近くの保育園を調べても、保育方針や園庭、行事の違いだけでは、自園の募集をどう変えるかは決まりません。同じ地域でも、年齢や利用時間、申込みの仕組みによって、家庭が選べる園は変わるからです。
保育園の競合分析では、施設の制度・対象年齢・通園範囲をそろえ、年齢別の需要と受入枠、日常の保育、利用時間と費用を比べます。そのうえで、受入体制を整える必要があるのか、家庭に伝える情報を補えばよいのかを判断します。
この記事で整理できること
- 認可・認可外などの制度と、家庭の通園条件から競合園を選ぶ方法
- 年齢別の定員・在籍・受入可能数と、申請数を読む際の注意点
- 保育内容、職員体制、費用、見学と入園申請を比べる項目
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施設の制度・年齢・通園範囲から競合園を選ぶ
まず、自園がどの家庭の選択肢になるかを整理します。「近い園」というだけで一つにまとめず、利用できる条件と申込み先を確認します。

認可・認可外・認定こども園の申込み先を分ける
認可保育所などでは、市町村が保育の必要性を認定し、希望や施設の状況を踏まえて利用調整を行います。利用調整とは、市町村の基準に基づいて、利用する施設を調整することです。見学予約を園が受け付けることと、入園を園が直接決めることは分けて考えます。
認可外保育施設や企業主導型保育施設は、施設へ直接利用条件を確かめる必要があります。認定こども園も教育利用と保育利用で手続きが異なるため、施設名だけで申込みの流れを判断しないようにします。
| 比較する対象 | 先に調べること | 表に分ける条件 |
|---|---|---|
| 認可保育所など | 市町村の利用案内と利用調整 | 認定区分・対象年齢・入園時期 |
| 認定こども園 | 教育利用か保育利用か | 利用区分ごとの窓口と時間 |
| 認可外・企業主導型など | 施設の利用条件と契約手順 | 対象家庭・利用枠・費用 |
| 一時預かり | 利用目的と予約・登録方法 | 定期利用との違い |
こども家庭庁は、認定区分によって利用手続きが異なることを案内しています。また「ここdeサーチ」では、施設の住所、教育・保育内容、利用定員、実費徴収額などを調べられます。制度の確認と施設情報の収集を組み合わせる入口になります。
年齢クラスと、入園する年度・月をそろえる
0歳児を受け入れる園でも、入園できる月齢は同じとは限りません。年度のクラス年齢、受入れを始める月齢、希望する入園月を比較表に記録します。
小規模保育などを比べるときは、利用できる年齢と卒園後の案内も確認してください。今年度途中の受入状況と、次年度4月の募集枠は別の情報です。基準日と対象年度を並べることで、違う時点の数字を比較するのを防げます。
直線距離に加え、家庭の通勤・送迎経路を見る
自宅から同じ距離でも、駅へ向かう途中にある園と、いったん逆方向へ向かう園では、毎日の負担が変わります。徒歩、自転車、車など、実際の送迎方法で経路を確かめます。
自園の家庭から、どの方面から通っているか、どんな移動条件で園を選んだかを聞くと、比較対象を絞る材料になります。特定の半径を全国共通の商圏とせず、道路や駅、きょうだいの通園先など、地域の生活に合わせて考えましょう。
3C分析の競合分析とは?調査6項目・やり方と記入例利用する家庭・競合園・自園の関係から、比較項目を整理する。関連記事|DSSお役立ちコラム
地域の需要と自園の受入枠を、年齢別に調べる
地域全体で子どもが減っていても、自園が受け入れる年齢や入園月に同じ変化が起きているとは限りません。人口、在籍、受入可能数を別々に確認します。

