「Web広告はいくらから始められますか」と聞かれて、相場表を見せても意味がありません。同じ月20万円でも、商材によっては足りず、別の商材では余ります。
結論からいうと、Web広告の予算は相場から決めるものではなく、「1件獲得にいくらまで払えるか × 何件欲しいか」で決まります。相場を見るのは、その金額で成立するかを確かめるときだけです。
この記事でわかること
- Web広告の4つの課金方式と、費用の増え方の違い
- 粗利から予算を逆算する手順
- 媒体別の費用感と、最低限必要な予算規模
- 広告費以外にかかる費用(制作・運用代行)
- 費用を抑えて成果を出す5つの手順

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【結論】まず4つの課金方式を分けて考える

| 課金方式 | 課金のタイミング | 主な媒体・手法 | リスク |
|---|---|---|---|
| クリック課金 | クリックされたとき | 検索広告、ディスプレイ | 受け皿が弱いと費用だけ消化する |
| 表示課金 | 1,000回表示ごと | SNS広告、動画広告 | 見られても行動されないことがある |
| 成果報酬 | 成果が発生したとき | アフィリエイト | 初期費用・月額固定費は別途かかる |
| 期間・枠課金 | 掲載期間に応じて固定 | 純広告、ポータル掲載 | 成果が出なくても費用は発生する |
「安いかどうか」ではなく「増やしたときにどう効くか」で見てください。クリック課金は使った分だけ、枠課金は成果に関係なく固定です。同じ月20万円でも、意味がまったく違います。
市場全体の費用感を押さえる

2025年の日本の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)、インターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)、マスコミ四媒体広告費は2兆2,980億円(前年比98.4%)。
出典:電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日発表)https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0305-011003.html
総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)、インターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)で、構成比では初めて過半数に到達しました。マスコミ四媒体は2兆2,980億円(前年比98.4%)と縮小しています。
この数字が予算設計に意味すること
デジタルへ資金が流入し続けている=同じ枠を狙う出稿者が増え、単価は上がる方向にあるということです。「去年と同じ予算で同じ件数」は、放っておくと成立しません。
予算を組むときは、前年比で単価が上がる前提を織り込むか、単価上昇の影響を受けにくいチャネル(SEO・MEO・自社リスト)を併走させてください。
予算は粗利から逆算する

相場表を見る前に、自社の数字で計算します。
- 1件の受注あたりの粗利を出す
- 問い合わせから受注に至る率を過去実績から出す
- 粗利 × 成約率 × 許容比率=1件あたりに払える広告費
- それ × 欲しい件数=月額予算
計算例
粗利30万円、成約率20%、粗利の30%まで獲得費に充てられる場合、1件あたり 30万円 × 20% × 30% = 1.8万円。月10件欲しいなら、月額18万円が目安になります。
この計算をしないと何が起きるか
「相場が月20万円らしいから20万円」で始めると、自社では赤字になる水準かもしれませんし、逆に取りにいけるはずの機会を逃しているかもしれません。相場は「その金額で成立するか」を確かめる参照値であって、目標値ではありません。
媒体別に必要な最低予算の考え方

金額そのものより、「検証に足るデータが集まるか」で最低ラインが決まります。
| 手法 | 最低ラインの考え方 |
|---|---|
| 検索広告 | 想定CPA × 10件分/月。これを下回ると良否を判断できない |
| SNS・動画広告 | 1広告セットで週あたり数十件のCVが取れる規模。取れないなら1本に集約する |
| 競合サイト訪問者への配信 | 商材の検討期間をカバーできる月数分。期間が確保できないなら着手しない |
| ポータル・純広告 | 最低契約期間の総額で判断する(月額では判断しない) |
少額なら分散させない
予算が限られるほど、1つに集中してください。3媒体に分けると、どれも学習に必要な量に届かず、全部が中途半端になります。まず指名キーワードの検索広告など、最も確実な1つで基準値を作ります。
広告費以外にかかる費用

