「立派な計画書は作ったのに、3か月後にほとんど実行されていない」——マーケティングプランで最も多い結末です。
結論からいうと、実行されない計画には共通点があります。①目標が数字に分解されていない、②担当と期限がない、③やらないことが決まっていない。この3つを埋めるだけで、計画は動き始めます。
この記事でわかること
- 実行される計画と、されない計画の違い
- 目標を月次の数字に分解する手順
- 施策の選び方と、予算配分の考え方
- 担当・期限・中止条件の決め方
- 形骸化させない見直しサイクル
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【結論】計画に必要なのは5項目だけ

| 項目 | 書くこと | 無いと起きること |
|---|---|---|
| ①目標 | 月次の件数・金額まで分解した数字 | 達成度が測れず、途中で軌道修正できない |
| ②現状 | 流入・問い合わせ・商談化率・受注率の実績 | どこが足りないか分からず、施策が総花的になる |
| ③施策 | 足りない段階に対応した3つ以内 | 同時に手を広げ、どれも検証できない |
| ④資源 | 予算・担当・使える時間 | 計画倒れになる最大の原因 |
| ⑤判断 | 継続・中止の条件と、見直しの日付 | 成果が曖昧なまま費用だけ続く |
市場分析や競合調査を厚くしても、この5項目が埋まっていなければ実行されません。逆に5項目が埋まっていれば、A4で1枚でも計画として機能します。
目標を月次の数字に分解する

「売上を1.5倍にする」は目標ではなく願望です。次の順で分解してください。
- 年間の受注目標額を決める
- ÷ 平均受注単価=必要な受注件数
- ÷ 受注率=必要な商談数
- ÷ 商談化率=必要な問い合わせ数
- ÷ 12=月次の問い合わせ目標
計算例
年間受注目標3,000万円、平均受注単価100万円なら受注30件。受注率25%なら商談120件。商談化率30%なら問い合わせ400件。月あたり約33件が目標になります。
ここで現実が見える
現状が月10件なら、3倍に増やす計画ということです。広告費を3倍にするのか、商談化率を上げるのか、受注率を上げるのか——打ち手の方向がこの時点で決まります。分解せずに「がんばる」と書いた計画は、この判断を先送りしているだけです。
歩留まりの改善も選択肢に入れる
問い合わせ数を3倍にするのは大変ですが、商談化率が30%→40%になれば、必要な問い合わせ数は300件に減ります。集客だけでなく、営業側の歩留まり改善も計画に含めてください。
施策は「足りない段階」から3つ以内で選ぶ

現状の問い合わせを、①指名検索・直接流入、②比較系キーワード経由、③その他に分類します。どこが細いかで、打つべき施策が決まります。
| 細い段階 | 施策 | 成果が出るまで |
|---|---|---|
| 認知 | 動画・SNS広告、プレスリリース | 3〜6か月 |
| 比較 | 比較ページ整備+競合サイト訪問者への配信 | 2〜3か月 |
| 獲得 | 検索広告、リターゲティング、MEO | 1〜4週間 |
「やらないこと」を書く
計画書に書くべきは、やることだけではありません。「今期はSNS運用をやらない」「展示会に出ない」と明記してください。これがないと、期中に思いつきの施策が差し込まれ、主要施策の工数が削られます。
予算配分|止めても残るものに一部を回す

2025年の日本の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)、インターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)、マスコミ四媒体広告費は2兆2,980億円(前年比98.4%)。
出典:電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日発表)https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0305-011003.html
インターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)と伸び続け、構成比では初めて過半数に達しました。出稿する企業が増え続けている以上、同じ成果を得るための単価は上がる前提で計画してください。「前年と同じ予算で同じ件数」は成立しにくくなっています。
3つの役割に分ける
- 今期の数字を作る:検索広告など即効性のある手段(予算の大半)
- 来期以降に効かせる:SEO・MEO・顧客リストなど、止めても残るもの
- 検証枠:新しい手段を試す。全体の1割程度
検証枠を必ず確保する
全額を既存施策に投じると、単価が上がったときに打ち手がありません。1割でよいので、新しいチャネルを試す枠を計画に入れてください。ここで見つかった手段が、翌期の主力になります。
担当・期限・中止条件を決める