年齢別人口と施設の増減を同じ地域・時点で読む
市町村の住民基本台帳などから、通園範囲にいる0〜5歳の人口を年齢別に確認します。あわせて、近隣園の開設、閉園、定員や対象年齢の変更を調べます。
ただし、子どもの人口から施設の定員を引くだけでは、保育の需要は確定しません。家庭が必要とする保育時間、居住地と勤務先、幼稚園やほかの保育サービスの利用などが関わります。人口は需要を考える基礎資料として使い、自園への問い合わせや自治体の利用状況と照合します。
定員・在籍・受入可能数を同じ数字として扱わない
次は、一つの園の定員と在籍を示す架空の例です。地域の相場や実在する園の数値ではありません。全体では90%でも、年齢ごとに状況が異なります。
| 架空例のクラス | 定員と在籍 | 在籍の割合 |
|---|---|---|
| 0歳児 | 20人中18人 | 90% |
| 1歳児 | 20人中20人 | 100% |
| 2歳児 | 20人中20人 | 100% |
| 3〜5歳児の合計 | 40人中32人 | 80% |
| 園全体 | 100人中90人 | 90% |
この例の差し引き10人を、すぐ受け入れられる人数とはしません。実際の募集には、年齢ごとの定員、部屋や職員の体制、年度内の入園予定などの確認が必要です。3〜5歳児も、実務では各年齢へ分けて記録します。
入所待ち人数は、重複と更新日を確認する
園別の申請数を合計しても、保育を必要とする子どもの実人数になるとは限りません。同じ子どもが複数園を希望している可能性があるからです。
横浜市は、園ごとの待ち人数について、一人が複数園を希望すると各園の人数へ反映されると説明しています。また、掲載人数が実際と異なる場合や、4月入所の募集枠を別に確認する必要があることも案内しています。
出典・要約:横浜市「保育所等の入所状況」
これは横浜市の公表方法の例です。ほかの自治体でも、数字の定義、基準日、公開日を確認しましょう。「待機児童ゼロ」や区全体のランキングだけで、自園の年齢別の募集余地を決めないことが大切です。
競合分析テンプレートを無料配布|比較表の項目・Excel記入例根拠と未確認の欄を分けた比較表の作り方・記入例を見る。関連記事|DSSお役立ちコラム
保育方針を、日常の活動と実際の職員体制で比べる
施設の制度と受入条件がそろったら、子どもが一日をどう過ごすかを見ます。特色の名前や設備の数より、保育者の関わりや家庭との連絡まで具体的に確認します。

一日の流れに、遊び・食事・休息を当てはめる
「主体性を大切にする」という方針なら、子どもが遊びを選ぶ場面や、保育者が待つ場面を調べます。英語や音楽などの活動がある場合も、実施する時間、担当する人、普段の遊びや生活との関係を確認してください。
園庭の有無だけで決めず、外遊びの場所や頻度、天候が悪い日の過ごし方も比べられます。特別な行事ばかりを集めるより、普段の一日の例を示す方が、家庭は園生活を想像できます。
配置基準と、時間帯ごとの実際の体制を分ける
職員数は、施設全体の在籍人数だけでは比べられません。担当する年齢、常勤・短時間勤務、早朝や夕方、休憩や欠勤時の応援など、実際に保育する場面へ分けて確認します。
こども家庭庁の配置改善資料では、年齢別の基準、基準変更に伴う経過措置、1歳児の配置改善に対する加算を分けて説明しています。加算の条件を、すべての園に一律適用される最低基準と読み替えないことが必要です。
比較表には、確認できた体制と未確認の点を分けます。求人の掲載回数から離職率を計算したり、園の定員から勤務中の保育士数を推測したりしないようにします。
安全への説明は、設備の有無と運用を合わせて読む
睡眠中の見守り、食事の確認、散歩や引渡し、体調が変わったときの連絡など、場面ごとの手順と担当を確認します。機器を置いていることだけで、安全性の優劣は決まりません。
神奈川県が紹介する「よい保育施設の選び方 十か条」は、見た目だけで決めず、保育する人、子ども、施設の様子や保育方針を確認するよう案内しています。園の説明と日常の様子を合わせて見るための参考になります。
出典・要約:神奈川県「よい保育施設の選び方 十か条」
公開されていない対策を「実施していない」と決めつけないようにしましょう。自園が案内する際は、具体的な運用を説明しつつ、子どもの個別情報や防犯上の詳細を公開する必要がないかも確かめます。
連絡方法と、毎日必要な家庭の準備を確認する
連絡アプリの有無に加え、欠席や遅刻の連絡、急な体調変化、日々の様子の共有、個別相談をどう使い分けるかを見ます。アプリを導入していることと、すぐ返事があることは別です。
布団、着替え、おむつ、行事への参加など、家庭が準備するものや時間も比較できます。自園の案内では、実際の連絡帳や子どもの個別記録を公開する代わりに、個人が分からない見本と運用方法を示せます。
保育園を比較中の家庭へ、園の情報を届ける
対象年齢・保育内容・利用条件を整理したら、比較検討中の家庭へ情報を届けるライバルマーケティング広告の仕組みをご確認いただけます。
ライバルマーケティング広告の詳細はこちら利用時間・費用・申込みの違いから、案内の不足を直す
保育の内容が合っていても、利用できる時間や費用、申込みの手順が伝わらなければ、家庭は検討を進めにくくなります。同じ家庭が利用する条件にそろえて比較します。

