「ペルソナは作ったが、資料フォルダに眠っている」——最もよくある結末です。年齢・職業・趣味・休日の過ごし方まで書き込んだのに、広告の設定にも記事の企画にも使われていません。
結論からいうと、使われないペルソナには理由があります。「施策の判断に使えない項目」で埋まっているからです。必要なのは人物像の詳しさではなく、意思決定に直結する5項目です。
この記事でわかること
- 使われるペルソナと、使われないペルソナの違い
- 意思決定に直結する5項目
- 情報源の集め方(想像で作らない)
- BtoBでの作り方(個人と組織の二層で考える)
- 施策への落とし込み方と、更新のタイミング
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【結論】必要なのは5項目。人物像の詳しさではない

| 項目 | 書くこと | どの施策に使うか |
|---|---|---|
| ①解決したい課題 | その人が困っていること(本人の言葉で) | 広告文・記事の切り口 |
| ②情報の探し方 | どこで、どんな言葉で調べるか | 媒体選定・キーワード |
| ③比較する相手 | 自社と一緒に検討される会社・手段 | 比較材料・配信対象 |
| ④決め手と不安 | 何で選び、何を心配するか | LPの構成・FAQ |
| ⑤決裁の構造 | 誰が決めるか、何が必要か | 提供する資料・商談の進め方 |
書かなくてよいこと
好きなブランド、休日の過ごし方、家族構成——施策の判断に使わない項目は、書いても意味がありません。「30代・男性・都内在住・年収600万円」という属性も、広告の設定に使わないなら不要です。
ペルソナが使われない最大の原因は、この5項目が空白のまま、人物像の細部だけが埋まっていることです。
情報源|想像で作らない

会議室で議論して作ったペルソナは、社内の思い込みの集合体になります。次の順で実際の情報を集めてください。
優先度の高い順
- 受注顧客へのヒアリング:3〜5社でよい。なぜ選んだか、何と比較したかを聞く
- 失注理由の記録:どこと比較し、何が決め手だったか
- 営業へのヒアリング:商談でよく出る質問・不安
- 問い合わせフォームの自由記述:本人の言葉がそのまま残っている
- 検索語句レポート:実際に検索されている言葉
1番と4番が最も価値が高い
「なぜ当社を選んだのですか」を受注顧客に聞くだけで、①課題・③比較相手・④決め手がまとめて埋まります。3社に聞けば共通点が見えます。ここを飛ばして推測で埋めると、以降の施策すべてがその推測に引きずられます。
検索語句は「言葉の実物」
広告の検索語句レポートには、顧客が実際に使う言葉が残っています。社内用語と顧客の言葉がずれていることは珍しくありません。ペルソナの①②を書くときは、必ず実際の検索語を参照してください。
BtoBは「個人」と「組織」の二層で作る

BtoBでは、使う人と決める人が違います。1人のペルソナで表現しようとすると、どちらにも合わない中途半端なものになります。
| 層 | 決めること | 渡すもの |
|---|---|---|
| 組織(企業属性) | 業種・規模・エリア・体制 | 配信対象の条件、除外条件 |
| 担当者(実務者) | 日々困っていること、探し方 | 記事・広告文の切り口 |
| 決裁者 | 何をもって承認するか | 費用対効果の試算、他社事例 |
担当者は「社内を説得する立場」
BtoBで見落とされやすいのが、担当者にとっての本当の課題は「社内で承認を取ること」という点です。商品が良いだけでは動きません。稟議にそのまま使える資料——費用対効果の試算、導入スケジュール、同業の事例——を用意すると、担当者が動きやすくなります。
「対象外」も定義する
誰を狙うかと同じくらい、誰を狙わないかを決めてください。対応できない規模、エリア外、予算感が合わない層——これを明文化すると、広告の除外設定とフォームの案内文に直接反映できます。
施策への落とし込み方

ペルソナは作って終わりではなく、次の4か所に転記して初めて機能します。
- 広告の配信設定:③比較する相手 → 競合サイト訪問者への配信対象、除外条件
- キーワードと広告文:①課題・②探し方 → 検索キーワード、広告見出し
- LPの構成:④決め手と不安 → 見出しの順序、FAQ、CTA直前の一文
- 営業資料:⑤決裁の構造 → 稟議用の資料、比較表
転記できない項目は不要
この4か所のどこにも転記できない項目は、書く必要がありません。「趣味はキャンプ」という記述が、広告設定にもLPにも使われないなら、それは装飾です。
チェック方法
ペルソナを作ったら、「この情報でLPの見出しを3本書けるか」を試してください。書けなければ、④決め手と不安が具体的に埋まっていません。
接点の設計は、実際の利用実態から決める