施策ごとに、次の4つを1行で書きます。これが書けない施策は、まだ計画になっていません。
- 担当者:名前。「マーケティング部」ではなく個人名
- 着手日と完了日:「今期中」ではなく日付
- 成功条件:この数字に届いたら継続
- 中止条件:この数字に届かなければ止める
中止条件が最も重要
成功条件だけを決めると、成果が曖昧な施策が惰性で続きます。「3か月で商談が1件も出なければ止める」と先に書いておくと、判断の場で揉めません。
兼務なら使える時間も書く
担当者が兼務の場合、「週何時間この施策に使えるか」まで書いてください。週2時間しか取れないのに5つの施策を割り当てた計画は、着手前から破綻しています。
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形骸化させない見直しサイクル
| 頻度 | 見るもの | 判断すること |
|---|---|---|
| 週次 | 問い合わせ数、広告費 | 目標ペースに乗っているか |
| 月次 | 商談化率、受注率、施策別の進捗 | どの歩留まりが計画とずれているか |
| 四半期 | 施策別の受注貢献、指名検索数 | 継続・中止・拡大 |
会議の日付を先にカレンダーへ入れる
「月末に振り返る」と書いただけでは実行されません。計画作成時に、四半期の見直し会議まで日程を確定させてください。予定が入っていれば、そこに向けて数字が集まります。
計画は変えてよい
前提が変われば計画も変わります。変えてはいけないのは目標の数字であって、施策は入れ替えて構いません。「計画どおりに施策を実行すること」が目的化すると、効かない施策を続けることになります。
よくある失敗5つ
- 目標が分解されていない:「売上1.5倍」で止まり、月次の行動に落ちない
- 施策が5つ以上ある:担当者の時間が足りず、全部が中途半端になる
- 担当が部署名:誰も自分ごとにしない
- 中止条件がない:効かない施策が惰性で続き、予算を食い続ける
- やらないことが書かれていない:期中に思いつきの施策が差し込まれる
2番が最も多い
計画書は「たくさん書いてあるほど立派」に見えるため、施策が増えがちです。担当者が1人なら施策は2つまで、2人でも3つまでが現実的な上限です。削る勇気が、実行される計画とされない計画を分けます。
計画に「比較段階」を入れ忘れていないか
施策を並べたとき、認知(広告・SNS)と獲得(検索広告・リターゲティング)はあるのに、比較段階の施策だけが空白という計画をよく見ます。
検索連動型広告は、インターネット広告媒体費に占める構成比38.7%(取引手法は運用型)。ディスプレイ広告は運用型が前年比111.5%、予約型が前年比98.8%。
出典:電通「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2026年3月5日発表)https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0305-011004.html
検索連動型広告はインターネット広告媒体費の38.7%を占める最大の枠ですが、対象は検索している人に限られます。競合のサイトで料金や事例を見比べている段階の人には、検索広告もリターゲティングも届きません。
比較段階の施策として計画に入れるもの
- 自社サイトの比較材料(他社との違い・費用の目安・導入の流れ)の整備
- 失注理由(比較相手と決め手)の記録運用
- 競合を検討している層への配信
ライバルマーケティング広告では、指定した競合URLの訪問者を対象候補として配信を設計します。配信可否・対象母数は対象URLと商圏によって変わるため、計画段階で事前診断の時間を見込んでおいてください。
計画チェックリスト
| 区分 | 確認項目 |
|---|---|
| 目標 | 受注→商談→問い合わせまで分解し、月次の数字になっている |
| 現状 | 商談化率・受注率を実績から把握している |
| 施策 | 3つ以内に絞り、足りない段階に対応している |
| 施策 | 比較段階の施策が入っている |
| 資源 | 担当者名・週あたりの使える時間を書いた |
| 判断 | 施策ごとに中止条件を書いた |
| 運用 | 四半期の見直し会議をカレンダーに入れた |
| 運用 | やらないことを明記した |
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マーケティングプランに関するよくある質問
計画書はどれくらいのボリュームが必要ですか?
A4で1枚でも機能します。必要なのは分量ではなく、目標・現状・施策・資源・判断条件の5項目が埋まっているかです。市場分析を厚くしても、担当と期限がなければ実行されません。
目標はどう決めればよいですか?
年間の受注目標から逆算します。受注目標額 ÷ 平均受注単価=受注件数、÷ 受注率=商談数、÷ 商談化率=問い合わせ数、÷ 12=月次目標。この分解をすると、現状の何倍が必要かが数字で見えます。
施策はいくつまでにすべきですか?
担当者が1人なら2つ、2人でも3つまでが現実的です。5つ以上ある計画は、着手前から破綻しています。あわせて「今期やらないこと」も明記してください。期中の差し込みを防げます。
計画どおりに進んでいません
まず、目標のどの歩留まりがずれているかを特定してください。問い合わせ数か、商談化率か、受注率か。問い合わせ数が足りないなら集客の問題、商談化率が低いなら集めている相手か受け皿の問題で、打ち手が違います。
計画は途中で変えてよいですか?
施策は変えて構いません。変えてはいけないのは目標の数字です。「計画どおりに施策を実行すること」が目的化すると、効かない施策を続けることになります。中止条件を先に決めておくと、この判断がしやすくなります。
予算はどう配分すればよいですか?
「今期の数字を作る施策」に大半、「止めても残る施策(SEO・MEO・リスト)」に一部、そして全体の1割を新しい手段の検証枠に確保してください。全額を既存施策に投じると、単価が上がったときに打ち手がなくなります。







