飲食店の競合分析|調査項目と差別化の進め方

  • LINEで送る
飲食店の店頭とメニューを比較し改善へつなぐ図

飲食店の競合分析は、同じ利用目的・時間帯で候補になる店を調べ、料理・価格・予約・過ごしやすさの違いを、自店の改善へつなぐ作業です。近所の同じジャンルの店だけでなく、昼食なら弁当店やコンビニも比較対象になります。

ただし、口コミ数や行列だけで競合の売上は分かりません。自店で増やしたい利用場面を決め、公開情報と現地で確認した事実を並べます。この記事では、調査項目、比較表の作り方、架空のランチ店を使った差別化の考え方、客数と利益の確かめ方を紹介します。

この記事でわかること

  • 飲食店が比較する競合店と商圏の選び方
  • メニュー・価格・予約・席・提供時間の調査項目
  • 調査結果から施策を選び、効果を検証する手順

広告サービス紹介|ライバルマーケティング広告

利用目的と時間帯を決めて、競合店を選ぶ

仕事の合間の昼食と、家族の記念日の会食では、店を選ぶ理由が違います。「誰に、いつ、何のために利用してもらいたいか」を先に決めると、調べる店や項目を絞れます。

昼食や会食など利用場面と経路から比較対象を選ぶ図
近さだけでなく、同じ用途で候補になる店を選びます。

自店で改善したい利用場面を一つ選ぶ

まず、曜日・時間帯別の客数、客単価、予約、売り切れや待ち時間を確認します。「売上が足りない」から一歩進めて、「平日13時以降のランチ客が少ない」「週末の会食予約につながらない」など、今回の課題を決めましょう。

開業前なら、想定する客の利用目的と予算、滞在時間を書き出します。まだ顧客がいない段階の想定は仮説です。地域の状況や競合店を調べて、成立しそうか確かめていきます。

料理ジャンルより、同じ用途で選ばれるかを見る

洋食店のランチを改善するなら、近くの洋食店だけでなく、定食店、カフェ、弁当店も候補になります。一方、同じ洋食でも遠方の記念日向けレストランは、平日の短い昼休みでは比較されにくいかもしれません。

最初は、今回の課題と関係の深い数店に絞って詳しく調べます。大手チェーンについても、全国共通の広告だけで判断せず、実際の店舗の営業時間、メニュー、席、予約条件を確認します。

「競合分析は、顧客視点で考えることが大切です。」

出典元:中小機構|マンガでわかる「市場調査」(引用)

商圏は徒歩圏の円だけで決めず、経路も確かめる

地図へ駅、オフィス、住宅、学校、駐車場と競合店を置きます。距離が近くても、川や大通りを渡る必要があれば、昼休みに行ける範囲は変わります。車で利用する郊外店なら、駐車場への入りやすさも確認します。

地域の人口・世帯などは、公的統計の地図サービスでも調べられます。ただし、集計範囲と調査年を確かめ、住民数をそのまま来店客数と考えないようにします。実際に通る経路や、自店で聞けた来店理由と合わせて判断します。

競合の商圏分析|範囲・店舗分布・人口の調べ方競合の商圏分析|範囲・店舗分布・人口の調べ方店舗の分布と地域データから、比較する商圏を考える手順を紹介します。関連記事|マーケティングノート

メニュー・価格・予約・店内の条件を比べる

料理のおいしさという感想だけでは、後で比較しにくくなります。店を見つけ、内容を確認し、予約・来店して会計するまでの流れに沿って、調査項目を決めます。

メニュー条件と予約導線を比較する図
価格、予約のしやすさ、店内での過ごし方を調べます。

価格は、料理の内容と追加料金までそろえる

税込価格、量、セット内容、ドリンクの有無、提供する曜日・時間を記録します。コースなら飲み放題、席料、サービス料、最低人数など、支払額に関係する条件も確認します。

例えば、同じ「ランチ1,000円」でも、主菜だけの店と、ご飯・スープが付く店では内容が違います。違いを無理に一つの価格へ換算せず、「何を含む金額か」を残します。クーポン価格は通常価格と分けましょう。

比較する項目残す情報確認する条件
メニュー主菜・副菜・量・選択肢曜日限定、売り切れ、変更可否
支払額税込価格、追加料金セット内容、割引の利用条件
利用時間営業・注文受付の時間ランチ終了、最終入店、定休日
持ち帰り対象商品、注文・受取方法容器代、受付時間、受取までの案内