②情報の探し方を書くとき、想像で「SNSをよく見る層」と決めないでください。媒体ごとの利用率には大きな差があります。
(ソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率・全年代)LINE:91.1%、Instagram:52.6%、X(旧Twitter):43.3%、Facebook:26.8%/(動画共有系)YouTube:80.8%、TikTok:33.2%
出典:総務省情報通信政策研究所「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和7年6月27日公表)https://www.soumu.go.jp/main_content/001017160.pdf
全年代の利用率はLINEが91.1%、YouTubeが80.8%、Instagramが52.6%、Xが43.3%、Facebookが26.8%、TikTokが33.2%です。「若い層だからTikTok」といった決めつけは、実態と合わないことがあります。
BtoBではさらに注意が必要
利用率が高い媒体でも、そこで仕事の情報を探しているとは限りません。BtoBのペルソナで②を書くときは、「プライベートで使う媒体」と「仕事の情報を探す場所」を分けて記述してください。後者が広告の媒体選定に直結します。
最も確実なのは本人に聞くこと
受注顧客へのヒアリングで「どうやって当社を見つけましたか」「他にどこを調べましたか」を聞けば、②と③が同時に埋まります。統計より自社顧客の実態が優先です。
広告担当者が見る競合ページを指定し、自社の広告相談へ誘導。
更新のタイミング

ペルソナは一度作れば終わりではありません。次のタイミングで見直してください。
| タイミング | 見直す項目 |
|---|---|
| 四半期ごと | ③比較する相手(失注理由に出た社名から更新) |
| 受注が5件たまったら | ①課題・④決め手(ヒアリング結果を反映) |
| 商材・価格を変えたとき | 全項目 |
③は最も変化が速い
比較される相手は、半年で入れ替わることがあります。新規参入、既存企業の値下げ、代替手段の登場——いずれも失注理由の記録に現れます。ここを更新しないまま古い競合を前提に配信していると、実態とずれていきます。
よくある失敗5つ

- 会議室の想像だけで作る:社内の思い込みが固定化される
- 人物像の細部を埋めることが目的化する:施策に使えない情報で埋まる
- 1つのペルソナで全部を表現しようとする:BtoBでは使う人と決める人が違う
- 「対象外」を決めていない:除外設定に反映できず、無駄な配信が続く
- 作りっぱなしで更新しない:とくに比較相手が古いまま
1番を防ぐ最短の方法
受注顧客3社に「なぜ当社を選んだか」を聞くだけです。1社30分、合計1時間半で、想像で3日かけて作るより精度の高いペルソナができます。
「比較する相手」が最も施策に効く

5項目のうち、施策への転用が最も直接的なのが③比較する相手です。ここが具体的な社名で埋まっていると、打てる手が一気に増えます。
- 比較表の軸が決まる(何と比べて何が違うかを書ける)
- LPで先回りすべき不安が分かる
- 比較段階の相手に届く配信の対象が決まる
検索連動型広告は、インターネット広告媒体費に占める構成比38.7%(取引手法は運用型)。ディスプレイ広告は運用型が前年比111.5%、予約型が前年比98.8%。
出典:電通「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2026年3月5日発表)https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0305-011004.html
検索連動型広告はインターネット広告媒体費の38.7%を占める最大の枠ですが、対象は検索している人に限られます。競合のサイトで料金や事例を見比べている段階の人は、まだ自社を検索していないことがあります。
ライバルマーケティング広告では、指定した競合URLの訪問者を対象候補として配信を設計します。ペルソナの③に書いた社名が、そのまま配信対象の候補になります。配信可否・対象母数は対象URLと商圏によって変わるため、事前診断で確認します。
ペルソナ作成チェックリスト

| 区分 | 確認項目 |
|---|---|
| 情報源 | 受注顧客3社以上にヒアリングした |
| 情報源 | 検索語句レポートで実際の言葉を確認した |
| 項目 | 5項目(課題・探し方・比較相手・決め手と不安・決裁構造)が埋まっている |
| 項目 | 比較する相手が具体的な社名で書かれている |
| 項目 | 「対象外」を明文化した |
| 活用 | この内容でLPの見出しを3本書ける |
| 運用 | 四半期ごとに比較相手を更新する担当を決めた |
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マーケティングペルソナに関するよくある質問

ペルソナを作っても使われません
施策に転記できない項目で埋まっている可能性が高いです。広告の配信設定・キーワードと広告文・LPの構成・営業資料の4か所に転記できるかを確認してください。どこにも使えない項目(趣味、休日の過ごし方など)は書く必要がありません。
何から情報を集めればよいですか?
受注顧客3社への「なぜ当社を選んだか」というヒアリングです。1社30分、合計1時間半で、課題・比較相手・決め手がまとめて埋まります。想像で3日かけて作るより精度が高くなります。
ペルソナは何人分作るべきですか?
BtoCなら主力の1〜2つ、BtoBなら「組織属性+担当者+決裁者」の三層で1セットです。数を増やすより、1つを施策に転記できる粒度まで具体化するほうが効果があります。
属性(年齢・性別・年収)は書くべきですか?
広告の配信設定に使うなら書いてください。使わないなら不要です。ペルソナの項目は「どの施策に使うか」で取捨してください。使わない属性は、記述が具体的に見えるだけで判断には寄与しません。
どのくらいの頻度で更新しますか?
比較する相手は四半期ごと、課題と決め手は受注が5件たまったタイミングです。とくに比較相手は半年で入れ替わることがあり、ここが古いまま配信を続けると実態とずれていきます。失注理由の記録から更新してください。
ペルソナとカスタマージャーニーはどう違いますか?
ペルソナは「誰か」、カスタマージャーニーは「その人がどう動くか」です。先にペルソナで対象を定義し、その人の行動を時系列で追うのがジャーニーという関係になります。順序を逆にすると、誰の行動を追っているのか分からなくなります。





