく、曜日、客室タイプ、予約経路ごとに分けてみてください。
たとえば、週末は埋まるのに平日が空く観光ホテルと、平日は出張客が泊まるのに週末が空くビジネスホテルでは、必要なプランが違います。閑散期も地域や施設で異なり、一律に特定の月とは決められません。
サイトへの訪問自体が少ないのか、訪問はあるのに予約されないのかも分けます。後者なら、広告の追加より先に写真・料金・予約フォームを見直す余地があります。
客層を絞り、設備の説明を「泊まる理由」に変える
「駅から近い」という特徴も、出張客には朝の移動のしやすさ、子連れ客には荷物を持って歩く時間の短さとして伝えられます。設備を列挙するだけでなく、その客層が助かる場面まで説明しましょう。
対象を決める材料は、実際の宿泊目的、選ばれたプラン、問い合わせ、口コミです。「若い女性」「外国人」といった広い属性だけでは、欲しいサービスまで決まりません。
埋めたい日と、その日に来られる客層をセットで決めると、値下げ以外の提案を考えやすくなります。
稼働率だけでなく、単価と費用を一緒に見る
稼働率は、販売可能な客室のうち売れた割合です。ADRは販売した客室の平均単価、RevPARは販売可能な1室あたりの客室売上を表します。
| 指標 | 計算の考え方 | 見るときの注意 |
|---|---|---|
| 稼働率 | 販売客室数 ÷ 販売可能客室数 | 同じ日数・客室の範囲で比較する |
| ADR | 客室売上 ÷ 販売客室数 | 高単価の部屋やプランの構成も確認する |
| RevPAR | 客室売上 ÷ 販売可能客室数 | 客室売上の指標であり、利益そのものではない |
説明用に、ADR1万円・稼働率60%ならRevPARは6,000円です。値下げしてADR8,000円・稼働率70%になると5,600円。部屋が埋まっても、客室売上の効率は下がります。
さらに、OTA手数料、広告費、特典の原価、清掃や接客の追加負担もあります。客室売上の改善と、費用を引いた後に残る金額は、別に確かめる必要があります。
ホテルの主な集客方法を、予約までの役割で使い分ける
施設を知ってもらう方法と、比較中の人に選んでもらう方法は異なります。すべてを同時に始めず、今の予約不足に合う方法を選びます。

OTAは、比較中の宿泊客へ情報をそろえて届ける
OTAは、じゃらんや楽天トラベルなどのオンライン旅行予約サイトです。地域・日付・人数からホテルを比較する人との接点になります。
最初に整えるのは、客室写真、プラン名、食事の有無、チェックイン条件、子どもの料金など、選ぶための情報です。客室の広さや寝具が分からないと、料金が魅力的でも予約前に迷います。
販売する在庫と料金も確認します。空室があるのにOTAでは満室になっている、公式サイトとプラン条件が食い違う、といった状態では、宣伝を増やしても取りこぼしが残ります。
掲載先を増やす際は、予約件数だけでなく手数料と管理負担を比べます。掲載順位のために何を変更したかも残し、効果を確かめてください。
公式サイトとSEOは、指名検索と宿泊前の疑問に答える
ホテル名を調べた人が公式サイトへ来ても、空室を探すまでに何度も画面を移ると予約しにくくなります。スマホで日付・人数を入力し、料金と条件を確認できる流れを優先します。
客室、朝食、アクセス、駐車場、子ども連れの利用条件は、写真と具体的な説明で示します。SEOでは、施設の情報に加え、周辺イベントからの移動や連泊時の過ごし方など、実際に宿泊を検討する疑問へ答えるページが役立ちます。
検索語ごとに似たページを量産するより、必要な情報を正確にまとめます。外国語対応も、主要な客層の言語から、予約条件・アクセス・問い合わせまで通して確認してください。
Googleマップでは、正確な施設情報と写真を整える
Googleビジネスプロフィールで、住所、連絡先、設備、写真などを最新にします。古い外観写真や誤った駐車場情報は、来館前の不安につながります。
地図での表示順位は、情報を埋めれば必ず上がるものではありません。検索語との関連性、検索する人からの距離、知名度などが関わります。
SNS・広告・PRは、紹介したプランの予約先まで用意する
SNSでは、朝食や客室の雰囲気、季節の過ごし方など、滞在を想像できる内容を伝えます。投稿のリンク先はトップページ一律ではなく、紹介したプランの料金と予約条件が分かるページにします。
検索広告は地域や宿泊目的を調べる人との接点、SNS広告はまだ施設を知らない人への紹介など、狙う場面から選べます。ただし、届く対象や掲載面、計測できる予約は媒体・設定によって変わります。
地域メディアや観光協会との連携、インフルエンサーへの依頼も選択肢です。依頼内容、広告であることの表示、写真の利用範囲、予約ページへの案内を事前にそろえます。
フォロワーや閲覧数で終わらせず、どのプランの予約へつなぐかを決めます。掲載後はクリックだけでなく、予約や宿泊完了まで確認しましょう。
宿泊施設の広告施策を検討している方へ
公式サイトと予約条件を整えたうえで、新たな客層への届け方を考える際に、宿泊・旅行業界向けのライバルマーケティング広告をご確認ください。
ライバルマーケティング広告の詳細はこちら値下げに頼らない集客アイデア:宿泊する理由をつくる
目新しい企画でも、対象客が来られる日と運営できる条件が合わなければ続きません。今ある設備や地域の魅力から、小さく試せるプランを考えます。