予算を組むときに漏れやすいのが、媒体費以外の費用です。
| 費目 | 内容 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| クリエイティブ制作 | バナー、動画、広告文 | 素材は消耗するため、継続的に発生する |
| LP制作・改修 | 遷移先ページ | 既存サイト流用ではCVRが伸びない |
| 運用代行費 | 広告費の一定割合、または固定 | 少額運用では割合が重くなる |
| 計測ツール | 解析、電話計測 | 電話CVを数えないと効果を過小評価する |
初月は制作費が重なるため、広告費だけの想定だと予算超過します。初月と2か月目以降を分けて計画してください。
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費用を抑えて成果を出す5つの手順
- 計測を正す:重複計上・電話CVの取りこぼしがあると、実態より悪く見えて余計な予算を投じることになる
- 無駄な配信を削る:検索語句の除外、既存顧客の除外。広告費が直接減る
- 遷移先を改善する:フォーム項目を減らす、費用の目安を書く。CVRは倍近く変わる
- 品質を上げる:広告文と遷移先の関連性が上がると、同じ順位を安く取れる
- 入札・予算を調整する:1〜4のあとで初めて意味を持つ
最も効くのは3番
クリック単価を下げられる幅には限界がありますが、CVRは改善余地が大きい領域です。同じ広告費でCV数が1.5倍になれば、実質的に単価が3分の2になったのと同じです。
予算を増やす前に確認すること
インプレッションシェアを見てください。9割近くまで来ていれば、そのキーワードで取れる分は取り切っており、増額しても単価が上がるだけです。
「安い」と感じる手法の落とし穴
成果報酬型は本当に低リスクか
運用型広告費は2兆9,352億円(前年比112.5%)で、インターネット広告媒体費に占める構成比は88.7%。予約型広告費は3,042億円(前年比109.1%)、成果報酬型広告費は699億円(前年比96.1%)。
出典:電通「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2026年3月5日発表)https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0305-011004.html
成果報酬型広告費は699億円・前年比96.1%と、運用型(112.5%)・予約型(109.1%)が伸びるなかで唯一減少しています。「成果が出た分だけ払えばよい」という分かりやすさの一方で、市場での比重は下がっています。
実務上も、初期費用と月額固定費は成果が出なくても発生します。「成果報酬だから低リスク」は、初期費用と固定費を含めた総額で見ると成立しないことがあります。
枠課金の落とし穴
ポータル掲載などの枠課金は、反響が来なくても費用が発生します。しかも最低契約期間があることが多く、月額の安さで判断すると総額で高くつきます。契約前に最低契約月数と中途解約条件を必ず確認してください。
予算配分の考え方|止めても残るものに一部を回す
広告費は止めた瞬間にゼロになります。単価が上がり続ける環境では、広告だけに全額を投じる構成は年々苦しくなります。
| 役割 | 手段 | 性質 |
|---|---|---|
| 今の獲得を支える | 検索広告 | 止めると即ゼロ |
| 積み上げる | SEO・MEO・メール/LINEリスト | 止めてもしばらく残る |
| 比較段階を埋める | 比較ページ+競合サイト訪問者への配信 | 検索の母数上限を超えられる |
比較段階の接点は、検索で取り切ったあとの選択肢です。ライバルマーケティング広告では、指定した競合URLの訪問者を対象候補として配信を設計します。配信可否・対象母数・費用感は対象URLと商圏によって変わるため、事前診断で確認してください。
予算を決める前のチェックリスト
| 区分 | 確認項目 |
|---|---|
| 前提 | 1件あたりの粗利と成約率を数字で把握している |
| 前提 | 許容できる獲得単価を逆算した |
| 規模 | 検証に足るデータが集まる予算か確認した |
| 費目 | 制作費・運用代行費・計測ツール費を含めた |
| 費目 | 初月と2か月目以降を分けて計画した |
| 契約 | 枠課金は最低契約月数と中途解約条件を確認した |
費用の情報を探す層を競合で指定し、自社の広告相談へ誘導。
Web広告の費用に関するよくある質問
Web広告はいくらから始められますか?
媒体上は少額から出稿できますが、「判断できる予算かどうか」が実質的な最低ラインです。検索広告なら想定CPAの10件分程度を月額の目安にしてください。これを下回ると、成果の良否を判断できるデータが集まりません。
予算はどう決めればよいですか?
相場ではなく粗利から逆算します。粗利 × 成約率 × 許容比率=1件あたりに払える広告費、それに欲しい件数を掛けたものが月額予算です。相場は「その金額で成立するか」を確かめる参照値として使ってください。
成果報酬型なら費用リスクはありませんか?
あります。初期費用と月額固定費は成果が出なくても発生します。また成果地点を浅く設定すると、成果は積み上がるのに売上につながらない状態が起きます。市場全体でも成果報酬型広告費は前年比96.1%と縮小しています。
予算を増やせば問い合わせは比例して増えますか?
ある程度までは増えますが、頭打ちになります。インプレッションシェアが9割近くまで来ていれば、それ以上は単価が上がるだけです。増額の前に、まずこの数字を確認してください。
広告費以外に何がかかりますか?
クリエイティブ制作費、LP制作・改修費、運用代行費、計測ツール費です。とくに初月は制作費が重なるため、広告費だけの想定だと予算を超過します。初月と2か月目以降を分けて計画してください。
費用を抑えるには何から手をつけますか?
①計測の是正、②無駄な配信の削減(検索語句の除外・既存顧客の除外)、③遷移先の改善、の順です。とくに③はCVRが倍近く変わることがあり、同じ広告費でCV数を増やせます。入札の調整は最後です。











