競合広告は、Googleの「広告の透明性について」やMeta広告ライブラリなど、媒体の公式ツールから調べられます。広告文や画像・動画、掲載状況を確認し、自社の訴求やページを見直す材料にできます。
ただし、広告を集めただけで、相手の予算や獲得件数まで分かるわけではありません。長く掲載されている広告や、多くのバリエーションがある広告も、それだけで成果が良いとは判断できません。
この記事では、競合広告の出稿状況を調べたい担当者に向けて、無料で始める方法、広告とページの比較項目、費用を推定するツールの使いどころを整理します。公開情報で確かめた事実と推測を分け、最後は自社で試す改善案にまとめていきましょう。
この記事でわかること
- Google・Meta・TikTokで広告を探す方法と、確認できる範囲
- 広告文・画像・動画・ページを比較するときの見方
- 広告費や成果を断定せず、調査結果を改善案へつなげる手順
広告サービス紹介|ライバルマーケティング広告
競合広告の調査で分かること
競合広告の調査は、他社がどのような表現で商品やサービスを紹介しているかを調べ、自社との違いや改善の余地を考える活動です。最初に、公開情報で確かめられることと、外部からは確定できないことを分けます。

広告の表現や掲載状況を記録する
広告の見出し、説明文、画像・動画、申し込みを促す言葉などは、確認できた広告から記録できます。媒体によっては、広告主名、掲載開始日や最終掲載時点、配信された地域なども調べられます。
たとえば会計ソフトなら、「無料で試せること」「入力の手間が減ること」「導入時に相談できること」のどれを前面に出しているかで、伝えたい価値が異なります。まずは、見えた表現とその確認条件を残しましょう。
総予算や獲得件数は、広告の見た目から決めない
日本向けの一般的な商業広告では、競合のキャンペーン全体の予算、成約数、実際のCPAなどを、公開広告の閲覧だけで確定することは通常できません。CPAは、問い合わせや購入といった成果1件を得るためにかかった費用です。
広告の本数や掲載期間だけで、予算や成果の大小を判断しないことが大切です。一つの訴求に複数の広告を用意している場合もあり、表示される広告件数は予算の大きさを直接示す数字ではありません。
| 調べる内容 | 記録できる例 | 判断するときの注意 |
|---|---|---|
| 広告の表現 | 見出し、画像、動画の構成 | 実際に確認した広告の範囲 |
| 掲載状況 | 開始日・最終掲載時点など | 媒体ごとに公開範囲が異なる |
| 想定する顧客 | 「小規模法人向け」などの文言 | 実際の配信設定とは区別 |
| 広告費・成果 | ツールの推定値や公表値 | 対象期間・計算方法・公表範囲を確認 |
広告の文言から「こうした顧客に伝えたいのではないか」と考えることはできます。ただし、その推測を「この年齢・職種へ実際に配信している」と書き換えないようにします。
無料の公式ツールで探す方法
最初から有料ツールを契約する必要はありません。広告の表現を調べるなら、まず媒体の公式ツールで確認します。不足する情報を整理してから、有料ツールが必要かを検討しましょう。

Googleは広告主名・ウェブサイト名で検索する
Googleの「広告の透明性について」(広告の透明性センター)では、広告主名またはウェブサイト名で検索します。ブランド名で見つからない場合は、運営会社名や公式サイトのドメインも確認し、表示された広告主が調べたい企業に対応するかを確かめます。
- 広告の透明性についてを開き、広告主名またはウェブサイト名を入力する
- 日本などの地域、期間、プラットフォーム、広告フォーマットをそろえる
- 広告の表現と、表示されている広告主・掲載情報を記録する
ウェブサイト名で検索した結果には、そのドメインを参照する複数の広告主アカウントが含まれることがあります。企業名の対応を確かめず、結果を一社の広告として合算しないようにします。
出典の要点:広告主名やウェブサイト名で検索し、日付や対象地域などで絞り込めます。実画面では、期間・プラットフォーム・フォーマットのフィルターも確認しました。
出典元:Google「広告の透明性」(2026年10月21日確認)
自社がGoogle広告を運用していて、同じ広告オークションでの重なりを知りたい場合は、管理画面のオークション分析も使います。公開広告を探すツールとは用途が違うため、詳しい確認方法は次の記事で説明しています。
Google広告の競合調査|透明性センターと指標の見方透明性センターと、自社管理画面のオークション分析の使い分けを解説しています。関連記事|マーケティングノート
Metaは国と「すべての広告」を選んで検索する
FacebookやInstagramなどの広告は、Meta広告ライブラリで調べます。日本向けの通常の商業広告を探す場合は、国を「日本」、広告カテゴリを「すべての広告」にして、広告主名や商品に関するキーワードを入力します。
- Meta広告ライブラリで国・広告カテゴリを設定する
- 企業やブランドのページ、または関連キーワードを検索する
- 広告コンテンツ、掲載開始日、掲載状況などを確認し、必要に応じて「広告の詳細を見る」を開く
関連キーワードの検索結果には、調査対象ではない企業の広告も含まれます。業界の表現を広く集める検索と、特定の競合のページを確認する検索を使い分けましょう。
出典の要点:現在掲載されている広告の内容や開始日などを確認できます。政治広告や英国・EUで掲載された広告には、保存期間や追加情報に別の条件があります。通常広告にも同じ費用情報があるとは限りません。
出典元:Meta広告ライブラリ「よくある質問」(日本・「すべての広告」の実検索を2026年10月21日確認)
TikTokのTop Adsは、表現を学ぶ参考事例として使う
TikTok Creative CenterのTop Adsでは、地域、業種、キャンペーンの目的などで広告事例を探せます。冒頭で何を見せるか、商品の使い方をどう伝えるかなど、動画構成を考える材料になります。
Top Adsは、高いパフォーマンスを示した広告などを集めた仕組みで、掲載には広告主の許可や対象条件があります。特定の競合が出した広告を、すべて収録した一覧ではありません。表示された相対的なパフォーマンス情報も、競合企業全体の費用や成約数とは分けて扱います。
出典の要点:Top Adsは広告事例を条件で絞り込める機能です。未ログイン時は表示件数に制限があり、広告素材の掲載には許可の仕組みがあります。
出典元:TikTok 「How to use the Top Ads Dashboard」/「Top Ads Asset Authorization」
広告・ページの比較項目
広告を見つけたら、画像を保存して終わりにせず、どの顧客の悩みに、何を約束しているかを整理します。複数の競合を同じ項目で比べると、自社に足りない説明と、自社だから出せる価値が見えてきます。