価格の高低は、料理と利用条件をそろえて判断します。自店が提供したい価値を残したまま、何を変えられるかを考えるためです。

検索・SNS・予約は、来店を決めるまでを確認する

公式サイト、Googleマップ、グルメサイト、SNSで、何がその店の特徴として伝わるかを見ます。料理写真、価格、アクセス、席、営業時間の情報が一致しているか、予約先や問い合わせ方法が見つけやすいかを記録します。

予約可能な時間、コースの人数条件、キャンセル条件なども公開範囲で確認します。調査のための架空予約や問い合わせはせず、実際に利用する場合だけ通常の手続きに従います。フォロワー数や投稿回数だけで、来店効果までは判断できません。

席・接客・提供時間は、利用目的に沿って見る

短時間の昼食なら、注文の分かりやすさ、料理の提供、会計の流れが関係します。会食なら、席の配置、会話のしやすさ、コースの進み方なども見る必要があります。カウンター、個室、段差、決済方法など、確認できる条件を残します。

自分が利用した一回の待ち時間は、その日の記録です。混んだ日も空いた日も同じとは限りません。客の外見から年齢や職業を決めつけず、席の使われ方や注文の流れなど、観察した範囲を記録しましょう。

曜日・時間をそろえ、事実と仮説を分けて記録する

オンラインで基本情報を調べてから、必要な点を現地で確かめます。後で比較できるよう、店舗、日時、情報源、条件を同じ形式で残します。

観察した事実と改善仮説を分けて記録する図
日時と出典を残し、観察できない売上は推測と区別します。

公式情報で下調べし、現地では確認点を絞る

所在地、営業時間、メニュー、価格、予約条件を先に調べておくと、来店時は案内の分かりやすさや提供・会計の流れへ集中できます。昼食を比較するなら、平日と週末、ピーク前後など、必要に応じて条件を変えて見ます。

「現地調査は時間帯と曜日を変えて行うことがポイントです。」

出典元:日本政策金融公庫|第3回 商圏分析と競合調査をしよう(引用)

店内での撮影は、店舗に確認してから行います。営業の妨げになる長時間の観察や、他の客の個人情報の記録は避けます。公開メニューや、自分が注文した商品のレシートも、条件を残す資料になります。

混雑表示・口コミは、データの意味を確かめて使う

Googleマップの「混雑する時間帯」は、売上や正確な来店人数を表示するものではありません。各店の通常の混雑ピークを基準とする相対的な表示なので、別の店の棒の高さと直接比べて「客数が同じ」とは判断できません。表示がないことも、客がいないという意味ではありません。

Googleは、混雑する時間帯に過去数か月の平均的な混雑度を表示し、通常の1週間で最も混雑する時間帯と比較した値であると説明しています。表示には十分な訪問データが必要です。

出典元:Google ビジネス プロフィール ヘルプ|混雑する時間帯などのデータ(要約)

口コミは、料理、待ち時間、席、予約などの話題に分け、投稿時期も確認します。一部の投稿を全利用者の評価とは考えず、改善の仮説を作る材料として使います。口コミ件数を来店客数やリピート率へ置き換えることはできません。

比較表に、確認した事実と試したい案を分けて書く

一店ごとの記録を作ってから、同じ項目で並べます。「競合は人気」「自店は弱い」という評価より、「公開メニューに税込価格がある」「自店の予約リンクが見つけにくい」など、見直せる事実を優先します。

「チェック項目は、競合店ごとにカード化するのが便利です。」

出典元:中小機構 J-Net21|競合店調査の具体的な方法(引用)

次は、平日ランチについて整理した架空の例です。実在の店の調査結果や、業界の標準価格・時間ではありません。

比較項目自店の記録競合A店の記録試したい仮説
公開メニュー料理写真のみ税込1,050円、セット内容を表示自店も価格と内容を明示する
利用した日の提供注文から18分注文から12分自店の工程を確認し、短縮できるか試す
ランチの案内終了時間が分かりにくい注文受付の終了時刻を表示受付時間と売り切れ時の案内をそろえる

この記録だけで、A店の売上が高い理由までは分かりません。「情報不足で候補から外れているのでは」「提供工程に改善余地があるのでは」と仮説を作り、自店のデータで確かめます。

競合店調査のやり方|8項目・無料Excelシート競合店調査のやり方|8項目・無料Excelシート店舗調査の基本項目と、無料Excelシートを使った記録方法を紹介します。関連記事|マーケティングノート