開園時間と、追加料金なしで使える時間を区別する
園が開いている時間のすべてを、どの家庭も同じ条件で使えるとは限りません。認定区分や必要な保育時間、通常保育と延長保育の時間帯を確認します。
たとえば、迎えが18時30分になる家庭なら、その時刻が通常保育に含まれるのか、延長の申込みや料金が必要なのかを各園で調べます。土曜の利用条件、慣らし保育、長期休暇中の扱いも、家庭の予定に当てはめて比べてください。
無償化の対象でも、給食費や延長保育料を確かめる
保育料の決まり方は施設の制度や家庭の条件、自治体の支援によって異なります。競合園が自由に設定した月謝のように一律に比較せず、利用者負担額と、そのほかにかかる費用を分けます。
こども家庭庁は、認可保育所などの延長保育料や、通園送迎費・食材料費・行事費などは、無償化の対象にならないと案内しています。副食費に免除が適用される場合などもあるため、家庭の条件を合わせた確認が必要です。
下表は、保育料の無償化対象となる3歳児クラスで、食費などの免除・補助を適用しない架空の月額例です。延長は両園とも月10日・一日1時間利用する仮定で、実在する園の料金や地域の相場ではありません。
| 架空例の月額 | A園 | B園 |
|---|---|---|
| 給食費 | 5,500円 | 6,000円 |
| 延長保育料 | 3,000円 | 2,500円 |
| 用品等の費用 | 1,000円 | 1,500円 |
| 今回の比較合計 | 9,500円 | 10,000円 |
この例では、延長保育料はBが低くても、比較した費用の合計はAが500円低くなります。入園時だけの用品代や行事費、任意サービスがあれば別に足します。料金が不明な項目を0円とせず、実際の負担は同じ利用条件で確認しましょう。
見学予約と、入園の申請・決定を分けて案内する
見学は園の方針や生活を知る機会です。市町村の利用調整を経る施設では、見学したことを入園の確約として案内せず、対象年度の利用案内、申込窓口、締切を示します。
園と直接契約する場合も、空き状況の確認、申込み、必要な説明、契約の順を明確にします。競合調査では、家庭が次に何をすればよいかまで分かるかを比べ、自園の見学ページにも申請との違いを追記できます。
受入体制と説明不足を分け、一つずつ改善する
比較の結果、利用したい家庭がいても職員体制の都合で受け入れられないなら、募集広告を増やす前に運営側の課題を確認します。必要な体制を整えられるか、責任者と担当部署で検討してください。
一方、受入れは可能でも条件が伝わっていないなら、対象年齢、延長時間、見学後の申請先など、質問の多い項目から直せます。公式URLと確認日を比較表に残し、見学時に残った疑問がどう変わったかを確かめながら、次の改善を選びましょう。
保育園の競合分析でよくある質問
比較する園の数、待機児童数、保育士採用、公開情報が少ない場合について、調査の判断に迷いやすい点を整理します。

競合の保育園は何園くらい調べればよいですか?
最初は、同じ年齢を受け入れ、家庭が通園できる範囲にある3~5園程度を目安にすると、項目をそろえて確認しやすくなります。最適な園数を示す調査結果ではありません。制度や通園経路で候補が少ないなら無理に増やさず、必要な比較先を追加します。
待機児童がゼロの地域なら、園児募集は難しいですか?
地域全体の待機児童数だけでは判断できません。年齢、通園できる範囲、利用時間、申請時期によって需要と受入枠は異なります。自治体の年齢別データと自園の受入体制を合わせて確認し、特定の園の申請数を地域の子どもの実人数として合計しないようにします。
保育士の採用についても競合分析が必要ですか?
園児募集とは別の表で比べると整理しやすくなります。同じ地域と職種について、給与の内訳、勤務時間、休憩、行事準備、研修などを確認します。求人が繰り返し出ていることだけで、離職率が高いとは判断できません。職員不足で受入れを増やせない場合は、先に実際の勤務体制を確認します。
他園の受入可能数や保育内容が分からない場合はどうしますか?
未確認と記録し、自治体の最新案内、ここdeサーチ、園の公式情報を照合します。定員から在籍数を引いた数字を、そのまま入園できる人数としません。公開日と基準日が違うこともあるため、直近の状況は自治体や施設の案内で確認します。