対象・価値・根拠・行動・ページの五項目を見る
まず、広告が想定する顧客と、伝えている価値を読み取ります。そのうえで、主張を支える事例や説明があるか、読んだ人にどの行動を求めているか、関連するページで条件を確認できるかを見ていきます。
| 比較項目 | 見るところ | 会計ソフトの架空例 |
|---|---|---|
| 対象 | どの顧客の、どの悩みか | 経理担当者がいない小規模法人 |
| 価値 | 何が良くなると伝えるか | 入力の手間を減らす |
| 根拠 | 主張を支える説明や条件 | 画面例、対応業務、導入事例 |
| 行動 | 広告から何へ進ませるか | 無料体験、資料請求、相談 |
| ページ | 広告の約束を確かめられるか | 料金、試用条件、導入支援 |
たとえば「無料体験」の広告と「資料請求」の広告では、求める行動の重さが違います。文面の目立ち方だけで優劣を付けず、顧客が利用を決めるまでのどの場面を想定しているかも考えます。
アーカイブの広告と、現在の公式ページを分けて確認する
Googleによると、広告の透明性センターは、広告のリンク先ページ(LP)へ移動したり、リンク先を検証したりするためのものではありません。アーカイブ上の広告をクリックすれば、必ず当時のLPへ進めるわけではありません。
リンク先を確認できる場合は、そのURLと確認日を記録します。確認できない場合は、公式サイトの商品ページや料金ページを別に調べ、「広告のリンク先として確認したページ」か「参考として調べた公式ページ」かを明記してください。
現在のページを調べても、広告の掲載当時と同じ内容とは限りません。広告とページの表現が異なる場合も、時点の違いやページ更新の可能性を確かめてから判断します。
出典の要点:Googleは、アーカイブの広告からLPへのクリック遷移をサポート対象の機能としていません。リンク先は変更や動的な転送の対象になり得ると説明しています。
出典元:Google「広告の透明性について」FAQ(LP表示・クリックスルー機能の説明、2026年10月21日確認)
広告費・出稿規模の調べ方
広告の表現に加え、検索広告のキーワードや費用の目安、媒体をまたぐ出稿量が必要になることもあります。その場合は、調査ツールの対象と推定方法を確かめて補足します。