平日・連泊・記念日など、利用場面に合うプランをつくる
平日に来られる客層なら、仕事場を備えた連泊、近隣企業の出張、日程を選びやすい夫婦旅行などを検討できます。施設の立地や設備に合うものから選びましょう。
| 利用場面 | プランの例 | 実施前に確かめること |
|---|---|---|
| 子ども連れの旅行 | 貸出品や子どもの食事を選べるプラン | 年齢条件、数量、アレルギー対応の範囲 |
| 記念日の滞在 | 食事・花・チェックアウト時間を組み合わせる | 手配期限、追加料金、清掃との調整 |
| 出張・連泊 | 机・通信環境・洗濯設備を分かりやすく案内 | 通信の実態、清掃頻度、企業の精算条件 |
| 地域を楽しむ旅行 | 近隣体験や食事と組み合わせた滞在 | 提携先の営業日、移動時間、取消条件 |
「無料特典を増やす」ことが出発点である必要はありません。誰にとって何が便利になるのかを、プラン名・写真・説明で一貫して伝えます。
欲しいサービスは、口コミと利用状況から確かめる
荷物預かり、子ども用の備品、早い出発に合う食事など、助かるサービスは宿泊目的で変わります。人気ランキングをそのまま導入するより、自施設への問い合わせと口コミを確認してください。
貸出品なら利用回数と欠品、チェックアウトの延長なら清掃への影響まで見ます。使われない特典を増やしても、保管や案内の手間だけが残りかねません。
設備を増やさなくても、すでに提供しているサービスが予約前に伝わっていない場合があります。まず利用できる条件と申し込み方法を、予約ページへ追加してみましょう。
イベントは、宿泊・飲食へつながる条件を用意する
館内の謎解き、地域の食材を使う体験、季節の展示などは、滞在の楽しみを増やすアイデアです。企画に合わせた宿泊プランや食事予約を用意すると、参加後の利用先が分かりやすくなります。
ただし、イベント参加者が多くても宿泊が増えるとは限りません。宿泊予約、レストラン利用、次回の問い合わせなど、今回の目的に合う成果を先に決めます。
開催日、会場、定員、準備担当、必要な人員、天候の影響、取消条件を整理してから告知します。外部の運営会社へ頼む場合も、宿泊客の移動や静かな滞在を妨げない配置を確認してください。
レストラン・宴会場は、地域の利用客にも案内する
ホテル内のレストランは、宿泊客だけが対象とは限りません。地元の記念日会食、職場のランチ、法事や集まりなど、施設に合う用途と価格が分かる案内を用意します。
メニュー写真、料金、利用時間、駐車場、個室や人数の条件を示し、食事だけの予約先へ案内します。宴会場では、レイアウト・設備・見積もりに必要な情報をそろえると問い合わせしやすくなります。
レストランの集客は、客室の予約件数とは分けて評価します。客数・客単価・原価・席の稼働を確認し、厨房や接客が対応できる範囲で販売を広げましょう。
直接予約とリピートを増やし、集客を続けられる形にする
新しい宿泊客を集めた後は、また選んでもらえる接点をつくります。OTAの利用と直販の改善を対立させず、それぞれの費用と役割を見ます。

直販の特典は、利益と予約しやすさをセットで考える
公式サイト限定の食事や滞在時間などは、直接予約を選ぶ理由になります。ただし、OTAの手数料が減っても、広告費、予約システム費、決済費、特典の原価はかかります。
同じ客室・食事・取消条件で、経路ごとの費用と残る金額を比べます。公式サイトの価格が安いかだけでは、利益への影響を判断できません。
予約画面では、スマホの文字サイズ、入力項目、決済方法、確認メールも実際に試してください。特典をつくる前に、予約を完了できることが必要です。
楽天トラベルの手数料の見方経路ごとの販売費を比べるときは、契約・決済・販促費を分けて確認します。関連記事|DSSお役立ちコラム口コミへ対応し、改善した点を予約前にも伝える
口コミは評価点だけでなく、部屋・食事・接客・アクセスなど、同じ指摘が続く項目を探します。返信では宿泊者の個人情報を出さず、事実を確認して対応方針を伝えます。
たとえば朝食の混雑を見直したなら、案内方法を変えるだけでなく、利用できる時間やおすすめの時間帯を予約前のページへ反映します。次に来る人の不安も減らせます。
口コミの投稿と引き換えに特典を渡す運用や、良い評価だけを求める依頼は避けます。実際の滞在体験を聞き、その内容を改善へ戻すことを優先しましょう。
再訪の案内は、前回の利用目的に合わせる
再訪を促すメールやLINEは、配信への同意と停止方法を整えたうえで使います。一律の値引きだけでなく、前回利用した季節やプランに合う新しい案内を考えます。
子ども連れで泊まった人へ家族向けプラン、記念日利用の人へ次の記念日に選べる食事など、案内の理由が伝わる内容が適しています。必要以上の個人情報を集める必要はありません。
再訪の案内も、開封数だけではなく予約・宿泊完了まで確かめます。配信を増やして反応が下がるなら、頻度や対象を見直してください。
費用と成果を確かめる、ホテル集客の実行手順
施策を選んだら、担当と確認する数値まで決めます。小さく始めても、予約の後まで追える形にしておくと、続ける判断ができます。