差別化を一つ選び、客数と利益で効果を確かめる

比較で見つけた差をすべて埋める必要はありません。顧客が困っていることと、自店で続けられることが重なる案を選びます。

ランチ施策を試して客数と利益を確認する循環図
提供時間や追加コストも含めて、続けられる施策か判断します。

ランチなら、値下げ以外の選ばれる理由も考える

先ほどの架空の店では、まず価格・セット内容・注文受付時間の表示を整えます。次に、仕込みや注文の受け方を見直し、料理の提供時間を短くできるか試します。実測していない段階で「必ず10分以内」などと約束することは避けましょう。

会食の予約が課題なら、席の写真、利用人数、コースの内容、アクセスを分かりやすくする案が考えられます。料理の強みと利用時の不便を結び付けると、単に競合より安くする以外の改善を選べます。

席・厨房・人員で対応できるかを先に確認する

集客を増やしても、厨房が対応できず提供が遅れれば、利用体験は悪くなります。試す曜日や時間、対象メニューを絞り、仕込み、注文、提供、会計のどこに負荷がかかるかを確認します。

新しいメニューなら食材の共用、仕入れ、廃棄、作業量も見ます。予約促進なら、受けられる人数や席の組み合わせと、実際に案内する予約枠を合わせます。集めたい客数と、店が無理なく受け入れられる量を一緒に考えます。

同じ曜日・時間帯で、売上と追加コストを見直す

開始前に、対象期間、変える内容、見る指標を決めます。客数、客単価、予約からの来店、提供時間、売り切れ・廃棄などから、施策に関係するものを選びます。祝日、天候、近隣イベントの違いも残し、一日の増減だけで効果を決めないようにします。

試す内容確かめる変化合わせて見る費用・負荷次の判断
価格・内容の表示メニュー確認、予約・来店制作・更新の作業表示を維持し、案内の不足を直す
提供工程の見直し提供時間、対象時間の客数追加人員、仕込み、廃棄短縮と品質を両立できるか確かめる
特定時間の集客広告対象時間の新規来店・予約広告費、割引、送客手数料追加費用を含めて続けるか決める

例えば、説明用の仮定として、来店客が5人増え、一人当たりの売上から食材費を引いた額が650円なら、増えた額は3,250円です。追加の人件費と広告費が計3,000円なら、差は250円にとどまります。これは仮定を置いた施策比較で、家賃なども含む店舗全体の最終利益ではありません。

売上の増加額だけで判断せず、施策によって増えた費用も合わせて見ましょう。続ける案、条件を変える案、止める案を決めたら、その理由を記録し、次の競合調査で確認する点へ戻します。

比較中のお客さまへ、自店の魅力を伝えたい方へ

ライバルマーケティング広告では、競合店やグルメサイトなど、比較されるページを踏まえた広告配信を相談できます。来店目的と予約導線を整理して、飲食店・グルメ向けのサービスをご確認ください。

飲食店向け広告の詳細を見る

飲食店の競合分析でよくある質問

調査を始める前に迷いやすい、比較対象、方法、データの読み方を整理します。

飲食店の比較条件とデータの意味を再確認する図
比較する店舗、調査方法、確認できる範囲を整理します。

飲食店の競合は、同じ料理ジャンルの店だけですか?

同じ利用目的で候補になる店を選びます。短時間の昼食なら定食店や弁当店、会食なら別ジャンルの個室のある店も候補になります。料理ジャンル、予算、時間帯、経路、席の条件から絞ります。

競合分析は、どのような手順で進めますか?

改善したい利用場面を決め、比較する店を選び、メニュー・価格・予約・席などの項目をそろえます。公開情報と必要な現地確認を記録し、事実から改善仮説を作り、自店で試して客数や利益を確かめます。分析手法の数をそろえることより、今回決めたいことを明確にするのが先です。

Googleマップの混雑表示から、競合の売上は分かりますか?

正確な売上は分かりません。混雑する時間帯は、各店の通常の混雑ピークを基準とした相対的な表示で、店同士の正確な人数比較にも使えません。口コミ数も売上や来店客数とは別の情報です。

競合より安くしないと、差別化できませんか?

価格以外にも、料理の内容、提供の速さ、席、予約のしやすさ、利用時間、持ち帰りの便利さが選ぶ理由になります。顧客の利用目的に合い、自店の厨房・人員・費用で続けられる改善を選びます。

  • LINEで送る

関連記事