Semrush・Similarwebの数値は、定義と対象を読む
SemrushのAdvertising Researchでは、ツールが検出した検索広告や関連キーワードなどを調べられます。Traffic Costは、現在のクリック単価などに基づく推定で、広告主の請求書や管理画面から得た確定額とは異なります。
Similarwebにも、検索広告の費用を推定するPPC Spendなどの指標があります。ただし、PPC Spendはディスプレイ広告やSNS広告を含む総広告費ではありません。機能ごとに対象媒体・国・端末・期間・データ条件を確かめ、同じ条件で比較します。
出典の要点:両社は、検索広告のトラフィックや費用に推定値を用いることを説明しています。自社の実費を確認する際は、社内の広告管理・分析データを使います。
出典元:Semrush「Advertising Research Positions Report」/Similarweb「PPC Spend」
SimilarwebのPPC Spendは、公式説明では選択期間の有料検索からの訪問数が5,000を超えるドメインをデータ提供の対象としています(2026年10月21日確認)。調べたいサイトでも、データが表示されるとは限りません。
その空欄を「競合の広告費は0円」と置き換えず、取得できなかった範囲として残してください。契約前には、調べたい国内企業や媒体のデータを取得できるか、実際のプランで確認します。
テレビなどを含む出稿量は、広告統計の範囲を確かめる
テレビCMや複数媒体の出稿量を調べたい場合は、ビデオリサーチなどの広告統計が選択肢になります。「テレビ広告統計」では、関東・関西・名古屋のCM出稿量や放送時刻・秒数などを確認できます。
Webの無料広告ライブラリとは、対象や提供形態が異なります。知りたいのが掲載回数、出稿秒数、推定金額のどれなのかを先に整理し、調査地域・対象媒体・集計期間・利用料金を確認しましょう。
出典の要点:テレビ広告統計は対象地区のCM出稿情報を提供します。主要媒体をまたいで確認する「6媒体広告統計」もあり、利用範囲に応じた契約や見積もりの確認が必要です。
調査結果から改善案を作る
競合の広告から分かるのは、他社が見せている表現と、その確認時点の状況です。成果まで確認できていない表現は、成功例として採用するのではなく、自社で確かめる仮説に変えます。

目的から比較・検証まで、五段階で進める
- 目的を決める:広告文を変えたいのか、訴求する価値や媒体を見直したいのかを絞る
- 対象と条件をそろえる:競合企業・商品・ドメインを整理し、地域・期間・媒体を記録する
- 広告を集めて記録する:広告の参照URLやID、文面・画像の特徴、確認日時を残す
- 同じ項目で比較する:対象・価値・根拠・行動・ページの違いを整理する
- 改善案を試す:自社が提供できる価値に結び付け、結果を自社のデータで確かめる
会計ソフトの架空例なら、「競合に無料体験の広告がある」は観察した事実です。「試用を通じて導入前の不安を減らす狙いではないか」は、広告の意図についての仮説になります。
自社の顧客にも初期設定への不安があるか、問い合わせ内容などで確認します。その不安に対応する支援を提供できるなら、内容と利用条件を広告やページで伝える改善案が考えられます。この場合も、競合の表現をコピーするのではなく、自社が実際に提供する内容と利用条件を示して検証します。
競合と差別化する方法|競合優位性・4つの確認点顧客に役立つ違いを見つけ、自社が提供できる価値を確かめる方法を紹介しています。関連記事|マーケティングノート
事実・仮説・改善案を別々に残す
調査メモでは、出典と観察した内容を、担当者の考察から分けます。次のように整理すると、会議で「どこまで確かめた話か」を説明しやすくなります。
| 区分 | 会計ソフトの架空の記入例 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 確認条件 | 日本/Meta/確認日2026年10月21日 | 検索条件と出典URL・IDを併記 |
| 事実 | 「無料体験」を案内する広告を確認 | 見た範囲の表現として記録 |
| 仮説 | 導入前の不安を減らす訴求かもしれない | 顧客の反応は未確認 |
| 改善案 | 自社の初期設定支援を分かりやすくする | 提供条件を確認して試す |
| 不明 | 競合の獲得件数・実際のCPA | 推測で埋めない |
自社で改善案を試すときは、クリック後の問い合わせ・購入まで見ます。広告の反応が良くても、ページの説明や申し込み条件が合わなければ、目的の成果へつながるとは限りません。
競合調査レポートの作り方|報告書の構成・パワポ記入例事実・比較結果・提案を分け、報告書やパワーポイントへまとめる手順を紹介しています。関連記事|マーケティングノート
公開広告でも、利用条件や転載の扱いを確認する
調査のために閲覧できる広告でも、その文章・画像・動画を自社の広告へ転用できるとは限りません。参照URLやIDを中心に記録し、画像の保存・社内共有・外部資料への掲載は、媒体の利用条件や権利の扱いを確認します。
非公開の広告管理画面や顧客データを、許可なく入手する方法は使いません。公開情報の取得・利用で確認すべき点は、競合調査の法律と注意点で整理しています。
競合広告の調査でよくある質問
広告が見つからないときや、長く掲載されている広告を評価するときは、確認できる範囲を見直します。

広告が見つからなければ、競合は出稿していませんか?
見つからないだけで、未出稿とは断定できません。検索した企業名・ブランド名・ドメインの対応や、地域・期間・カテゴリを確認してください。媒体の収録範囲、反映までの時間、停止済み広告や表示制限の扱いも関係します。確認できなかった場合は、その条件で見つからなかったと記録します。
長く掲載されている広告は、効果が高いと考えてよいですか?
改善の参考候補にはなりますが、掲載期間だけでは成果を証明できません。認知を広げる広告と、問い合わせを獲得する広告では目的が異なります。費用や成果を確認できない段階では、表現の特徴を分析し、自社で試す仮説として扱いましょう。
まずは調査目的を一つに絞り、公式ツールで確認した広告を同じ項目で比べてください。公開情報の限界を押さえながら、自社が提供できる価値と次に試す案を整理することが、競合広告調査の着地点です。