最初は、予約の障害を取り除く施策から始める
費用をかける前に、情報の不足、販売在庫、予約フォームの不具合を確認します。その後、埋めたい日と客層に合わせて、ひとつのプランや集客経路を試します。
| 順番 | 行うこと | 確認する数値・状態 |
|---|---|---|
| 現状確認 | 日付・客室・経路別に予約不足を調べる | 稼働率、ADR、経路別の予約と費用 |
| 予約先の改善 | 写真・条件・在庫・入力の問題を直す | 閲覧から予約までの途中離脱、予約完了 |
| 小さく集客 | 対象と日付を絞り、プランを告知する | プラン別予約、取消、宿泊完了、費用 |
| 継続判断 | 同じ曜日・季節や需要の違いも見比べる | 売上と追加費用、現場の対応負担 |
大きく値下げし、広告も写真も同時に変えると、何が影響したか分かりにくくなります。まず変えた内容と日付を残し、可能な範囲で比較条件をそろえましょう。
広告費は、予約後の取消と実際の宿泊も含めて見る
説明用の例として、広告費3万円で予約10件なら、予約1件あたり3,000円です。そのうち2件が取り消しとなり8件が宿泊した場合、宿泊完了1件あたりでは3,750円になります。
OTA経由か公式予約かでも費用の構成が違います。客室売上から販売・決済・特典などの費用を引き、事業として続けられる水準かを確かめます。広告費だけを見て「黒字」とは判断しません。
費用の相場は、媒体、配信地域、客層、制作や運用の範囲で変わります。外注するなら、広告費と運用費、素材制作、計測、解約条件を分けて見積もりを確認してください。
CPAの目標値と改善手順予約1件あたりの費用を、宿泊後の採算へつなげて判断する際に。関連記事|DSSお役立ちコラム社内・外注先と、変更と振り返りの担当をそろえる
予約サイトの更新、料金調整、SNS、問い合わせ対応が別々の担当でも、同じプラン条件を使えるようにします。告知した特典をフロントが把握していないと、集客後の体験が損なわれます。
定期的な確認では、予約不足が改善したか、取消や口コミに変化がないか、現場の負担が増えすぎていないかを見ます。繁忙期と閑散期を単純に比べず、イベントや曜日の違いも添えて判断します。
「誰が告知するか」だけでなく、「誰が予約と費用を確認して次を決めるか」まで決めておきます。
ホテル集客のよくある質問
最後に、費用を抑えた始め方と、集客が伸びないときの判断を整理します。施策を追加する前の確認にも使えます。

費用を抑えて始めるなら、何から直せばよいですか?
予約サイトと公式サイトの写真・条件・販売在庫をそろえ、スマホで予約が完了するかを確認します。次に、空室が出る日と来られる客層に合うプランをひとつ試します。無料の媒体でも更新や対応の時間は必要なので、担当を決めて続けられる範囲から始めます。
集客できない理由は、広告が足りないからですか?
広告不足とは限りません。地域の需要、客室やプランの条件、価格、掲載情報、予約画面の問題などが考えられます。閲覧が少ないのか、閲覧後に予約されないのかを分けてから、必要な施策を選んでください。
面白いアイデアやイベントだけで、宿泊予約は増えますか?
話題になっても宿泊につながるとは限りません。対象客が来られる日、宿泊や食事の利用条件、予約先まで用意します。参加者数と、実際の宿泊・飲食の利用は別に測り、運営費と現場の負担も含めて続けるか判断します。
ホテル集客は、OTAと直接予約のどちらを優先すべきですか?
どちらか一方に固定せず、予約不足がある経路と経路別の費用を見て決めます。OTAには比較中の人との接点があり、直販には公式情報や独自プランを伝えやすい利点があります。直接予約にも広告・システム・決済・特典などの費用がかかるため、同じ条件で残る金額を比べます。
まずは、空室が出る曜日をひとつ選ぶ
その日に来られる客層と、今の写真・プラン・予約先を見比べてください。ホテルの集客は、必要な日の予約が増え、無理なく提供できて、費用を引いた後にも価値が残るかを確かめながら進めます。











