「ソーシャルマーケティング」と聞いてSNS運用を思い浮かべたなら、まず用語を整理する必要があります。この2つはまったく別のものです。
結論からいうと、ソーシャルマーケティングとは「社会的な課題の解決を、マーケティングの手法で進める取り組み」です。SNSを使うかどうかは関係ありません。そしてCSRとの違いは、事業と接続しているかどうかにあります。
この記事でわかること
- ソーシャルマーケティング・SNSマーケティング・CSRの違い
- 事業に接続する設計(切り離すと続かない)
- 取り組みを伝えるときの表現の線引き
- 効果測定の指標
- 中小企業が現実的に始められる形
広告サービスを扱う競合サイトを指定し、訪問者を自社の広告相談へ誘導。
サービス動画
まずは動画で全体像を確認できます
競合を調べているユーザーに、どう自社を選択肢として届けるのか
ライバルマーケティング広告の仕組みや、競合比較中のユーザーに接点を作る考え方を、サービス紹介動画でも確認できます。記事を読む前の全体把握にも、読み終えたあとの社内共有にも使いやすい内容です。
社内共有や後で見返す場合は、YouTubeで動画を開くこともできます。
【結論】3つの用語を整理する

| 用語 | 意味 | 目的 |
|---|---|---|
| ソーシャルマーケティング | 社会課題の解決にマーケティング手法を使う | 人の行動を変える |
| SNSマーケティング | SNSという媒体を使った施策 | 認知・集客 |
| CSR | 企業の社会的責任としての活動 | 責任を果たす(事業と切り離れることも) |
混同されやすいが、設計はまったく違う
SNSマーケティングは「媒体」の話、ソーシャルマーケティングは「目的」の話です。社内で議論する前に、どちらを指しているかを揃えてください。用語がずれたまま話すと、施策も評価指標も噛み合いません。
CSRとの違いは「事業と接続しているか」

CSRは事業と切り離した社会貢献活動としても成立します。一方、ソーシャルマーケティングは事業と接続していないと続きません。
接続していない取り組みが続かない理由
- 予算が「余裕があるとき」の枠になり、業績が厳しくなると真っ先に削られる
- 担当者の異動で消える
- 成果を測る指標がなく、続ける理由を説明できない
接続の型
| 型 | 内容 |
|---|---|
| 本業そのものが課題解決 | 提供している商材が社会課題に直接効く |
| 本業の資源を使う | 設備・技術・人材を地域や課題領域に提供する |
| 購入と連動させる | 売上の一部を寄付する等(表示に注意) |
本業から遠い活動ほど、続けるのが難しくなります。まず自社の資源で貢献できる領域を探してください。
行動を変えるという視点

ソーシャルマーケティングの本来の目的は「人の行動を変えること」です。啓発だけで終わらせず、行動しやすい状態を作るところまで設計します。
行動を変える4条件
- やる理由が自分ごとになっている:一般論ではなく、その人の生活に接続する
- やり方が具体的に分かる:「気をつけましょう」では動かない
- 手間が小さい:一手間増えるだけで実行率は大きく落ちる
- 周りもやっている:社会的な後押しがある
啓発と行動変容は別物
「知ってもらう」までで止まる施策が非常に多くあります。認知が上がっても行動が変わらないなら、目的は達成されていません。何を、いつ、どうすればよいかを具体的に示してください。
伝えるときの表現の線引き

社会性のある取り組みは、伝え方を誤ると逆効果になります。とくに実態を伴わない訴求(見せかけの環境配慮など)は、信頼を大きく損ないます。
守るべき原則
- 実態が先、発信が後:やっていないことを言わない
- 範囲を明示する:「一部の商品で」「〇年から」など、限定条件を書く
- 数値には根拠と時点を添える:削減率、寄付額、実施件数
- 断定的な効果を約束しない
寄付連動型は表示に注意
「売上の一部を寄付します」という訴求では、寄付先・寄付率または金額・期間を明示してください。曖昧なまま訴求すると、景品表示法上の問題になり得ます。
第三者に語ってもらう場合
規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。
出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing
インフルエンサーや取材記事の形で発信する場合も、広告表記の責任は広告主にあります。「社会貢献の紹介だから広告ではない」という整理は通りません。報酬や商品提供がある場合は、表記を明確にしてください。
効果測定の指標

社会性のある取り組みは「数字にしづらい」と言われますが、目的を行動変容に置けば測れます。
| 層 | 指標 |
|---|---|
| 社会的な成果 | 対象の行動が変わった数、参加者数、実施件数 |
| 認知・評判 | 指名検索数、報道・言及の数 |
| 事業成果 | 問い合わせ数、商談化率、採用応募数 |
採用への効果も測る
社会性のある取り組みは、顧客より先に求職者に効くことがあります。採用応募数や、面接での志望動機に取り組みが挙がった件数を記録すると、社内で継続を説明しやすくなります。
開始前の基準値を取る
指名検索数、問い合わせ数、採用応募数——開始前4週間分を記録しておかないと、後から効果を語れません。
競合ページを見た広告担当者を狙い撃ちし、自社の広告相談へ誘導。
広告に頼りすぎない構造を作る
運用型広告費は2兆9,352億円(前年比112.5%)で、インターネット広告媒体費に占める構成比は88.7%。予約型広告費は3,042億円(前年比109.1%)、成果報酬型広告費は699億円(前年比96.1%)。
出典:電通「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2026年3月5日発表)https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0305-011004.html
運用型広告費は2兆9,352億円(前年比112.5%)で、インターネット広告媒体費の88.7%を占めます。同じ枠を狙う出稿者が増え続けているため、広告で認知を買い続けるコストは年々上がっています。
取り組みそのものが接点になる
社会性のある取り組みは、報道、地域での口コミ、取引先からの紹介といった、広告費のかからない接点を生みます。広告単価が上がる環境では、この価値が相対的に高まります。
ただし「取り組めば自然に広まる」わけではありません。自社サイトに専用ページを作り、活動の実績を更新し続けるという地道な運用が前提になります。
中小企業が現実的に始められる形
大がかりにしない
専任担当や大きな予算は必要ありません。本業の資源を使って、小さく始めて続けるほうが成果につながります。
始めやすい型
- 本業の技術・設備を地域に提供する:教室、体験、見学受け入れ
- 本業の知見を無償で公開する:地域向けの説明会、資料
- 取引先と共同で行う:単独より継続しやすい
続ける仕組みを先に作る
- 年間の実施回数を決める(多くなくてよい)
- 担当者と代替者を決める
- 予算枠を「余裕があれば」ではなく固定枠にする
- 自社サイトに専用ページを作り、実績を更新する
4番が最も忘れられます。活動していても発信していなければ、社外からは存在しないのと同じです。
事業成果につなげる導線
取り組みを知った人が、そのまま問い合わせるとは限りません。認知と獲得の間に、比較段階の接点が必要なのは通常の施策と同じです。
検索連動型広告は、インターネット広告媒体費に占める構成比38.7%(取引手法は運用型)。ディスプレイ広告は運用型が前年比111.5%、予約型が前年比98.8%。
出典:電通「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2026年3月5日発表)https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0305-011004.html
検索連動型広告はインターネット広告媒体費の38.7%を占める最大の枠ですが、対象は検索している人に限られます。取り組みで社名を知った人が、後日あらためて検索したときに自社が出てこなければ、認知は成果につながりません。
用意するもの
- 取り組みの専用ページ(実績と更新日を明記)
- 指名検索の受け皿(自社サイトと指名キーワードの広告)
- 比較材料(他社との違い・費用の目安・導入の流れ)
比較段階に確実に当てたい場合は、競合を検討している層への配信という手段もあります。ライバルマーケティング広告では、指定した競合URLの訪問者を対象候補として配信を設計します。配信可否・対象母数は対象URLと商圏によって変わるため、事前診断で確認します。
取り組み設計チェックリスト
| 区分 | 確認項目 |
|---|---|
| 定義 | 社内で用語(ソーシャル/SNS/CSR)を揃えた |
| 接続 | 本業の資源を使う形になっている |
| 目的 | 啓発で終わらず、行動変容まで設計した |
| 表現 | 実態が先、範囲と根拠を明示している |
| 表現 | 第三者発信の広告表記を管理している |
| 継続 | 予算を固定枠にし、担当と代替者を決めた |
| 発信 | 自社サイトに専用ページを作り更新している |
| 計測 | 開始前の指名検索数・応募数を記録した |
SNS販促を比べる層を競合サイトで狙い撃ちし、自社の広告相談へ誘導。
ソーシャルマーケティングに関するよくある質問
SNSマーケティングと同じものですか?
違います。SNSマーケティングは「媒体」の話、ソーシャルマーケティングは「目的」の話です。ソーシャルマーケティングは社会課題の解決にマーケティング手法を使う取り組みで、SNSを使うかどうかは関係ありません。
CSRとの違いは何ですか?
事業と接続しているかどうかです。CSRは事業と切り離しても成立しますが、ソーシャルマーケティングは事業と接続していないと続きません。予算が「余裕があるとき」の枠になると、業績が厳しくなった時点で消えます。
中小企業でもできますか?
できます。大きな予算や専任担当は不要です。本業の技術・設備・知見を地域に提供する形が最も続きやすく、取引先と共同で行うとさらに継続しやすくなります。小さく始めて続けるほうが成果につながります。
取り組みを発信するとき、注意することは?
実態が先、発信が後です。やっていないことを言わない、範囲(一部の商品で・〇年から)を明示する、数値には根拠と時点を添える——この3点を守ってください。寄付連動型では寄付先・寄付率・期間の明示が必要です。
効果はどう測ればよいですか?
①社会的な成果(行動が変わった数・参加者数)、②認知・評判(指名検索数)、③事業成果(問い合わせ・商談化率・採用応募数)です。とくに③の採用への効果は見落とされがちですが、社内で継続を説明する材料になります。
取り組めば自然に広まりますか?
広まりません。自社サイトに専用ページを作り、実績を更新し続ける運用が前提です。活動していても発信していなければ、社外からは存在しないのと同じです。あわせて指名検索の受け皿も整えてください。





